「kintone」に新機能――企業間のコミュニケーションが簡単に競合はメールとExcel

サイボウズは、業務用アプリを手軽に開発できるPaaSサービス「kintone」に新機能を追加した。企業間のコミュニケーションが取りやすくなったほか、カスタマイズ機能の提供も始めた。

» 2013年07月16日 15時30分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]

 業務用アプリを手軽に開発できるPaaSサービス「kintone」に、企業間コラボレーションなどの新機能が加わった。サイボウズが7月16日に開催した説明会で発表した。


「kintone」の概要

 kintoneは、サイボウズのクラウド基盤「cybozu.com」上で提供しているサービス。アンケートや売上集計、問い合わせ管理、日報、タスク管理など、日々の業務を効率化するWebアプリケーションを、数分で構築できる点が特徴。料金は300ユーザーまでは1ユーザー当たり月額880円、301〜1000ユーザーまでは同835円。2013年6月時点での契約社数は約700社。

 主な機能は、収集したデータを基にグラフ付リポートを作成したり全文検索したりできるデータベース機能、複数スタッフで作業を進める際に処理状況やアクションを設定できるプロセス管理機能、そして、データベースに登録された情報を確認、議論するコミュニケーション機能などがある。

関連会社、取引先とのやりとりが簡単に

 新機能として、企業間コラボレーション機能「ゲストスペース」を追加した。これまで多くのユーザー企業から、社外の取引先などとのやりとりがメールでファイル添付の方法を取っており効率が悪いといった課題があったという。そこでkintoneの画面上で「ゲストスペース」と呼ぶ関係者のみが閲覧できるプライベート領域を作り、情報を共有できるようにした。


企業間コラボレーション機能「ゲストスペース」

 ゲストスペースには、組織単位で契約しているメンバー以外のユーザーも招待が可能。招待されたゲストユーザーは、参加したスペースのみ閲覧できる仕組みだ。システム側では公開/非公開のスペースを分離しており、社内メンバーのみのスペースを外部の人が閲覧する危険はない。

カスタマイズ性を強化

 併せて今回のアップデートでは、カスタマイズ開発機能「JavaScript読み込み」も追加した。kintoneは簡単に業務アプリを作成できる一方、汎用性が高いのが特徴。今回の新機能により、カスタマイズ要素を高めたい企業ごとの個別ニーズにも柔軟に対応できるようになった。

カスタマイズの一例

 開発者向けサイト「cybozu.com developers」では、kintoneやcybozu.comのAPI、JavaScriptサンブル、ホワイトペーパー、SDKなどを公開している。

ユーザー部門から直接の引き合いが多い

 サイボウズ青野慶久社長は説明会の中で、ここ数カ月のkintoneの傾向として、大企業での導入が増えたことや、社外を巻き込んだワークフローが増えたこと、フルカスタマイズへのニーズが増加していることなどを挙げた。またサイボウズの他サービスと比較した場合のkintoneの特徴として「IT部門ではなく、ユーザー部門から直接の引き合いが多い」と紹介した。

 なお、サイボウズではkintoneを「チームワークプラットフォーム」と呼んでいることなども紹介。仕事で生まれるワークフローに対し、コミュニケーションを含んだチームワークの環境を提供するという。

 国内では日本空港ビルデングがkintoneを使って羽田空港国内線旅客ターミナルの館内呼び出し登録システムを構築するなど、徐々に事例が増えている。サイボウズでは米国でkintoneのテストマーケティング進めており、その中では、子どもの眼科医をしている人が、患者がきちんと眼帯をしているかをチェックできるアプリを作ったユニークな事例もあるという。

 「約1年半のサービス提供を通じて、kintoneは低価格でよりグローバルに業務アプリを開発できる環境を提供すると自負している。kintoneはクラウド時代のチームワークプラットドームとして、組織を超えた、顧客やパートナー企業を巻き込んで生み出す新しいチームワークを支援する」(青野社長)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ