何においても頑張ることは良いこと。ただ、やみくもに頑張るのではなく、成功も失敗も分析して戦略的に次に生かすように頑張った方が、もっと効果が望めるだろう。
この記事では、某企業の若手社員「私」の“困った”“悩んだ”を例に挙げ、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントを紹介します。
以下、私を自分に置き換えてもよし。私にアドバイスをするつもりで読んでもよし。「ちょっと試してみようか」と思っていただければうれしいです。
私は現職の人材教育コンサルタント会社で入社3年目の女性社員。学生時代は女子ラクロス部の主将で、基本的には前向きな性格です。仕事にも慣れ自信も付いてきたころですが、先日希望と違う部署に異動になりました。私はややヒューマンスキルが未熟なこともあり、自分とうまく向き合えず、周囲や仕事とうまくかみ合わず、少々悩み気味です。
この間、同僚から耳の痛い話を聞いた。周囲に自分の提案を受け入れてもらうには、まず信頼を得ている必要がある。かなり反省をした私は、これから少しずつでも信頼の貯金を増やそうと誓った。
さて今週から新たに与えられた仕事は、某サービスが終了する旨を伝えるアウトバウンド。終了の案内とともに、新サービスの移行と契約継続を促す。この手の仕事は随分前からサービス終了を案内しているにもかかわらず「聞いてない」と言われることが多いのが特徴だ。しかし信頼の貯金を増やすためにも、頑張ろうと思う。
他メンバーは着実に継続率を上げている。私は真剣に頑張っているのにいまいち成果が上がらない。若干あせり始めた私に、リーダーが声をかけてきた。
リーダー どう、調子は?
私 頑張っているんですが、なかなかうまくいかなくて……。
リーダー ああ、うん、確かに先週より頑張っているのは分かるよ。
私の頑張りを認めてくれた。少し貯金は増えたのだろうか。うれしい。
私 でも、みんなは成約率上げているのに、私はダメで。何かコツがあるんでしょうか?
リーダー うーん、コツかあ。ただ、その前にちょっと1つ聞きたいんだけどさ。
私 はい。
リーダー 真剣に頑張っているって、どんな感じで頑張っているの?
またよく分からないこと聞いてきた。この部署は禅問答好きが集まってるのか?
私 どんなって……。とにかく真剣に頑張っているんですが……。
リーダー じゃ、精神論的な頑張りなんだね。ということは、同じ方法を繰り返している、ということでいいのかな。
私 まぁ、そういうことになりますかね。
リーダーはちょっと考えてから、ひらめいたように言った。
リーダ あのさ、昔の偉い人が言ってた言葉で今の状態に当てはまる言葉があるよ。ニュアンスとしてはこんな感じ。
「同じ方法を繰り返して違う結果を期待するのは、愚か者のすることだ」
リーダーはぴったりでしょ? と言わんばかりの表情だ。
リーダー 断っておくけど、今のは悪気でも嫌みでもないよ。あなたが最近頑張っているからアドバイスしようと思っただけだから。先週まではさっきみたいな質問もなかったしね。じゃ、さっきの話に戻ろうか。例えば、「電車に乗り遅れて会社に遅刻したら、あなたは明日も同じ時間に家を出ますか?」
私は答えた。