異なる世界との掛け算でアイデアスパーク!新規事業アイデアの授業

新しい考え方やしくみは自分自身の中にはありません。しかし異業種、異国、異なる考え方の人々、自然界といった自分の外にヒントが隠れている場合が多いのです。だからこそ、自分の持つ問題解決のテーマと異なるものとを掛け算してみましょう。

» 2012年12月26日 16時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 顧客の不満を発見し、それを解決するアイデアにチャンスがあると分かっても、そう簡単に実現方法が浮かぶわけではありません。

異なる世界にこそヒントが満載!

 アイデアを実現するためには、従来は見落とされていた方法、考えもしなかったアプローチなど、新しい考え方、しくみが必要です。

 新しい考え方やしくみは自分自身の中にはありません。しかし異業種、異国、異なる考え方の人々、自然界といった自分の外にヒントが隠れている場合が多いのです。だからこそ、自分の持つ問題解決のテーマと異なるものとを組み合わせましょう。

 例えば、自然界。水をはじく蓮の葉の機能を生活用品に活かしてレインコートや防水グッズが生まれました。超音波の反射をキャッチすることで、目が見えなくても障害物を避けるこうもりの習性を活かしてレーダーが誕生し、熱を完治して獲物を追いかけるガラガラヘビにヒントを得てサイドワインダー(熱感知型追尾ミサイル)が開発されました。自然界はヒントの宝庫です。

「異業種交流会」をアイデアスパークの場とせよ!

 業界が違えば、常識も違います。仕事の仕方も違います。しかし業種が違えど、問題解決の方法は転用可能なことが多いのです。だから、私は自分のアイデアを披露し、異業種の人たちに評価してもらうことをオススメしています。

 私が年に数回やっている新規事業のアイデアワークショップでは、ITやカラオケチェーン、メガネ小売、食品メーカー、部品製造業、デパートなどまったく異なる業種の新規事業担当者が集まって、お互いのアイデアを交換し、評価し合います。

 各担当者は自社の持つ常識に対して、あえて逆行するアプローチで、さまざまなアイデアを出してもらいます。もちろん、このとき実現性は二の次です。そして、それを異業種の人たちに評価してもらい、新たなアイデアを付け足していきます。

 例えば、こんなアイデアが生まれました。

 あるドレッシングメーカーの担当者は、ドレッシングは「消費期限がある」「かさばるため輸送費もかかる」「環境的にも油の廃棄問題がつきまとう」といった常識を列挙。周りの異業種ビジネスマンたちからは、そうした課題を解決するアイデアとしてドレッシングの「コア部分」を粉末で提供してはどうか、コア部分以外はオイルやビネガーなどありふれた材料を加えることで簡単にドレッシングは作ることができるのではないか、といった意見が出ました。粉末ドレッシングというコンセプトは、消費者自身で使いたい分だけ作ることができ、消費期限や廃棄の問題がクリアできるので一石二鳥です。こんなシンプルだけど、非常にパワフルな「気づき」が得られるのです。

 異業種交流会を単なる名刺交換の場としてはいけません。異業種の人脈を作ることよりも大切なことは、自分のアイデアを「異なる考え方」の人たちにさらすことによって、新たなヒントを得ることです。自分のアイデアがスパークし、イノベーティブな解決方法が見つかるエキサイティングな瞬間を、ぜひ読者のみなさんにも体験してみてもらいたいものです。


集中連載「新規事業アイデアの授業」について

 連載「新規事業アイデアの授業」は、5年にわたる人気講演「新規事業アイデアを生み出す実践フレームワーク」(講師:永田豊志、提供:Nアカデミー)から一部抜粋し、編集したもの。

 「図解思考」シリーズや「最強フレームワーカーへの道」でおなじみの著者・永田豊志が、新製品や新サービスなど新しいビジネスを生み出すためのアイデアづくりに役立つフレームワークを解説。映像学習にありがちな受動的な視聴ではなく、「発想シート」に視聴者がアイデアを書き込んで添削を受けるというインタラクティブなEラーニングになっているのが特徴となっている。

著者紹介:永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

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