カフェなどの無料Wi-Fi、利用時にはどのくらいセキュリティ対策をするべき?3分LifeHacking

ハッキングされたり、パスワードを盗まれたり、なりすましをされたり――。そんなことに巻き込まれる確率は低いとはいえ、確率がゼロでない限り対策したほうがいいというのが筆者の考えだ。

» 2013年06月07日 10時00分 公開
[ライフハッカー[日本版]]
ライフハッカー[日本版]

 Wi-Fiネットワークは破られるし、パスワードやcookieも見破られる可能性がある。それを踏まえた上で質問です。街角のカフェでメールをチェックするために公衆Wi-Fiを使うのは、実際どれくらい危険なものなのでしょうか?

Photo

 私のメールには極秘事項のような特別なものはありませんし、他にはただネットサーフィンをしているだけです。カフェに自分ひとりしかいない時や、図書館でネットを使っているような時、本当にVPN経由でメールを送ったり、セキュリティ対策のツールを使ったりする必要があるのでしょうか?

 ライフハッカーではこれまで、公衆無線LANに関するプライバシーやセキュリティの記事をご紹介していますが、そこまでして守る価値があるのでしょうか?

 VPNやセキュリティツールがPCの動きを遅くしたり、時にバグがあったりすることも分かっています。しかし、結論としては、やはり守った方がいいと思います。私たちは「正体不明のセキュリティは、まったくセキュリティ対策をしていないようなもの」という昔の格言を思い出さなければなりません。

自分の身を守ることはそんなに面倒なことではない

 たった1通のメールをなくしたり、たった1つのオンラインバンクのパスワードを見破られたり、たった1回Facebookのアカウントをハッキングされただけで、あなたの生活がめちゃくちゃになることがあります。もしくは、少なくとも数カ月は不便な生活を余儀なくされるでしょう。

 むしろこちらが聞きたいのは、「なぜそんなに怖いもの知らずなんですか?」ということです。VPNで接続してブラウザを使ったり、複数のパスワードを使い分けるためにパスワード管理ツールを使ったりするのは、多少は不便かもしれません。しかし、これは極端な言い方をすると「まったくセキュリティなしか、セキュリティありか、どちらがいいか?」という話です。

 パスワード管理、アンチウィルス/マルウェア、Webブラウジングを暗号化してくれるVPNなど、本当に必要なセキュリティツールについて考えてみると、どれも無料で手に入るものがあります。それを使わない理由はどこにもありません。

 パスワードを安全で、強力で、多様なものにしたいですか? まずイチオシは、「LastPass」。無料の「KeePass」もオープンソースでおすすめです。

 無料の良いアンチウィルスソフトをお探しなら、「Microsoft Security Essentials」がいいです。アンチマルウェアソフトの「MalwareBytes」もいい仕事をします。

 VPNに関して言えば、米Lifehackerでは自分の身を守るためにVPN環境を構築する方法(英語)を紹介したことがありますし、「Hotspot Shield」や「CyberGhost」など無料のサードパーティのVPN接続サービスもあります。どれか一つのサービスが自分のパソコン環境と合わなかったり、接続が遅くなったりしたとしても、他にも選択肢はたくさんあります。ですから、「パソコンが遅くなった」とか「必ずクラッシュする」という言い訳は、無防備な状態で公共のネットワークに接続してネットサーフィンをする理由になりません。

その場に1人きりだとしても、誰も見ていないわけではない

 小さな街のカフェに自分1人だけだったら、そのWi-Fiネットワークを使っているのはあなただけでしょう。つまり、駐車場に車を停めて無料のWi-Fiを使っても、使用帯域を抑えるために近くのビルの人がカフェのWi-Fiを使っても、誰かがそういうことをやっているのを見ても、誰にも止められないということです。しかし、その場に1人きりに見えるからといって、そのネットワークを使っているのがあなただけとは限りません。特に、図書館や空港、ホテル、コンベンションセンターのような広い場所では、大きな1つのネットワークがその場所全体に広がっています。

 地元の小さなカフェや本屋さんが、ハッカー対策をしていると思いますか? おそらくしていないでしょう。大量のパケットデータを取るだけの時間があれば、ワイヤレスのネットワークでハッキングするのに熟練した技術は要りません。

 これも「なんでそんなに怖いもの知らずなんですか?」というシチュエーションです。街角のカフェもしかり、図書館ならもっと標的になりやすいかもしれません。空港の公共無料Wi-Fiやホテルでは、ほぼ間違いなく誰かが“おいしいデータ”を狙っています。パスワードを盗もうとして、もしくは単純に興味本位で、オープンなネットワークを誰かが使っているかどうか分かりませんが、VPNでそういうことがほとんど(すべてではありませんが)防げるのですから、使わない理由はありません。周りに誰もいないだけで安心してしまうかもしれませんが、ネットワークを嗅ぎ回っている人は間違いなくいるのです。

石橋を叩いて渡ろう

 前述の通り、自分の身を守ることはそんなに面倒なことではありません。PCにいくつかのセキュリティソフトを入れていても、そこまで遅くなることはありませんが、もっと軽いツールやソフトが使いたいと思っているのであれば、今がそれを探すタイミングだと思います。セキュリティ関連のものはたくさんあるので、いくつか選んで試してみて、自分に合うものを見つけましょう。

 ハッキングされたり、パスワードを盗まれたり、なりすましをされたり、そんな恐ろしいことにあなたが個人的に巻き込まれる確率は低いというのは分かっています。しかし、確率がゼロでない限り、自分の身を守るのは簡単なことですから、そうしたほうがいいと言わざるを得ません。群衆に紛れて、自分がそんなことに巻き込まれませんようにと願っても、それは自分の身を守ることにはなりません。

 ちょっと神経質すぎると思いますか? 確かにその通りです。セキュリティの専門家は、身を守るためのセキュリティ対策を施してもらうために、少し大げさにハッキングや個人情報を盗まれることの危険性を説きます。しかし、よそ見をしていたら車にひかれるかもしれない、玄関のカギをかけ忘れたら泥棒に入られるかもしれない、というのと同じことです。自分の身を守る行動が理に適っていると思うのであれば、ぜひそうしてください。技術的に難しいことは何もありません。ただ一度やるだけでいいのです。

 自分のやっていることと、その危険性が分かったら、カフェでネットワークを使っている時に、大事な情報を送受信するのはやめましょう。「作業中に誰かが肩越しにのぞくかもしれない」ということは気にしなくていいと思います。最終的には自分で決めることですが、石橋を叩いて渡るくらいでいいと思います。

copyright (c) mediagene Inc. All rights reserved.

注目のテーマ