同僚や部下の変化に気がついていて、「相談にのってあげたい、でも、できない」と思うときの解決策について、いくつかのポイントを挙げてみました。
同僚や部下がメンタル的に落ち込んでいるとき、できれば問題を早く解決してほしいと思います。
しかし自分が過去に同じ経験がないと、どのように接したらいいのか分かりません。また「自分のかかわりのせいで、余計に悪くさせてしまったらどうしよう」と不安に思うこともあるでしょう。
実はプロのカウンセラーは、「私がクライアントの問題を解決してあげよう」とは考えていません。クライアントの回復を願いつつも「相手のことは、相手のこと」ぐらいの気持ちでいるのです。
「同僚や部下の問題は、本人が解決すること……」そう思えたら楽になれませんか? プロのカウンセラーでもありませんし、相手の回復を信じつつ、あなたができることをやれば大丈夫です。
相手の課題が大きいほど、「○○したほうがいいんじゃない?」とアドバイスしたくなります。問題を早く乗り越えてほしいと思うからこその気持ちです。逆に、的確なアドバイスができないから、相談に乗れないということもあるでしょう。
実は悩んでいる当事者は、的確なアドバイスよりも「この気持ちを分かって欲しい」「ただ、話を聞いて欲しい」と思っています。
アドバイスは相手の状況によっては的確ではない場合も多く、また相手の課題が大きければ大きいほど、相手に「分かったようなことを言わないでほしい」気持ちを抱かせる危険があります。
アドバイスはいりません。話を聞くだけでいいのです。
「問題を解決しなくていい」「アドバイスはしなくていい」というスタンスに立てれば、あまり気負うことなく話を聞く準備ができるでしょう。
話を聞く際もそんなに難しく考える必要はありませんが、多少のコミュニケーションスキルがあったほうが、同僚や部下が「○○さんに話を聞いてもらって本当に良かった」と思うでしょう。
最も簡単なのは「オウム返し」というコミュニケーションスキルです。「オウム返し」はその名の通り、「相手が話している言葉をオウムのように繰り返す」というもの。例えば、ストレスを抱え気味のAさんに、Bさんが話を聞くシーンなら……。
Bさん 最近、ちょっと疲れているみたいだけど、何かあった?
Aさん 最近、残業が続いているだよね。
Bさん そうか、残業が続いているんだね
Aさん 最近は、いつも終電で……。
Bさん いつも終電なんだ、大変だね。
Aさん 上司の○○さんい相談したいんだけど、なかなか言えなくて……。
Bさん なかなか言えないんだね。上司には言いづらいよね。じゃあ、今日は気分転換に飲みにでも行こうか。
「オウム返し」はこのようなイメージです。
相手が言いたいことを確認するように、「なるほど、あなたがいいたいのは○○なんだね」と繰り返すと、「あなたの話は、私にこのように伝わっているよ」と確認するニュアンスで伝わるとともに、相手には「この人は私の話を聞いてくれている。分かってくれている」という感覚を抱くことにつながります。
これらの方法は、シンプルな方法ながら実際にやっていただくと非常に効果的です。もちろん最初からうまくはできないかもしれませんが、複雑な方法にチャレンジするよりもシンプルなことを繰り返し実践したほうが変化を実感できます。
1人1人の小さな行動で、楽しく働ける職場を作っていきましょう。
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