仕事は楽なのに、心は疲れる――なぜこうした現象が起きるのかボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/3 ページ)

仕事をしていて「肉体的には楽なのに、精神的につらいなあ」と感じている人もいるだろう。なぜ心と体のバランスが崩れてしまうのか。筆者が自分の経験を振り返ったところ、2つのキーワードが浮かび上がった。

» 2013年03月06日 11時00分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)がある。

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 今、「仕事に負けない“こころ”」をテーマにした新刊を書いていて、自分自身が仕事に負けそうになっていたプログラマー時代のことを思い出しました。

 そのひとつが、1999年に経験した話。新しい技術を使ったソフトウエアの開発でした。技術者が集まったものの、新しい技術ゆえ精通した人がおらず、1人、2人とプロジェクトから離れて行き遅々として進みませんでした。納期が迫っていて、「もう間に合わない!」というタイミングで開発に加わりました。とにかく時間がないので、私は会社に寝袋を持ち込み、泊まり込みでプログラムを組んでいったのです。

 もうひとつが、2003年に経験した話。32歳のとき「プログラマーを続けたい」という思いで転職し、大規模のシステム開発に携わったのですが、スケジュールや効率、品質重視の、精神的に苦しいプロジェクトでした。

 どちらもひとことで言うと「つらかった」「しんどかった」なのですが、明らかに違いがあるのです。それを言葉にすると「存在」「プライド(誇り、自尊心)」という2つのキーワードが浮き彫りになりました。

「やりきろう」と思えたエピソード

 1つめの経験は、肉体的にとてもしんどかった。会社での寝袋生活は、最初の1週間は大丈夫だったのですが、2週目、3週目になってくるとしんどくなってきて、ついに1週間連続の泊まり込みは難しくなっていきました(ちなみに、着替えは1週間分用意し、お風呂は近くのホテルに行きました)。しんどくなった背景には、食生活の乱れも影響したのかもしれません。コンビニ弁当、ファストフード、定食屋のランチの繰り返しだったので。

 「何でオレだけこんな苦しい目に……」。他にプログラミングができる技術者がいなかったので、孤独な作業が続きました。でも、精神的にはそれほどやられませんでした。何とか「最後までやりきろう」と思えたのです。

 なぜ、しんどい中でもやりきろうと思えたのか。それは周りの同僚や上司との関係が良かったからだと思います。確かに仕事はしんどかったけれど、コーヒーを飲みながら同僚と冗談を言うことで和めました。また「あれは竹内さんしかできないから」と見守ってくれる人がいて、気遣ってくれていることを感じることができました。つまり自分という「存在」を、周囲の人が認めてくれていたのです。

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