営業マンの居場所を管理したら売上が20%アップ――追跡ツール「GPS Punch!」を使った4つの事例(2/2 ページ)

» 2013年06月05日 18時00分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

営業マンの位置管理をしたら売上が20%アップした

 不動産業を営むアイダ設計では、社員数約800人のうち500人が外周り業務を行っている。その500人を対象にGPS Punch!を導入した。

 まず効果が表れたのが、出勤管理。10時に出勤しないとプッシュ通知が来る機能を使ったところ、出勤の登録し忘れがなくなったという。

 業務分野別にみると、営業部門ではこれまで1日平均4件のアポイントだったところが、周辺の顧客情報が把握できたり提案状況が共有できたことによって5件に増加。商談ランキングもひも付けて報告書を提出するなどの仕組みも設けたことで、結果として売上が20%アップしたという。



 保守部門でも顧客満足度の向上に効果が見られた。例えばある物件の階段にひび割れが発生した場合、それをGPS Punch!で撮影(画像データで登録)、時間、場所を記録し、作業が終了したら顧客に提示するといった使い方をしている。保証期間中にきちんと対応していることを明確化したことで、顧客からの評判が上がった。

除雪作業を効率化、残業を10%減らせた

 続いては、除雪作業者での活用事例。除雪作業は、基本的には行政からの依頼を基にルートを決め、除雪終了後に書類で報告するといった仕組みを設けている。この書類作成作業に掛かっていた時間をGPS Punch!で大幅に削減できたのだ。GPS Punch!を使えば、除雪車が走ったルートを自動で記録でき、かつ滞在時間などもデータ化。それをCSV形式で出力できる。結果としてある業者では、残業時間を10%減らすことに成功した。



 またGPS Punch!には、滞在時間が長くなると地図上で該当車の位置表示を「青」から危険を意味する「赤」に色を変更する機能がある。これによってエンストなどのトラブルが起きているかをすぐに検知できるようになっている。

商品陳列の報告に使って売上30%アップ

 ある化粧品会社では、自社の商品が各店舗でどう扱われているか、商品陳列の確認をするスーパーバイザーの業務にGPS Punch!を導入した。位置情報、時間、実際の現場画像、コメントなどをGPS Punch!で報告することで、リアルタイムに売り場の状況を把握。店舗ごとの状況を管理できるようになったほか、地図を見ながら各店舗を効率よく回れるようになった。商品の補充作業も効率化し、結果として売上が30%アップしたという。



既存顧客の継続率が50%→70%に

 最後は、法人向けに携帯端末を販売する会社の事例だ。その会社では、約30万件の顧客情報を持っていたが、活用しきれずに販売機会を逃していたという課題があった。2年に1回ある携帯電話の乗り換え時期に、継続率は50%ほどだったという。そこでGPS Punch!を導入。顧客の住所と名称、過去の商談内容などを位置情報とひも付けて管理し、かつ乗り換え時期(導入から2年後)が近づくとアラートを出す機能を利用した。その結果、課題だった継続率が70%まで向上し、顧客フォローの機会も増えたという効果が得られた。

過去のクライアント情報もGPS Punch!に登録しておくことで次回の継続率アップにつながる

 今回紹介した事例以外にも、GPS Punch!は配送、建築、医療、警備といった幅広い業種で活用されている。位置情報の管理という一見マイナスなイメージにとれなくもない行為だが、使い方次第では業務の効率化、ビジネスチャンス拡大の機会を生み出すものであると言えそうだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ