東日本大震災以降、やる気を出せずにいたときに出会った書籍『ツールズ』で紹介していた5つのツール。やる気がほしいと感じる人に、ぜひオススメします。
東日本大震災以降、やる気が出ずに1年近く人生を棒に振っていた時期がありました。
妻は一定の理解を示してくれて、「そんなにやる気が出ないなら、逆にどうしたらやる気が出るかを研究して、それを記事や本にしたら?」と言ってくれました。ありがたいことです。
そこでしたのが、何冊かその手の本を新しく買ったり、読み返したりすること。しかし、これという本に出会えないでいました。
そのうち、アルファブロガーの立花岳志さんが処女作『ノマドワーカーという生き方』(2012年6月)に僕の「自分軸研究」のことを書いてくれたので、それをベースに立て直しが図れました。ようやくやる気が出てきたのです。
このように外発的な要因でやる気が出ることは、よくあります。しかし、ある意味運に頼っているとも言えます。このようなやる気は、消えてしまったときに自分では元に戻せません。
内発的にやる気を高める必要があります。しかし、僕のような人間には無理ではなかろうか? と思っていたら、本屋で偶然見かけたのが『ツールズ(The Tools)』共著:フィル・スタッツ、バリー・マイケルズ、訳:野津智子(2012年7月)。第1章を丸々立ち読みして、これが求めていた本だと直感し、すぐレジに持って行きました。
従来の本では、やる気を高めるために次のような方法を推奨していました。
調子がいいときには、上のどれかでやる気が起きるときもあります。しかし調子が悪いときは、そもそも「1日1日を生き切る」などとはほど遠い状態。今日も1日を無駄にしたという後悔が、ますますやる気を奪っていく悪循環に陥るのです。
実を言うと『ツールズ』に書かれていることも、概念的には上に書いたことと大差ありません。ただ、「ツール」というだけあって、具体的なのです。そこが従来の本とは一線を画しています。
紹介しているツールは次の5つです。
「なんじゃこれ?」と思う人もいれば「ああ、やっぱりその程度のことか」とがっかりした人もいるでしょう。
がっかりするのはまだ早い。
苦しみを望むの手順を見てみましょう。『ツールズ』から引用します。ちなみに、このツールは「避けてばかりいることをする必要があるとき」に使います。僕のようなライターにはもっとも重要なツールです。
- いつも避けている苦しみに集中する。その苦しみが雲のように目の前に現れる、とイメージする。心の中で「さあ来い!」と叫んで、その苦しみを求める。求めるのは、その苦しみに大きな価値があるからである
- 心の中で「私は苦しみが大好きだ!」と声を張り上げながら、どんどん前進する。苦しみの中に深く入り込み、苦しみと1つになる。
- 雲があなたをひょいっと吐き出し、すぐに後ろにぴったりくっついてくるのを感じてみよう。心の中で「苦しみは私を自由にしてくれる」という。雲から離れながら、自分が純粋な光へと変化し、大いなる目的意識を持って前進するのを感じる
え? ますます「何じゃこりゃあ?」になった? ではもうちょっとお付き合いください。
各ツールに対して、『ツールズ』には上のような具体的な手順の他に「このツールはどんなときに役立つか」「戦う相手」「このツールを使うキュー」「使っているハイヤーフォース」が書いてあります。
補足です。「キュー」とはツールを使うタイミングを意味しています。また「ハイヤーフォース」とは筆者たち(共著です)が言うスピリチュアルな力です。スピリチュアルという言葉に抵抗がある人には、それにどう対処すべきかを後述します。
さて、上の手順を見てもお分かりの通り、『ツールズ』で紹介しているツールとは瞑想に他なりません(同書には明記はありませんが)。
瞑想には2種類あります。1つは、禅でいう只管打座(しかんだざ)、つまりひたすら心を空っぽにするというもの。これはかなりの高等テクニックで常人には難しい。
もう1つは、ヨガ的な、一定のイメージを思い浮かべるもの。これは、ある程度の集中力があれば常人にも可能です。『ツールズ』のツールはこちら。言ってみればプチ瞑想なので、誰にでもできそうです。
ヨガ的な瞑想には、とても効果があることが知られています。
モチベーションアップの本に瞑想のことが書かれていないのは、『ツールズ』を読んだあとでは、逆に不思議なことのように思えてきました。
ツールの威力を認めてもその後多くの人が引っ掛かるのは、この本がスピリチュアルな概念を前面に押し出していることでしょう。
スピリチュアルと言っても、婦女子が好きなパワースポットや占いのような話ではありません。宇宙の法則的な話です。
阿頼耶識(あらやしき)やアカシックレコードのような、宇宙の法則・パワーに関する話がすんなりと納得できる人には、『ツールズ』はまったく問題のない本だと言えます。筆者たちが唱えるハイヤーフォースは、まさにこれらと同質の概念です。
しかし、そんなものはにわかに信じられないという人には、なんだか眉唾に聞こえてきます。