「意見を述べよ」に「感想」を答えるな「話し方」より「答え方」

意見を求められたら、感想を言うのではなく提案をしましょう。とても単純なことなのですが、これを学校でも教わったことがないばかりに「何を答えたらいいのか分からない」と沈黙してしまう若者は非常に多いのです。

» 2013年07月04日 10時30分 公開
[鈴木鋭智Business Media 誠]

仕事に必要なのは、「話し方」より「答え方」について

 部下の仕事の9割は、聞かれたことに正しく答えることです。ビジネスにおける答え方には「こう聞かれたら、こう答える」という決まった型があります。「打てば響く部下」と思われるために必要な「受け答え」の技術を大手予備校で現代文、小論文を指導する「国語のプロ」が伝授します。

 この記事は2013年6月14日に発売された中経出版の『仕事に必要なのは、「話し方」より「答え方」』(鈴木鋭智著)から抜粋、再編集したものです。


 「えっ、あっ、意見ですか? 特に……ないんですけど(汗)」

 「まったく、ゆとり世代は自分の意見すらろくに言えないんだから!(怒)」

 「意見」を求められると、何も答えられず固まってしまう人は少なくありません。そんな新人を見た上司や先輩は、「主体性がない」「頭が空っぽ」「人の話を聞いてない」「態度が反抗的」など、言いたい放題。

 でも、本当に「頭が空っぽ」なのでしょうか?

 案外、本人は「ここで自分の感想を言っても『そんなの聞いてない』とか言われそうだし、本で調べたことを言っても『知ったかぶりしやがって』と思われそうだし、一体、何を答えたら『意見』になるんだろう?」とあれこれ考えているかもしれません。

問題「キラキラネームが増えている現状について、君の意見を言ってくれ」

× 子どもに変わった名前を付けるのは教養のない人のすることだ、と吉田兼好も『徒然草』の中で言っています。個人的には子どもがかわいそうだなと思いますね。ゆとり世代の親たちは理解不能です。

○ キラキラネームは、優等生よりも唯一無二の存在になってほしいという親が増えている証拠です。だから、わが社の教育雑誌も「できる子を育てる」ではなく「アヴァンギャルドな子を育てる」路線のものを出したら売れると思います。


 ビジネスの世界で「意見」といったら、「事実の説明」や「個人的な感想」ではなく、「提案」のことだと覚えておきましょう。

 なぜなら、議論を前に進めるために聞かれるのが「意見」だからです。

「かわいそう」「理解不能」は個人的な感想。感想を述べられても、「はあ、そうですか」と言うしかありません。人の気持ちや感想には賛成も反対もしようがないため、そこから議論が発展することはないのです。

 しかし「アヴァンギャルドな子を育てる教育雑誌を出そう」と言われたら、その案を実行するかしないかを決める必要が出てきます。恐らく賛成の人、反対の人がいて、それぞれの主張を戦わせるでしょう。それでこそ会議は前に進みます。これが、ビジネスパーソンに求められる「意見」なのです。

 意見=提案すること

 とても単純なことなのですが、これを学校でも教わったことがないばかりに「何を答えたらいいのか分からない」と沈黙してしまう若者は非常に多いのです。

 「〜するべきだ」「〜が必要だ」「〜はやめよう」……などなど。意見を求められたら、これらの形で発言しましょう。

 もっとも、新人のうちは間違った提案や青臭い提案をしてしまうことはよくあること。でも、反対を恐れる必要はありません。

 むしろ反対されてこそ1人前の「意見」。誰からも反対されない発言は、「あってもなくてもいい言葉」にすぎないのです。

問題「『社員全員で毎朝トイレ掃除をしよう』というワンマン社長の思い付きについて、意見を述べなさい」

× 大賛成です。社員が団結し、環境もきれいになって業績も上がる。すばらしいアイデアでございます。パチパチパチ♪

○ 大変すばらしいご提案だと思います。いっそのこと掃除用具も新調して楽しく掃除できるようにしたら、社員のモチベーションも上がると思います。


 絶対に逆らえない権力者はどこの組織にもいるものです。しかしだからといって「全面賛成」というのは芸がありません(ビジネスの世界で特定の人間のイエスマンになるのは危険です。社内の権力争いでボスが失脚すると、一緒に粛清されてしまいます)。

 こういうときは「権力者のアイデアを前に進めるための新たな提案」をしましょう。反対するのは、せいぜい備品の担当者くらい。社長からはイエスマンでもなく反逆児でもない、「前向きな意見を言える部下」と高く評価してもらえます。

今回のまとめ:意見=反対を恐れず提案する


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ