第1回 ゆるやかに人脈を広げるための5つのコツ“独立プロフェッショナル”の仕事術

「この人はなぜ、こんなに人脈が広いんだろう」――。身の回りにそんな人はいませんか? 新連載の第1回では、社外ネットワークを広げるための5つのコツをご紹介します。

» 2013年07月08日 11時00分 公開
[小林利恵子,Business Media 誠]

“独立プロフェッショナル”の仕事術

 「情報収集」「企画」「交渉」など、独りで生き抜くためのプロフェッショナルの技は、組織で働く人にとっても役立つものがたくさんあります。

 本連載では、独立したプロフェッショナルワーカーとして複数の企業と契約を結ぶインディペンデント・コントラクター(IC)が、自ら培った技を、会社組織で活用するためのノウハウにおきかえてご紹介します。


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 ときどき、「この人はなぜ、こんなに人脈が広いんだろう」という人がいませんか。

 さまざまな業界の幅広い年齢の人とつながりがある人。もちろん、中には“多くの人とのつながりは不要で、気心の知れた少数の人との交流で十分”という考え方もあるでしょう。けれども、仕事をする上では、数多くの人を知っているほうが断然有利です。

 私は独立する際、すでに独立していた知り合いから「300人の名刺を集めなさい。仕事が回り始めるから」とアドバイスを受けました。

 人によってブレークスルーのポイントが異なるようで、私は1000枚の名刺が集まった段階で、少しずつ事業が転がりはじめているような感覚を覚えました。クライアントや見込み客だけでなく、パートナーとのつながりが増えることで仕事の幅が広がりつつあります。

 組織の中のビジネスパーソンも、社外のネットワークを持つことは大切です。

 出世している人は、社外にさまざまなネットワークを持っています。他の業界や企業の人の知恵やスキルとのコラボレーションは、創造的な仕事を生み出す資産になるからです。

 顔が広い人の行動は何が違うのでしょうか。それは「人と会う」「人に連絡する」数。とにかく多いのです。

 どのように人に会う機会を作っているのか、5つにまとめてみました。

テーマのある会に参加する

 勉強会や読書会、もしくは女子会やマーケティング担当者の会など、テーマを絞った会に参加します。自分の興味があるテーマに対し、同じように関心を持った人が集まるので話が盛り上がり、すぐ仲良くなれます。特に勉強会で知り合う人は意識が高く、仕事もしやすい(=仕事ができる)傾向があります。

 セミナーや研修の後の交流会は、可能な限り参加するといいでしょう。飲み会の席でしか聞くことができない講師や参加者のオフレコ情報を交換できるからです。

 異業種交流会は苦手――という話もよく聞きます。確かに営業モード全開で名刺交換をするようなギラギラした会で知り合った人とは、その後も連絡をとりあう関係になることはほとんどありません。お互いの関心や得意な点を見いだして“一緒に仕事をしたい”と思うステップが抜けてしまうからです。クライアントと顧客もパートナーという関係なので、1回名刺交換するだけでは次につなげるのは難しいものです。

幹事になる

 身の回りにやたらと幹事役をする人はいませんか?

 幹事は多くの人が面倒だと思っていますが、本当に面倒で損な役割でしょうか? 幹事役のところに人は集まります。人が集まる機会を自分で生み出すのは、とてもクリエイティブでコミュニケーション力を必要とする役割です。ほとんどの幹事は「単に飲み会が好き」だったりはするのですが、この“好きだから・楽しいから”というシンプルな動機が大切だったりします。

 誘いを待つばかりではなく、2〜3人程度の食事会から始めて、次にワインの会など、徐々に自分の好きな会を企画していくと、人が人を誘ってネットワークが広がります。また、似たような会に誘われるようになるという、正のスパイラルも回っていきます。

 ちなみに、私は申年の人を集めた申年会の幹事をしています。「ザ・ベストテン」や「8時だヨ!全員集合」の話で盛り上がる楽しい会です。ときどき、簡単に仕事の近況を情報交換しておくだけで、その後の仕事のコラボレーションの相談もぐっとしやすくなります。

ランチに誘う

 ランチはとても気軽なコミュニケーションの場です。

 仕事とプライベートの間に位置するランチは、お互いを知るサードプレイスです。飲みに行くほど時間がかからないので、忙しい人でもセッティングしやすいのがメリットです。お昼休みの60分では少しせわしないので、時間の調整ができる場合は90分くらい確保してゆっくり話します。

飲めなくても飲みに行く

 知り合いの出版社の社長は、若い頃に先輩から「飲めなくても飲み会には行け」と教えられ、それが後々、本当に役立ったと話していました。食べに行くことは好きな方だったので、先輩の言葉を聞いてウーロン茶を片手に飲み会の場に参加し続けたところ、いろいろな人との出会いに恵まれたそうです。

 人と仲良くなる方法の1つに「共通項を持つこと」があります。

 ランチも食事会も、美味しいものを一緒に食べるという楽しい共通項を持つことで、相手との距離が近づきます。

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すぐ連絡する

 いろいろな場で人に会ったとしても、その後、何もアクションをしないとお互い忘れてしまいます。

 特に、関係性を長く続けたい人と出会ったときには、できれば当日、遅くとも翌日までには連絡をとります。そして、1カ月以内に少人数で会う機会を作ると、お互いに頭の中に記憶が刻まれ、何かあったときにふと思い出す存在になっているはずです。

 「仕事のために人脈を増やすぞ!」と意気込みすぎると、お互い疲れてしまうもの。この人面白い、相性が合う、もう一度会いたい――という人と、連絡をとりあえる関係を少しずつ増やしていくことが、ゆるやかな人脈づくりに一番大切なことかもしれません。

著者プロフィール:小林利恵子

小林利恵子

 証券の人事部、輸入販売代理店の販売を経て、社団法人日本印刷技術協会に入社し、IT・ビジネス系のセミナーや懇談会、研究会などを企画・運営。印刷・出版業界向けの認証試験を立ち上げる。その後、Web制作会社 ロフトワークに入社し、広報マネージャーとして、イベント・セミナーを中心に同社のブランディング向上に貢献する。

 2010年4月、オプンラボを設立。「楽しく学ぶ場づくりを通じた個人と企業の成長支援」をミッションに、プレス発表会、マーケティングセミナーなどのイベントや、企業・官公庁・政党・介護施設のマネジメント・コミュニケーション研修を企画プロデュース。主催するビジネスパーソンの学ぶ場「opnlab」には500名の識者が登録。7月創刊「アスキークラウド」編集委員。インディペンデント・コントラクター協会 理事


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