敵を味方に変えていく世界で通用する人がいつもやっていること(1/2 ページ)

あなたは周りの人とうまくやっていますか? 中には、嫌がらせをしてきたり意見をまったく聞いてくれないなど、世の中は自分に好意的な人ばかりではありません。面倒な相手ごとに対応を変えていけば、敵を味方にすることができるのです。

» 2013年06月11日 11時00分 公開
[中野信子,Business Media 誠]

集中連載「世界で通用する人がいつもやっていること」について

 本連載は、世界で通用する仕事やコミュニケーションをこなす一流の人たちが実践していることを紹介している、中野信子氏著、書籍『世界で活躍する脳科学者が教える! 世界で通用する人がいつもやっていること』(アスコム刊)から一部抜粋しています。

 世界で通用する人がいつもやっていることとは、具体的にはどういうことなのでしょうか? 実は、「空気は読まない」「敵を味方にしていく」「適度なストレスを与える」「いつでも仕事が楽しそう」など、ちょっと練習が必要なものもありますが誰もが簡単に身につけることができるものばかりなのです。

 著者の中野氏は、東京大学大学院医学系研究科出身の脳科学者。世界上位2%のIQ所有者のみが入会を許される「MENSA」に所属し、フランス原子力庁勤務の経験もあるという。本書は、世界で活躍する脳科学者・中野信子氏が世界中で出会ってきた、世界で通用する仕事やコミュニケーションをこなす一流の人たちが実践していることを紹介した、今までにない自己啓発書です。本書を通じて、自分を磨くことをどんどん楽しめる人になってください。


著者プロフィール:

中野信子(なかの・のぶこ)

 東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻修了、医学博士。2010年までフランス原子力庁に勤務。世界で上位2%のIQ所持者のみが入会できるMENSAの会員。

 現在、脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行っている。

 学習法だけにとどまらず、音楽と脳、セックスと脳、コスプレと脳、恋愛と脳、人工知能と脳、言語と脳、香水と脳など、従来にない脳の分析も得意とする


人格ではなく行動だけを否定する

 Aさんの「味方を作っていく」テクニックは、敵(ないし困った相手)がいる場合にも有効です。ここでは、彼女が努力していたことをもう少し紹介します。

 まず1つ目は、ルールを守れない相手に困っている場合。

 この場合は、相手をとりあえず全力で持ち上げます。批判したり叱ったりは一切せず、盛大に褒めて称賛を浴びせます。少なくとも、数分間続けるのがいいでしょう。

 そして相手の気分が高揚してきた頃を見計らって、よく遅刻するなどといった直してほしい行動について「それは、ありえないよね〜」とあっさり伝えるのです。相手の人間性についてはあえて一言も触れないようにします。あくまでも、困った行動だけを「ありえないよね〜」と伝えるのがポイントです。とても簡単にできて、しかも効果的な方法です。

相手の意見をまずは受け入れ時間を置いて再度交渉

 2つ目は、意見を聞いてくれない相手に出くわした場合。

 Aさんは、先に相手の意見を受け入れるという手を使っていました。パーカッショニストのCさんは、Aさんが書いてきた曲が気に入りません。彼女の提案してきた奏法、楽器、何もかもが無理のある選択だと考えているからです。AさんはCさんに演奏してほしいのですが、CさんはAさんの言うことに耳を貸しません。

 Aさんは先に折れ、こんなふうにCさんに伝えました。

 「この前の話を考えてみたのだけれど、やはりCさんが正しいと思う。Cさんの言っていたことに賛成するわ」

 Cさんは「実際に演奏するのは自分であり、その実際的なアドバイスを作曲家が受け入れたということは、Aさんにもちゃんと判断力があるようだ」と、Aさんに対して一目置くようになりました。

 Aさんのうまいところはそれから二晩ほどおいて、Cさんが「無理って言っちゃったけど、もうちょっと自分が頑張ればできたことかもしれないな……」と思い始めた頃を見計らって、もう一度「無理だということは承知しているのだけど、あなたがやれるようにこの点を修正するので何とかやってもらえないかな?」と再び提案したことです。

 そして「あなたがやれるように修正するので」と譲歩の姿勢を見せることも忘れないのがまた小憎いところです。

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