何にも縛られず、自由で楽しそう――。フリーランスになる前はそう思っていたが、結論から言うと実態は必ずしもそうではない。その理由を経験者の視点で紹介したいと思う。
今、働き方を見直す動きが増えています。新しい考え方やサービス、プロダクト。こうしたものを活用して働き方を変える人がいる一方で、現実にはそう簡単にいかず苦悩をガマンしている人も多いはず。「練り直す」「再生する」「再加工する」という意味の「rework」が、この連載の由来です。すべてを変えることは難しいかもしれませんが、まずは少しだけでも「Re:Work」してみませんか?
「フリーランス」や「ノマド」と聞いて、どんなイメージを持つだろうか。中には憧れを抱いている人もいるだろうし、あるいは嫌っている方もいるかもしれない。いずれにしても先にお伝えしたいのは、
ということだ。私も現在は、事業を運営しつつフリーライターとしても活動している。自宅以外にここといった拠点を持たず、どこでも仕事ができるスタイル。いわゆる「ノマドワーカー」の1人である(実際には、外に出ることはあまり多くないのだが……)。そんなノマドな人たちに会社に勤めていた以前の私が持つイメージは、
といった一種憧れのようなものだった。昼間からビジネスカジュアルでアポイントへ行き、カフェでノートパソコンを広げて仕事をする。特に決まった休みもなく、仕事がなければ大いに遊ぶ。表面的なイメージで言えばそんなところだ。
では実際に自分がこのスタイルで仕事をするようになって、どう感じているか。もちろん好きだから今もそのスタイルを貫いているわけだが、正直に言って誰にでもお勧めできるものではない。その実態を紹介したいと思う。
中には個人同士で集まって組織的に仕事に取り組む人たちもいるが、基本的にフリーランスというやつは孤独だ。いくら周囲と共同でプロジェクトを進めていたとしても、自分の仕事は自分でするしかない。
例えば何かミスをしたら、誰の責任だろうか。当然ながら自分である。むしろ複数人で取り組んでいた仕事であれば、全体から責任を問いただされる事もあるだろう。守ってくれる同僚や上司もいないわけだから、どんなにマズい状況になっても、自分で解決するしかない。たとえそれが、どんな大問題に発展しても……である。
例えば私は、起業してからビジネス上で詐欺にあったことがある。詳細は控えるが、最終的には金銭的な損害を受けた。数カ月にわたってやり取りを行い、最終的に合意して進めたビジネスプランだったのだが、いざ動きだそうとした段階で相手が消えたのだ。当初は相手に対して怒りを感じたが、すぐに諦めた。なぜなら、その結果に導く選択をしたのは自分だからである。
もちろん法律的な観点でも見ても相手は「悪い」のだが、全ての責任は自分にあると私は考えている。訴えようともしたが、どこにいるかも分からない相手を訴えるのは容易ではない。多くの時間を費やすし、お金だって必要になる。総合的に見て、最後は希少な経験を得たと思って前に進むことにした。
これは会社員であっても同じだが、仕事は何が起こるか分からない。もちろん予測して仮説を立てながら動くことで、そういった事態を回避することは可能だろう。しかしそれでも、100%はありえない。
「何が起きても、自分の責任として解決できるか」
このことは、フリーランスなどで働く上では最も重要なことである。もちろん副業に取り組む人だって、これは同じだ。あなたが副業で行っていることに、会社は一切力など貸してくれないのだから。
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