文具王「オカンも使うぐらい普通になる」――デジタル化の未来(後編)ScanSnap×スキャンノート×Evernote

ScanSnap、スキャンノート、Evernote――。いずれもアナログの紙の書類などをデジタル化するのに便利なツールだ。これらを提供する各社の担当者とそれぞれの“スーパーユーザー”である文具王・高畑正幸さんを招いて、書類のデジタル化について座談会を行った。今回はその後編。前編はこちら。

» 2012年09月24日 10時00分 公開
[PR/Business Media 誠]
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 ドキュメントスキャナ「ScanSnap」、スキャナでまとめてデジタル化できるノート「スキャンノート」、アイデアやWebクリップなど何でも保存できるクラウドサービス「Evernote」――。いずれもアナログの紙の書類などをデジタル化するのに便利なツールだ。これらを提供する各社の担当者とそれぞれの“スーパーユーザー”である文具王・高畑正幸さんを招いて、書類のデジタル化について座談会を行った。

左からキングジムの清水貴仁さん、PFUの山口篤さん、文具王・高畑正幸さん、Evernoteの上野美香さん

 出席者は文具王のほか、ScanSnapを開発・販売するPFUからは山口篤さん(イメージビジネスグループ販売推進部)、スキャンノートのキングジムからは清水貴仁さん(商品開発部)、Evernoteからは上野美香さん(広報・マーケティング担当ディレクター)。前編ではデジタル化にまつわる「原体験」などの話題で盛り上がった。今回の後編ではデジタル化の未来について興味深い話が続いた。

Evernoteには完成前の資料を集めよ

キングジム清水さん

清水 私は商品開発を担当しているので、企画しているプロジェクトが複数あるんですけども、情報収集したメモやクリップは最終的にEvernoteに全部上げています。面白いニュースや面白いアイデア、他人のブログで「あ、ユーザーの人ってこういうふうな反応するんだ」などというページは、全部Evernoteの関連するテーマの中に突っ込んでいます。

 逆にそういうインプットから得られた情報をもとに、最終的にどういうものを作っていこうかというアウトプットはやっぱり、ノートに手書きしたいんです。具体的に頭の中で思い描いたデザインだけでなく、社長をその気にさせるためのプレゼンの資料もノートに書き込みますね。まあ、それも全部Evernoteに上げておくんですが。

 あまりEvernoteのノートブックを細分化すると、探すのが面倒くさいじゃないですか。なので最初は「気になる記事」みたいなノートブックに集約するようにし、じっくり吟味した上で必要がなかったらごみ箱に、必要だなと思えばほかのノートブックに割り振るみたいにしています。入り口はなるべく最小限にして、あとで自分の中で咀しゃくして各ノートブックに入れています。

PFU山口さん

山口 OCRの精度がまだまだ100%じゃないので、ファイル名の付け方が検索するときのキーになると思うんですよね。僕はいつも考え込んじゃうんですが。文具王はファイル名をどう付けていますか?

文具王 実はEvernoteに関しては、ファイル名をほとんど付けないで、そのままアップしています。Webのクリップとかだと、そのWebの文章中にキーワードが入ってるんで、それはそれでいいかなと思ってますけど。

山口 スキャンした紙の場合はどうします?

文具王 ScanSnapだと日付が自動的に付くので、それをそのまま使ってますね。年月日時分秒までのファイル名ですね。

山口 あとから検索するときは、どうしているんですか?

文具王 あとから検索する場合は、まとめてタイトルを付けたりはしますけど、キーワードを幾つか入れるぐらい。あとはノートブックを分ける感じですね。僕の場合、文具に関してのネタが多いんで、文具はすごく細かく分けたフォルダがあります。文具以外は一緒くたですけどね。逆にサムネールで見つけないと、見つかりにくいのもあるので、でっかい絵を付けておいたり……。

山口 あ、それいいですね。

文具王 あとはスキャンする紙の色を変えておく。「黄色い紙にはアイデアメモ」みたいルールを决めておくと、サムネールがそこだけ黄色なので分かりやすくなります。数千枚ぐらいだったら、スクロールして探しても見つかる。あとは自分でハッシュタグを付けるぐらいかな。書類書くときに、書いている文章の中でキーワードハッシュタグを付けて書くみたいな、実際そうやって書いてます。


文具王が実際に使っている黄色のコピー用紙。ほかの用紙と混ざっても見つけやすい

上野 フィル(Evernoteのフィル・リービンCEO)って食べ物大好きなので、自分の食体験を全部入れていますね。「Evernote Food」という食体験を写真中心に記録できるアプリがあって、それでビシビシ写真を撮って入れてます。自分の感想などがキャプションみたいな感じで加えられているものもあったり、中には写真20枚くらい記録しているのもあったり。お寿司1貫ずつの写真もありましたね。

山口 レコーディングダイエットみたいな感じですね

上野 そうですね、でも全然ダイエットじゃない(笑)。仕事でEvernoteを使うときは、社内外問わず自分のプレゼンテーションを私達に共有してくれています。それをパッと確認できるので、社員としてはとても便利ですね。

 私自身は自分のアイデアや進行中のプロジェクトのメモをとにかくEvernoteに入れておきます。それこそWordやExcelなどのかっちりしたものじゃなくて、完成に至る手前のものを入れてます。だからテキストだけでなく写真などもある、自分メモの“複合体”になっているんですね。もちろん手書きのノートも入ってます。自分だけで1人ブレストした結果も結構書いてありますけど、やっぱりブレストや考えを練るときには手書きが最強ですよね。デジタルのテキストで書くよりも紙のノートで書いてるほうが、いろいろな図をレイアウトするのも簡単ですし。それをスキャンしてEvernoteに入れておく。あとで見たときに、書いてるときに気づかなかったキーワードが3つぐらい重なると「繰り返しちゃってるから、大事なんだな」って思うんです。

文具王 完成前のぐちゃぐちゃしてるものは、Evernoteに全部入れておく。Evernoteに貼り付けたExcelは更新や書き換えができるので便利ですよね。以前Googleドキュメントでやっていたことがあったけど、やっぱりオフラインで作業ができるかどうかって、すごい大きいんですよ。Evernoteはオフラインでも作業できるので。

PCじゃなくて、モバイルやスマートデバイスが主流に

ScanSnap S1100
給排紙はストレート

文具王 モバイル系のスキャナが増えてきましたけど、ScanSnapのモバイルスキャナ「S1100」はここまでよく省電力にできたなと。USB給電だけで駆動してこれは本当にすごい、ありがたい。

上野 このぐらい小さいと家庭に置くのもじゃまになりませんよね。主婦からしたら、S1100ぐらいの大きさがいいんじゃないでしょうか。

文具王 実際、出張先に持っていき、その場で書いた手書きの原稿を読み取ってメールで送ったほうが早いことって山ほどあるんです。そういうときはこれがいいですね。あとS1100ってストレート排紙なんで、分厚いものも入ります。商品のパッケージも、ガーッと。厚紙も読み込めますのでいろんなところで使えます。バスパワーで動くというのは、やっぱり魅力ですね。最終的にはEvernoteの緑のボタンが付いて、PCレスで全部いきなりEvernoteに上がってますというのに期待です。

上野 個人が使うもので便利なものは、デスクトップPCよりも、モバイルが主流になっていくはず。まさにこれからですよね。


ビデオ録画できない文具王のオカンができること

お母さんはフリック入力もできるという文具王

文具王 今までは便利なものや高性能なものは、まずは企業が使っていました。その後コンシューマーに落ちてくるというのが普通だったんですね。ところが今はどっちかというと、コンシューマーのほうが先を行っている。以前はデジタルカメラには証拠能力がないとか言ってたのに、今は警察も使っていますよね。

 便利なものが世の中の普通になるのは間違いないと思っているんです。もし5年後10年後にオフィスの中でスマートフォンを使っていないと思うんだったら、今突っぱねればいい。ですが、もし10年後にオフィスでみんなスマートフォンを使っているのが普通だよねと思うんだったら、今スマートフォンの受け入れを整備したほうがいいですよ。

 ただみんなが新しいものを使うにはまだ障壁もあると思います。世の中に出てから何十年も経っているビデオデッキだって、うちのオカンが録画できない機種がいまだにあるわけです。でもビデオデッキだって操作できないのに、うちのオカン、フリック入力でメール送ってくるんですよ。ちなみにオカンはEvernoteも使っていて、自分で作った染め物の写真と染料の配合レシピをEvernoteでまとめてました。

 分かるものは、分かるんですよ。インタフェースをうまく作ってあげたら、ビデオの録画ができなくてもiPhoneでメールを送れるという。オカンいわく「キーボードよりも打ちやすい」とか。インタフェースの問題はすごく大きいですね。

Evernote上野さん

上野 本当にそうですね。圧倒的に便利、圧倒的に簡単ということが力を持つ時代ですよね。

文具王 もちろん慣れもあるんです。現在はiPhoneがあっていろいろできますが、その前はiPodがあった。音楽入れて、聞くだけみたいなデバイスですけど、みんなiPodの操作でAppleのインタフェースに慣れつつあったというのが多分あると思います。

山口 ScanSnapも単純に、もう本当にスキャンするしかない機械。複雑にあれやこれや設定するんじゃなくて、もうなんとなくボタンを押して、気持ちよくスキャンする。文具も基本的にはほとんど単機能で、何か書くんだったら書くだけ、切るんだったら切るだけ。でも、その切り方がすごいきれいに切れたり気持ちよく切れたりします。フリック入力もびしっと決まると気持ちいいですよね。ScanSnapも紙がスーッと入っていってスキャンがサクッとできると「気持ちいい!」みたいなところがありますから。

 普通の人たちが名刺をちょっとScanSnapに入れてみるとか、ちょっとしたノートをスキャンするとかが当たり前になるのが本当にいいと思うんですよね。そういうライフスタイルができ上がった後は、当たり前のように「あ、その紙、ScanSnapしておいて!」「スキャンノートにメモして、後でメールして!」「そのメモをEvernoteに入れておいて!」という段階を迎えたいですね。

文具王 これから先、気が付けば普通になっていることはたくさんあると思います。今日話し合ったデジタル化も未来の普通になるまでの間のまだちょっと過渡期の、よく分かんない状態だと思うんです。例えば、ちょっと前まで携帯電話なんて未来の道具だったはずなんですが、今は全然普通の道具になっちゃっている。iPadだっていずれ、その辺にほったらかして置いてあるような、当たり前の道具になっていると思うんですよ。

 作っている側はユーザーが無理しないで気持ちよく使えるものを提供するのがポイントですね。無理しない感はすごい大事なんで、そこまで完成度を高められるかどうか。それから僕らユーザー側も「これ、きっと来るぜ!」と思ったら、頑張って使ってみるというのが面白いのかな、と思いますけどね。(了)

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提供:株式会社PFU
アイティメディア営業企画/制作:誠 Biz.ID編集部/掲載内容有効期限:2012年10月7日