その書き込み、ネットに載せて大丈夫? 「虚構新聞」らに学ぶ炎上回避術個人サイト管理人の「目」(1/2 ページ)

「炎上」が日常化したネット社会で、我々が身を守る方法はないのだろうか。ネット黎明期から約10年以上個人サイトを運営する“ネットのベテラン”たちが培った、炎上を未然に防ぐ術を伝授してもらった。

» 2013年01月18日 09時25分 公開
[村上万純,Business Media 誠]

 FacebookやTwitterなどのSNSが普及することで、むしろその使い方に悩んでいる人も多いのではないだろうか。情報発信の障壁は下がる一方、実質的には炎上のリスクが上昇するなど、ますます高まるネットの“難易度”。1990年代半ばのネット黎明期から2000年前後のブログ草創期以降に個人サイトの運営を始めた“ネットのベテラン”たちの経験と知識に学びつつ、SNS時代を生き抜くための処方せんを探る。

 前回は「炎上」がこのごろ頻発していることに着目した。ネットにうかつな書き込みをしたのが原因で、大学生が企業の内定を取り消されたり、社会人が会社をクビにされたりするケースも最近ではよく見かける。この現状について「虚構新聞」(2004年〜)のUK氏、「絵文録ことのは」(2003年〜)の松永英明氏、「まなめはうす」(1996年〜)のまなめ氏、「ー`)<淡々と更新し続けるぞ雑記。ωもみゅもみゅ」(2000年〜)のさらしる氏の4人に意見を伺った。

 彼らによると、長年の不況で社会に閉塞感が蔓延し、人々が他人の不幸を「メシウマ」と言って喜ばざるをえない心境となったり、SNSの普及で誰でも気軽にネットに書き込めるようになったのが、炎上増加の背景にあるという(前回の記事)。それでは、炎上を未然に防ぐ方法はないのだろうか。連載第2回では、情報発信者側のリテラシーに焦点を当て、4人が長年のサイト運営経験を通して身につけた、炎上の回避術を紹介する。

読み手への配慮が、炎上回避につながる

画像 絵文録ことのは」。見出し、リード文、データ類やアフィリエイト広告、本文の順でブログの記事が構成されている

 個人サイト管理人とひとくくりに言っても、サイトの特性によって炎上の回避術はさまざまだ。

松永 ネットユーザーが増えるにつれ、リテラシーの低い人たちも増えました。その結果、記事のタイトルだけ見て内容を判断し、本文を最後まで読まずに批判する人が多くなって来たので、その対策をするようになりましたね。例えば、本文は全部読まれないことを前提に考え、タイトルで結論をはっきりと述べるようにしたり、記事を要約するリード文を載せるようにしました。

 このほか、以前取り扱った話題を改めて記事で取り上げる時、内容が重複してしまうのですが、過去に紹介したことも再度記載するようにしています。たとえ記事の本文まで読んでくれたとしても、わざわざ過去の記事にさかのぼってデータを参照する人はほとんどいないからです。

 ニュースの編集者はもちろん、ネットに書き込みをする人は、メディアの特性や時代の変化に合わせて、臨機応変にタイトルや文章の書き方を変えていくべきだと思います。そういうことを直感的にできるか、もしくは試行錯誤しながら訓練できる人でなければ、ネットで表現を行うこと自体が難しいです。

画像 Twitterの文字数制限を扱った虚構記事は2万3000ツイートを超え、嘘のニュースと気付かない人も大勢いた

UK 140文字と少ない文字数で表現するTwitterが普及した結果、記事の内容を凝縮した見出しに食いつく人がかなり増えました。なので、見出しの書き方を誤って炎上しないように気を使っています。

 炎上防止策というか、虚構新聞の特徴でもあるのですが、記事の本文を最後まで読めば嘘のニュースだとちゃんと分かるようにしています。最初は普通のニュースのようにすんなり読めるのですが、だんだん「何かおかしいぞ」と感じてきて、最後にオチとして分かりやすい嘘が載っている、という構造です。ただ、本文を読まされるのが嫌な人もいると思うので、サイトのタイトルを「虚構新聞」にしていたり、見出しをドラッグすると「これは嘘ニュースです」と隠し文字が表示されるようにしています。

 ずっと記事を書いていると、「こういう単語や言い回しを使うと炎上しやすそうだな」というのが段々分かってきます。経験をもとに、炎上しそうな話題を避けたり、遠回しな表現に書き直したりしてうまく調整しています。

 ほかにも、賛否両論ではありますが、嘘のニュースだと分かりやすいように、本文のネタくささをちょっと強めにすることがあります。記事ごとにその度合いを調整をして、初見の人から常連さんまでいろんな人が楽しめるよう、対応しています。

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