ファストフードの店頭でよく見かけるチラシの配布をこれまでナポリスでは一度も行ったことはないという。さまざまな目的を持って渋谷の街を歩いている人にランダムにチラシを渡しても、効果は薄い、というのが續さんの考えだ。それよりもLINE@でコアなファン=ターゲットにタイムリーなメッセージを届けていく方が良いという。
ナポリスでは、LINE@限定の裏メニューを用意しており、画面を店員に見せることでオーダーできる。キャンペーンや割引クーポンを配っていないときでも、LINE@で特別な体験ができる方法を用意してあるのは1つのポイントといえるだろう。
また雪の日など来店者数が減ってしまうことが見込まれるときには、ドリンクの無料サービスをLINE@を通じて呼びかけ、来店促進を図っている。次回詳しく操作画面を紹介するが、クーポンは1回使うと無効にする設定も可能で、その場合は顧客からクーポンの提示を受けた店員が、スマートフォンの画面上でボタンをタップすることになる。
「LINE自体はLINE@導入前からスタッフ同士の連絡で使っていたので、現場での活用がスムーズに進みました」と續さん。ただ、店舗それぞれの店長がLINE@で情報発信するのではなく、あくまでも續さんが彼らとコミュニケーションを取りながら発信を一手に担っている。刑事ナポリスというキャラクターの世界観をぶらさないための工夫なのだという。
クーポンやキャンペーンの企画そのものは、従来の手法と大きく変わらない。季節感と生活感に応じて企画を立て、タイミング良く発信していくことを繰り返している。たとえ短いメッセージであってもプッシュで届く分、その内容や頻度には気を遣わなければならない。
いったん「友だち」からブロックされてしまえば、再び友だち申請をしてもらわない限りはメッセージを届けることが出来なくなってしまうからだ。そのため續氏は、投稿はPCからその内容を十分吟味して行うようにしているという。
「かなり配慮したメッセージを発信しても、必ず数件はブロックされてしまいます(ブロック数は管理画面から確認できる)。2日立て続けに配信したり、週2〜3回の頻度で出してしまえば、その比率はものすごく上がってしまうはずです」
とはいえ、續さんはブロック数に対してはそれほど神経質には捉えていない。出店を加速する中、LINE@でファンを育成すると同時に、現在2000人強の友だち=ファンにナポリスを育てて欲しいという想いが根底にあり、そこからぶれない限りはさまざまな仕掛けを、LINE@に限らず他のソーシャルメディアとの組み合わせながら実行していきたいという。
月額5250円という手軽な料金設定のLINE@。LINE@だけを従来のDMやチラシのような感覚で運用できるのも魅力ではあるが、ナポリスで續さんが取り組んでいるように、より大きな視点で活用を図ることが結局は成功への近道とも言えるだろう。今回の活用事例をイメージしてもらいながら、次回で具体的な操作方法を把握してみてほしい。
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