なぜ新入社員は打たれ弱いのか?ひといくNow! 人材育成の今とこれから(1/2 ページ)

いつの時代も、社会人経験が少ない新入社員は打たれ弱いものです。先輩社員が彼、彼女らにできる訓練は何か、自分の経験も踏まえて考えてみました。

» 2013年04月01日 11時50分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]
誠ブログ

 新入社員に打たれ強くなってもらうために、彼らにとっては難易度の高いテーマを与えたり、厳しい口調で叱りながら取り組ませたりする研修を、テレビで紹介していたことがありました。私が新入社員だったバブル前後の時代は、新人営業の根性を鍛える(?)ために、飛び込み営業をさせ、名刺を100枚集めるまで戻ってきてはいけないとか、顧客リストを渡して電話と手をガムテープでくっつけ、アポイントが取れるまで電話をかけ続けさせるなど、さまざまな訓練方法がありました。

 このことから言えるのは、20年前も今も新入社員は打たれ弱いので、何かしらの訓練が必要だと感じている人が多いことです。しかし、訓練方法はさまざまな試行錯誤が続いているものの、「これだ!」という素晴らしいアイデアは、いまだ見つかっていないように思います。

 上記のことを踏まえ、今回は新入社員を「打たれ強くする」ためにできることを考えてみます。その前に、まずは新入社員が打たれ弱いといわれたケースを3つ紹介します。

ケース1:上司から注意を受けた新入社員A君

 ある日A君は、1週間先の有給休暇を取るために休暇届をOJT担当のS先輩に手渡しました。S先輩は、その休暇届をT上司に提出しました。T上司はA君のところに行き、「休暇届は先輩ではなく、上司である自分に提出すべきもの。自分で申請するのが筋」と、厳しい口調で伝えました。その後、A君はその日の午後ひどく落ち込んでしまい、仕事が手につかなくなりました。そして翌日、会社を休んだそうです。

ケース2:怖い上司に震え上がるB君

 新入社員のフォローアップ研修に参加したB君は、同期や講師に「上司が怖くて仕方がない」と訴えていました。「上司のどんなところが怖いの?」と聞くと、「会議資料のとじ方やホチキスの留め方が悪いと、どやされるんです」「どんな風にどやされるの?」「『ざけんなっ、こんな留め方するやついるか? 前にも言ったろう』みたいな感じでとにかく怖いんです」

ケース3:先輩の対応が「理不尽」と訴えるC君

 入社2年目を迎えるC君は、1年間の出来事を振り返るワークを終え、皆で話し合う場面で次のような発言をしました。「社内で発表をしなければならない機会があって、先輩から任されて取り組んでました。資料作りがすごく大変で、残業したりしながら作成して、先輩に見てもらったら、ダメ出しされて……。そしたら先輩が、昔自分が作ったやつ見る? って机の中から出してきたんですよ。だったら、最初から出してくれればいいじゃないですか。一生懸命やったって、無駄ですよね。こんな理不尽な対応ってないですよね」

 さて、ケース1〜3をご覧になっていかがでしょうか? この3つのケースは、企業名を聞けば知っている人も多い企業で、実際にあった話です。時期は、1998年〜2010年の間。紹介したケースの人達の人柄は、例えば、研修参加者として30人ぐらいの人の中に居れば、元気がよく、メンバーをリードできるタイプです。話を聞くまで、こんなことでへこんだり、ビクビクしたり、憤慨したりするタイプの人達には見えません。また、紹介した例以外にも、似たような話はたくさんあります。

 1つ1つをあらためて見ると「なんでこんなことぐらいで……」と思う人もいると思います。しかし社会経験が少ないうちと言うのは、この程度のことでも、1つ1つを大きなこととしてとらえる人もいるということを、知ってもらいたくて取り上げました。

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