企業向けの高度できめ細かいセキュリティ、Androidで実現――ドコモの「SECURITY for Biz」OSレベルで機能強化(1/2 ページ)

より強固なセキュリティと使いやすさを両立――。NTTドコモがAndroidの法人向けセキュリティサービスを強化した。OSレベルの機能強化を図ることで、企業のより細かなセキュリティのニーズに対応できるようにした。

» 2013年06月28日 15時18分 公開
[後藤祥子,Business Media 誠]
Photo Android端末のセキュリティ強化について説明するNTTドコモの有田氏

 Android OSといえば、自由でオープンなところが魅力だ。端末の選択肢が多く、開発プラットフォームもライバルのiOSに比べて制約が少ない。また、アプリ配信も自由に行えることから、ビジネスにおいても利用シーンが急速に拡大している。

 ビジネスシーンでの利用が増えると重要になるのがセキュリティ対策だ。端末内で扱うデータは多様化し、端末の紛失や不正アクセス、業務外利用といったセキュリティリスクも高まる。安全に利用するためには、社員の誰が、どこで、どんな機能を使えるようにするかをしっかり管理する必要がある。

 こうした中、端末ラインアップの主軸にAndroid端末を据えているNTTドコモは、対策の一環として今夏から法人向けAndroid端末のセキュリティサービスを強化し、「SECURITY for Biz」として提案することを明らかにした。

 NTTドコモ 法人事業部で事業企画・法人マーケティング担当課長を務める有田浩之氏は、モバイル端末のセキュリティに関する企業の要望として、「セキュリティは担保したいが、最新の好きな端末を選びたい」「強固なセキュリティと使いやすさを両立させたい」「管理者の負担を軽減させるためにシンプルに簡単なメニューで管理したい」「セキュリティ製品を導入する際の検証稼働を減らしてスピーディに導入したい」という声が挙がっていると説明。今回の機能強化は、こうした声に応えるものだと自信を見せた。

OSレベルの機能向上できめ細かいセキュリティ設定が可能に

 SECURITY for Bizは、「OSレベルの機能強化」と「暗号化、VPNといった法人ニーズの高い機能のサポート」で構成される法人向けのセキュリティ機能だ。

 OSレベルの機能強化は、Android端末を利用する際により細かくセキュリティ設定を行えるよう、標準OSに手を加えることで実現している。OSをカスタマイズすることで、Androidの持つ標準APIだけでなく、新たなAPIでアプリを作れるようになるというわけだ。「企業から求められるさまざまなセキュリティポリシーに合ったメニューを用意できるようになり、進化の速いスマートフォン向けのセキュリティソリューションについても、常に求められるものを提供できる環境が整った」(有田氏)

 ドコモのAndroid端末には、2012年冬モデル以降のスマートフォン、タブレット端末からこの機能が組み込まれており(一部機種は除く)、法人向けのモバイル端末管理サービス「ビジネスmoperaあんしんマネージャー」(以下、あんしんマネージャー)と組み合わせることで利用できる。これに伴い、7月1日からあんしんマネージャーのメニューには、機能強化で実現した新たな設定項目として「デバイス制限」「インストール制限」「アプリ管理」「遠隔設定」が追加される。

 機能強化によって実現した設定の一例として挙がったのは、より柔軟なデバイス管理。SECURITY for Biz対応端末とあんしんマネージャーの組み合わせにより、管理者が遠隔から社員の端末のUSB、Bluetooth、FeliCa、Wi-Fiといったデバイスを制御できるようになるという。ほかにも管理者が遠隔操作で社員の端末に必要なアプリを自動でインストールする「サイレントインストール」、社内で利用が禁止されたアプリを社員がインストールしていた場合に管理者が遠隔操作でアンインストールする「サイレントアンインストール」、Wi-Fi接続時に特定のSSIDのみ利用できるようにする機能などを利用可能だ。

 OSレベルの機能向上が図られたことであんしんマネージャーは、アプリごとに100以上のパーミッションを設定できるようになり、「例えばアプリに履歴を残す/残さない、ユーザーデータを消去する/しない、SDカードにコピーを許す/許さない――といったパーミッションを個々に設定でき、利便性とセキュリティの担保の両立が可能になる」(有田氏)という。

Photo OSレベルの機能強化を図ることで、より細かいセキュリティ設定が可能になる(画面=左)。これに伴い、ドコモのモバイル端末管理ソリューションのあんしんマネージャーには4つの項目が追加される(画面=右)

Photo 標準APIでは対応できなかった柔軟な設定が可能になる。なお、「dtab」のようにWi-Fiのみに対応する端末は非対応となる

 SECURITY for Bizの対応端末は、セキュリティ環境の導入・管理がしやすいのもポイントだ。企業の管理者があんしんマネージャーを申し込み、管理画面から「制御開始」のボタンを押すと、ドコモのネットワークを通じて社員の業務端末にセキュリティ用のアプリが自動でインストールされる。利用する社員が、アプリ上の「同意ボタン」を押すだけで、端末が管理者の制御管理下に入り、システム管理者がポリシーに応じた制御を行えるようになる。

Photo 2012年冬モデル以降のスマートフォン、タブレット端末にはセキュリティ機能が組み込まれている
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ