“自分の知らない自分”に出会うには、どうすればいい?ボクの不安が「働く力」に変わるとき(1/2 ページ)

「自分のことが分かっていないなあ」と感じたことがある人も多いでしょう。“自分が知らない自分”を知るためには、どうすればいいのでしょうか。簡単な方法をご紹介します。

» 2013年02月20日 11時00分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]

ボクの不安が「働く力」に変わるとき:

 「毎日しんどいなあ。どうしたら、もっと楽しく働けるんだろう」――。

 先行き不透明なビジネス環境が続いている。ストレスが多くギスギスした人間関係の職場で、「いつか“うつ”になるかもしれない」と不安を感じながら働いている人も多いのでは。

 本連載『ボクの不安が「働く力」に変わるとき』では、労働者一人ひとりが抱えているメンタル面やモチベーションの課題、職場が抱えているコミュニケーションや人間関係の問題などを取り上げ、「どうしたら楽しく働く環境をつくれるか」をテーマに考えていく。

竹内義晴(たけうち ・よしはる)

 1971年生まれ。経営者、教師、コンサルタント、コーチ、カウンセラーなど、リーダー層を支えるビジネスコーチ。人材育成コンサルタント。

 自身がプレッシャーの多い職場で精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。人や組織を育てるには、マネジメントの手法だけでは太刀打ちできないことを痛感。優れたリーダーたちが使う卓越したコミュニケーションスキルを学び、実践。チームの変革に成功する。実践の経験から、難しいコミュニケーションスキルを誰もが現場ですぐに使えるようにした独自の手法「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。実践的なコミュニケーション方法を伝えるコミュニケーショントレーナー。

 米国NLP協会認定NLPトレーナー、NPO法人しごとのみらい理事長。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』(こう書房)がある。

 連載記事「人生はサーフィンのように」をeBook(電子書籍)にまとめた「やる気が出ない本当の理由」を発売。詳細はこちら


 先日、ある経営者と話をさせていただいたときのこと。その経営者はこのように言っていました。「これまで、経営者の集いや地元の商工業団体が集まる組織に入るのはできるだけ避けてきました」と。

 私にも似たようなところがあります。「組織に入ると何かと面倒」「酒を飲んで騒いでいるだけ」――そんなイメージがあって、積極的には関わりを持たないようにしていたのです。

 「やっぱり○○さんもそうですか、実は私も……」と言葉を返そうと思った瞬間、その経営者は思いもよらない方向に話を進めました。「今まではできるだけ避けてきたのですが、実は最近、できるだけ参加するようにしているのです」

 なぜその経営者は積極的に組織に加わるようになったのでしょうか。「自分のことは自分が一番よく分かっていたつもりでした。けれども、頭の中にあることを人に話してみると、意外と話せないことがたくさんあることに気付いたんです。“自分の知らない自分に気づく”という感覚ですね」

 また、同じ立場の人が集う組織は境遇が同じ人も多く、お互いに分かり合え、話すことで癒されるのだそうです。

人に話して初めて分かる「自分の知らない自分」

 このような体験は私にもあります。頭の中で考えていたときは完璧だと思っていたのに、第三者に話してみるとつじつまが合っていなかったり、「なぜそれをするのですか?」という質問にパッと答えられなかったり。

 第三者に自分の考えを話すと、なぜ「自分の知らない自分」がいることに気付くのでしょうか。私は、4つのポイントがあるのではないかと考えています。

 1つめは、自分の考えを第三者に話すことによって、その考えが客観的な場に触れることができる点。自分の考えを言葉にして話すということは、同時に、自分の言葉を、自分の耳を通じて触れることになります。自分の外に出した言葉を、もう1人の自分が常に聞いている状態になるので、そこに客観性が生まれます。

 2つめは、第三者の質問が自分にはない新たな視点をくれることです。例えば、ある物事に対し「そもそもこれは何のために行うのか」というような「物事の目的」を考えるのが好きな人もいれば、「これを実現するためには、どのようにしたらいいのか」というような「物事を具体的にする」ことが得意な人もいます。第三者の何気ない質問は、自分でも気がついていない「得意な思考パターン」の枠を外して、新しい世界へと導いてくれます。

 3つめは、分かりやすく伝えようとする意識が働くことです。自分の考えを第三者に伝えるとき、頭の中にあるとき以上に分かりやすく論理性をもって伝えようという意識が働きます。そのため、頭の中でなんとなく考えていたことが整理でき、つじつまが合わない部分に気づくのでしょう。

第三者に自分の考えを話すと、「自分の知らない自分」に出会うことも(写真と本文は関係ありません)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ