アナログ時代を生きた40代上司は、なぜ意味のない書類を提出させるのかひといくNow!―人材育成の今とこれから―(1/3 ページ)

書類作成の方法が手書き→ワープロ→PCへ移行することで生まれた価値観と失われた価値観。その時代を生きてきた上司がなぜ意味のない書類を提出させるのか、その背景や、書類を作らなくて済む対応策を考えてみました。

» 2013年07月25日 11時30分 公開
[原田 由美子,Business Media 誠]
誠ブログ

 営業部門の30代層の研修を担当すると、必ず出てくるキーワードがあります。それは「意味のない書類作成に時間を取られて、営業に行けない」というもの。彼らの言う意味のないとは「使わない書類」や「見てるかどうか分からない書類」だったりするようです。

 社外に向けては仕方がないことがあるにしても、社内向けの資料はできる限り最小限に減らしたいもの。そこで今回は、上司が意味のない書類を提出させる背景や、そのような書類を作らなくて済む対応策を考えてみます。

40代上司世代の20代を知る 〜手書き→ワープロ→PC〜

 私は今年でちょうど40代半ば。45歳になります。私を含めた前後の層は、私が育った環境と似たような経験をしているので、その経験を紹介することで40代上司世代がどういう特性を持った人達なのかつかんでいただければと思います。

 1991年入社のわれわれ世代が会社に入社したころ、書類作成は手書きまたはワープロでした。1枚の書類を作成するにも手間暇が掛かっていた時代です。

 例えば今では考えられないことですが、絵を入れたいときはシール使ったり、絵をコピーしそれを切り取って貼り付け、さらにそれをコピーして1枚の書類にしたりしていました。

 またデータ入力と出力、情報検索などの作業は、私の場合は50人の営業部隊に4台ほど設置されたPCで行っていました。1人10分単位で区切った時間割を作り、お互いに時間を譲りながら進めていくのです。

 このような手間暇が掛かるので、90年前半ごろまでは書類は必要最低限。情報のやり取りは、対面でのコミュニケーションを通じてなされていました。

 そこから約5年。Windows PCが台頭し、インターネット環境が少しずつ整い、多くの企業が導入するようになった1996年以降。書類作成環境は変わっていきます。書類作成はワープロからPCに移行し、見栄えの良い書類が短時間で楽に作成できるようになりました。

 そして2000年を迎えたころには、PCは1人1台。インターネットも低価格で利用できるようになり、情報のやり取りはデータや書類を通じて進む割合が多くなっていました。

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