朝に言っていたことが、昼にはまったく変わるという人はよくいるもの。そんな“言うことがコロコロ変わる人”にうまく対応するにはどうすればいいのでしょうか。
苦手な上司やクレーマーのようなお客など、世の中には思わずキレてしまいたくなる“嫌な人”たちが存在します。しかし、そんな嫌な人たちに感情任せにキレても問題の解決は望めません。この連載では、どこにもいる嫌な人を対象とした、スマートで賢いキレ方を提案します。
この記事は10月5日に発売された文響社の『出世するキレ方』(楠元博丈著)から抜粋、再編集したものです。
私はイベントや番組などをどういった構成にするかを考える放送作家として活動しています。島岡さんはその大先輩です。
ある冬、島岡さんと一緒にとある舞台の構成をしたときのことです。打ち合わせが大詰めになったとき、彼は言いました。
「これは本物のサーフボードが必要だね」
「舞台がそんなに広くないこともあるので、サーフボードより一回り小さいボディボードだと厳しいですか?」
放送作家は場合によっては、小道具を用意することもあります。ボディボードだとすぐに手配できることもあって、私はそう提案してみました。
「んー、……。サーフボードがいいかなあ」
私はサーフボードを用意しなければならなくなりました。そして予算の都合上、そのサーフボードはどうしても無料で手に入れなければなりませんでした。私は知人のつてを頼って無理を言ってどうにかサーフボードを手に入れました。
真冬の電車の中、自分の身長よりも大きなサーフボードを運ぶ私の姿はかなり滑稽なものだったでしょう。
ところがです。本番数日前になって彼は言いました。
「実際に舞台下見したら思ったより広くなくてさ。舞台監督もボディボードくらいがいいんじゃないか、って言ってたからボディボードにしてくれない?」
急ではありましたが、ボディボードはすぐに手に入りました。
舞台本番当日。島岡さんはそのボディボードを見て言いました。
「うわあ、思ったより小さいな。サーフボードの方がよかったなあ。今からじゃ無理?」
無茶な話でしたが、私は慌てて借りていたサーフボードを取りに家に帰りました。真冬に息を切らせながらサーフボードを運ぶ姿は異常なものだったでしょう。
そして島岡さんはそのサーフボードを見て言いました。
「思ったよりデカいなあ!…うん、やっぱりボディボードにしよう」
一応ビート板も用意した方がいいかな、と私は思いました。
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