仕事以外に何がある? 会社を離れた時間の過ごし方Re:Work !(1/2 ページ)

働き方には、人それぞれ「適性」がある。今回は仕事もプライベートも充実して過ごしているライフネット生命保険の堅田さんの話から、忙しい中でも時間を作り出す方法などを探ってみたい。

» 2012年08月09日 18時40分 公開
[三河賢文,Business Media 誠]

連載「Re:Work」とは

 今、働き方を見直す動きが増えています。新しい考え方やサービス、プロダクト。こうしたものを活用して働き方を変える人がいる一方で、現実にはそう簡単にいかず苦悩をガマンしている人も多いはず。「練り直す」「再生する」「再加工する」という意味の「rework」が、この連載の由来です。すべてを変えることは難しいかもしれませんが、まずは少しだけでも「Re:Work」してみませんか?


 恐らくこの連載「Re:Work !」の読者の中には、「働き方を変えるなんて、自分にはできない」と感じている人もいることだろう。特に私は現在会社に属しているわけではないので、会社員の人々がそう思うのは分かる。

 誤解を恐れずに言えば、確かにそれも正解だろう。なぜなら、誰かと同じことをして自分も同じ成果を得られるとは限らないからだ。生活スタイルも周囲の環境も、仕事内容だって違う。朝型と夜型の人がいるように、人にはそれぞれ「適性」がある。

 そこで今回は、私とは全く異なる環境で仕事もプライベートも充実して過ごしている人を紹介したい。2012年3月に東証マザーズへ上場を果たした、ライフネット生命保険の堅田航平さんである。企業に所属し、そして家族を持つ堅田さんは一体どの様な働き方をしているのだろうか。

ライフネット生命保険の堅田航平さん

堅田航平(かただ・こうへい)さんのプロフィール

所属:ライフネット生命保険/企画部長。東京大学在学中にAIESEC(海外インターンを運営する学生による国際団体)日本事務局長を務め、インドでベンチャー企業の立ち上げを経験。その後、日本の大手外資系投資会社、香港のヘッジファンドを経て2008年にライフネット生命保険へ入社。現在は企画部長として、主にIRや上場に伴う外部対応、広報などを担当している。


「仕事」と「プライベート」は分けない

――仕事とプライベートの関係を、どのように考えていますか?

堅田さん 私は、仕事とプライベートのバランスを無理に取ろうとは思っていません。プライベートから仕事に生かされることって、多いんですよ。

 例えば学生時代にインターンとしてインドのベンチャー企業の立ち上げにかかわり、現在も顧問として関与しています。このことが、私の役割の1つである「働きやすい職場作り」に役立っています。

 当社では「シークレットエンジェル」という取り組みがあります。これはランダムに選ばれた社員が、その月に誕生日の社員を何か良いことをして喜ばせてあげるというものです。普段接点の少ない人だと、その人について知るために自然と周囲とのコミュニケーションが生まれます。

 趣味や好きなものなどを知らないと、喜んでもらうことなんて出来ないですからね。これが、実はインドのベンチャー企業が行っている社内イベントの1つなんです。すごくすてきなイベントですよね。

 仕事から外れた場所で、こうして仕事に生かされる情報や経験が生まれることは少なくありません。ですから「わざわざ仕事とプライベートに線引きなどしなくても良いのでは?」というのが私の考えです。

「スポーツ」がストレスを溜めないためのポイント

――ご自身の中で、何か意識的に取り組んでいることはありますか?

 私は、いつもスポーツを生活の中に取り入れるようにしています。社会人になってしばらくは、自分自身の足場を固めることに努めました。起きている時間の、8〜9割は仕事をしていたと思います。

 しかし学生時代からさまざまなスポーツに取り組んできたからか、運動ができないとストレスがたまってしまいます。ストレスがたまると、仕事にも悪影響が出てしまうんですよね。

 ですからどれだけ多忙でも、運動の時間だけは取るようにしました。例えばランニングで通勤したり、週末に山へトレイルランニング(山野走り)に行ったり。時間がなければ、昼休みに昼食を早く済ませてジムに行くこともありました。香港のヘッジファンドで働いていたころからは、トライアスロンに挑戦しています。

 またスポーツを意識するのには、もう1つキッカケがありました。それは、高校時代に体育教師から聞いた「人生を豊かにする3つのコツ」の話です。

(1)言葉

 日本語以外に多国語を1つでも良いから話せるようになれということ。私の場合は英語を身に付けて、現在は中国語も勉強中です。話せる言語が増えると、コミュニケーションの幅も広がりますからね。

(2)楽器

 何か楽器を演奏できるようになること。残念ながら、これは未開拓です。しかし音楽は世界共通なので、例え言葉が通じなくてもコミュニケーションの手段になり得ると思います。

(3)スポーツ

 スポーツをすることで人生の幅が広がると教えられましたが、本当にその通りだと思います。

 この話がすごく印象に残っていて、今でも1つの指針になっています。

スポーツ以外でも、あえて過酷なことにチャレンジ

――なぜ、あえて過酷なトライアスロンを選んだんですか?

 スポーツには仕事と違って、たどり着くべきゴールがあります。だから達成感を感じられて楽しいんです。その中でもトライアスロンは、3種目をこなす競技なので飽きることもありません。しかも、練習すればするほどに目に見えて速くなっているのが分かるんです。

 過酷であることは、トライアスロンを選ばない理由にはならなかったですね。学生時代に、選抜された生徒が海外に行けるチャンスがありました。私は「行きたい」と思いつつも、英語ができるわけでもなくしり込みしていたんです。そんな中で英語力のある生徒が手を挙げたことを知り、「無理だ」と思って結局私はあきらめました。しかし後から先生に聞くと、実は手を挙げていれば行けたそうなんです。このとき、やらずに後悔することがいかに後味が悪いことなのかを知りました。

 それからは、興味のあることは取りあえずやってみる。本当にダメだとしても、それはやってから決めれば良いと考えるようになりました。トライアスロンは子どものころにテレビで特集番組を見てから興味を持っていたので、チャレンジするのは必然だったんですよ。

――スポーツ以外ではどうですか?

 学生時代に、海外インターンシップを運営する国際団体であるAIESECの日本事務局長を務めていたのですが、現在もOB、OG会の理事をしています。私は「教育」に携わっていたい考えが強いのですが、そのためにAIESECとのかかわりはとても大切です。

 世の中の変化に伴って、今の学生と私とでは価値観が大きく異なります。しかしライフネット生命保険での仕事だけでは、そういった学生とかかわることはほとんどありません。自分から接点を持とうと意識的に行動しなければ、機会は得られないでしょう。AIESECで海外へ行きたい学生をサポートすることで、私は「学生のことを知る」貴重な学びを得ているわけです。

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