拠点は沖縄、ビジネスは都市部――ネットを駆使した3人の男の働き方Re:Work !(3/4 ページ)

» 2013年01月16日 10時10分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

2カ月前に独立! インターネットがあるから「やっていける」と思えた

 大嵩さんは、フリーデザイナーとして2012年7月に独立したばかり。生まれ育った沖縄で、不安を感じつつも日々充実しながら仕事に取り組んでいる。もともと独立志向はあったものの、まずはスキルを磨くことが先決と考え企業に就職した。

大嵩勇太(おおたけ・ゆうた)さん(29歳)

沖縄県出身。印刷会社、そしてWebデザイン会社での勤務を経て、2012年7月にフリーデザイナーとして独立。自宅とカフェを仕事場として、不安を感じながらも目標の実現へ向けてスタートしたばかり。個人サイトこちら


――なぜ独立を決めたんですか?

 会社員だと、どうしても時間の拘束が生まれてしまいます。実際に会社員として働いていたときは、残業も多くて毎日がほぼ仕事だけで終わっていました。なんとか効率化して早く仕事を終えても、勤務時間が決まっていれば帰れませんから、他の人の仕事を手伝ったりします。そうした日々を過ごす中で、少しずつ自分のやりたいこととズレてきたんです。

 今思えば、そのとき自分の中では「楽しむために仕事をする」考えが生まれていたんだと思います。会社員だと、どうしても「働くために生きている」感覚がありました。いつしかそれが普通になっていて、どうも考え方がまひしていると感じたんです。

 それなら、自分でやりたいようにやってみよう――。そう思ってからは、毎日なんとか定時で帰るように工夫しました。周囲からはあまり良く見られませんでしたが、正直言って関係ありません。もちろん帰る前に、手伝うことがないかなど一言は掛けましたけどね。

 定時で帰って何をしたかと言うと、副業をしていました。クラウドソーシングがちょうど出始めてきて、インターネット経由で仕事のチャンスが得られるようになったのはありがたかったです。まさに、Webの恩恵ですよね。インターネットにさえつながっていれば、家にいても仕事を見つけられる。そうやって少しずつ会社以外でできることが増え、「これなら自分でもやっていけそう」と思い、独立しました。

――実際に独立してみて、どんな変化がありましたか?

 取りあえず、毎日不安ですよね。仕事がなければ、生活もできないわけですから。そういう意味で、つくづく会社員ってとても恵まれた環境だと思います。これは、会社員だったころには考えてもいないことでした。

 しかしそれでも、やはり独立して良かったと思っています。自分のスタイルで、時間を自由にコントロールしながら仕事ができる。しかも私はデザインが好きなので、そのデザインだけに集中していられる。これほど有り難い環境はないですよね。

 ただ、時々沖縄の外にも出てみたいと考えることがあります。ずっと同じ環境でのみ仕事をしてしまうと、どうしても視野が狭くなってしまうので、外からの刺激が欲しくなるんですよね。ですから、クラウドソーシングで県外の人に仕事の依頼をもらうと、仕事の進め方などとても参考になります。

 また時間が自由になったことで、生活スタイルも変わりました。早寝早起きを定着していて、仕事は8時間働いたらストップします。残業だらけだった会社員時代と比べると、ずいぶんと規則正しい生活ができています。

 仕事以外の時間も作るようにしていて、趣味のフットサルに週3日は出かけます。会社員時代もフットサルはやっていましたが、頻度が増えましたね。仕事はずっと座っている作業なので、身体を動かすと心身ともにリフレッシュする気がします。

――今のビジネススタイルで、不便に思うことはありますか?

 今は仕事のほとんどをインターネット経由でしているので、コミュニケーションは非常に難しいと感じています。電話やSkypeで話をすることもありますが、多くの連絡手段はメールです。その中から相手の思いを読み取り、またこちらの思いを伝えることは、慣れるまでもう少し掛かりそうです。

 また自宅をメインに仕事をしていると、どうしても集中力が続きません。家の中には、テレビなどさまざまな誘惑もありますからね。そのため、週3回は外に出てカフェなどで仕事をするようにしています。環境を変えると気分も変わりますし、私の仕事は「自宅じゃなきゃできない」ものではないですから。PCとWi-Fiルータを持って、ふらっと自由に出かけていますよ。

 ただ沖縄は、そういったノマドワークにまだまだ環境が適していないんです。都心では良く聞くようなコワーキンスペースは、私の知る限りありません。作業ならばカフェでもできますが、同じような働き方をするワーカーとのつながりもないですし、何よりカフェだと周囲がうるさいこともあって悩ましく感じています。これから、もっと自分のような働き方が広まって、それに合った環境ができてくれると有り難いですね。


 大嵩さんは実際にノマドワークを実践してみる中で、ポイントは時間意識にあると語ってくれた。自分の集中力にあった時間の使い方をしなければ、効率的に仕事を進めることはできないという。しかし会社員のころから目標を持って副業をし、そしてついに独立した大嵩さんの目には、希望が溢れているようだった。

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