朝型生活でメリハリある生活を――遠隔地で働くワーカーのスタイルRe:Work !(2/2 ページ)

» 2013年01月17日 09時00分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

昼間は仕事に集中して、時間を有効に活用

 庭いじりやコーヒータイムを終えて、仕事は8時ごろスタート。主にデザイン制作だが、最近では目に付くことを1つ1つアドバイスするコンサルティングのような業務が増えてきた。ほとんどの時間を仕事場でもある自宅で過ごすことになる。

 「細部の整備ができてこそ、デザインが生きてきます。Webであれば当然集客できるものでないと顧客は納得しませんから、顧客が喜ぶ手段を考え、デザインだけに限らずアドバイスしています。そこに、デザインの重要性があると考えているんです」

 沖縄県内だけで利益を上げるのは非常に難しいという。それでも、仕事で県外にでることはほとんどない。

 「沖縄というと時間にルーズな印象があるかもしれませんが、仕事には必ずしも当てはまるものではありません。ルーズな仕事は結局お客さんから信頼を得られず、切られてしまいます。プライベートではいわゆる“沖縄タイム”も存在しますが、それを仕事にまで持ち込むと、痛い目を見てしまうと思いますよ」

 川平さんの仕事に対する実直な姿勢は、きっと沖縄でも多くの信頼を得ているのだろう。料理も好きで、ランチは自分で作ることも多いという。仕事の間にそうした息抜きを入れられるのも、仕事のクオリティを高めるのに重要なことかもしれない。

 「仕事は19〜20時ころに終えてしまいます。いつまでもダラダラと仕事していても、良いことはないですからね」

 生活空間がそのまま仕事場という環境において、こうしたタイムコントロールは大切。終始リラックスした川平さんの表情からは、心のゆとりを感じる。

スケジュールを組むことで自分の仕事環境を変える

 人の置かれた環境はさまざまだから、誰もが川平さんと同じようなスタイルで仕事や生活ができるとは限らない。しかし「時間の使い方」の視点で見ると、誰しも考えられるところがあるのではないだろうか。

 例えば朝の時間を活用することは誰にでもできるし、自身のスケジュールや業務コントロールで残業は減らせると私は考えている。フリーに仕事ができない会社員でも、今より日常全体を楽しむ手段はあるはずだ。

 「忙しい」――。何かあるたびにこんな言葉が出てくる人を、私は危険信号だと思っている。なぜなら「忙しい」状態や言葉を、単に逃げるための手段として使っているように感じるからだ。それでは、いつまで経ってもその忙しい状態からは抜け出せない。

 忙しいのなら、忙しくなくなるように工夫すれば良い。スケジュールの組み方に問題があるのか、それとも業務1つ1つの効率に問題があるのか。あるいは不要な残業を、つい周囲の雰囲気や指示で容認してはないか。川平さんにとっては、そのための手段が「仕事の環境を変えること」にあった。彼も、以前は東京で時間に追われながら遅くまで仕事をしていたのだ。

 話を聞いていると、あたかも自分がこの世の中で一番多忙かのように話す人がいる。自身の体感から感じるのかもしれないが、もう少し広い視野で考えてみてほしい。きっとあなたと同じ仕事を与えられても、毎日を楽しめる人はいるはずだ。では、何が違うのか? それには、自分だけの殻の中で考えていても仕方ない。

走ることで自分の殻以外に出てみよう

 自分の殻の外に出て考える機会はいくらでもあるはずだ。私の場合はそれがマラソンであり、周りを見ていると最近は走ることを趣味にしているビジネスパーソンが多い。もちろん、その他の趣味を持つ人も多いだろう。しかし彼、彼女らが「なぜ走るのか?」という理由には、働くことを考える上で重要なヒントがあるように思えてならない。

 私もまだまだ未熟ながら、走ることで少なからず仕事にもプラスの効果を感じている。仕事外の楽しみや目標が生まれることで、かえって仕事も楽しさが増しているようなのだ。確かにトレーニングやレースに割くための時間を作ることは大変だが、だからといって出来ないことではない。それ以上に、多くのものを得ていると感じる。

 そこで次回は、ビジネスの第一線で活躍しながらも、トレーニングを積んでマラソンやトライアスロンといったスポーツに挑戦し続けるトップビジネスパーソンに、その「走る理由」を聞いてみたいと思う。そこには走ることに限らず何かに挑戦することの意味が隠れている気がしている。きっとこれまで考えたことのないような世界が垣間見えるはずだ。

著者紹介:三河賢文(みかわ・まさふみ)

 1983年岩手県生まれ、宮城県育ち。人材コンサルティング会社、Web関連会社での勤務を経て、2010年6月にナレッジ・リンクスとして独立。「時間の自由」を第一としたワークスタイルを実践中。多くのSOHOやフリーランスワーカーとパートナー関係を持ち、業務機会の提供を行っている。プライベートでは2人の子どもを持ち、マラソンやトライアスロンにも挑戦。ITやビジネス全般を中心とした執筆活動も行う。



前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ