「映像」とセットにすると、記憶に残りやすいすべての勉強は図でうまくいく(1/2 ページ)

勉強で欠かせないのが、記憶力です。すぐに忘れてしまう断片情報としてではなく、1回見ただけで強く印象に残すのはどんなコツがあるのでしょうか?

» 2012年09月27日 11時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 人間は、断片的な情報はすぐに忘れてしまう生き物です。一方、一度きりであっても印象的なエピソードとともに経験したことは、映画の1シーンのように決して忘れません。

 また過去に見た映画の1シーンをテレビで見れば、瞬時にどの映画なのか、どんなストーリーだったのかを思い出すことができます。映像とセットになった記憶力はすさまじい処理能力があるようです。

脳の強みを活かす「ちょっとしたコツ」

 ここで1973年にカナダのL.スタンディング教授が行ったある実験の結果を紹介します。

 その実験ではまず、被験者にあらかじめ合計1000種類の具体的な物体が描かれた画像を5秒おきに見せました。次に、既に見せられた画像1枚と、初めて見る画像1枚を被験者に2枚ずつ並べて見せ、そのうちどちらが前に見たことがあるのかを言い当てさせました。

 結果、被験者は平均で1000枚中、なんと992枚の画像を見事に当てることができたのです(ちなみに同様の実験を絵の代わりに単語で行ったところ、結果は70%でした)。

 つまり、正解率は99.2%。これは大変なことです。記憶映像とのマッチングは、コンピュータにやらせれば膨大な処理量となります。それをこの実験の被験者たちは簡単にやってのけました。つまり人間の脳は、映像やエピソード、ストーリーといった人間のもっとも得意とするやり方で、記憶と再生を実現できればいいのです。

 特に、雑多な映像や音声情報の中から意味のある「つながり」を見つけ出す「パターン認識」という処理は、コンピュータにとっては非常に難しい処理です。しかしそれが、人間の脳にとっては朝メシ前なのです。

 パターン認識を活かすと、新しい問題に出くわしても、過去の同じような解法を参考に解くことができます。こうした人間の脳の特性を、ぜひ勉強法に活かしたいものですよね。

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