顧客価値ってなんだっけ? 難しい理論は表にするひといくNow!

仕事の質を高めるために、さまざまな理論を学んでみたけど実際は上手く使いこなせない。そんな時は表にしてみると使えることが多々あります。

» 2012年07月26日 11時00分 公開
[原田由美子,Business Media 誠]
誠ブログ

 仕事の質を高めるために、書籍やインターネットでさまざまな理論やケースを学んだが、どうも上手く使いこなせない。そんな風に感じることはないですか? そこで今日は、理論やケースを自分なりにアレンジして、仕事に生かす方法を紹介します。

「顧客価値」を例に考えてみる

 いつのころだったか、「顧客感動サービスを目指す」ことが、流行った時期がありました。その時私は、自分が買い手の立場であれば、感動すれば間違いなくリピーターになる。よって、その考え方は肯定的にとらえてよい、と思っていました。しかし肯定はしたものの、感動することはそうそうないことや、全てのことに当てはまらないように感じ、モヤモヤした状態が続いていました。

 そんなモヤモヤを抱えていた時に知ったのが「顧客価値」の考え方です。顧客価値の考え方はさまざまありますが、標準的かつ使えそうだと思ったのが、下図にまとめた2つの考え方でした。

 1つ目は、顧客価値の4段階。顧客が期待する価値には、4つのレベルがあることを伝えています。

 そして2つ目は、純顧客価値の考え方。顧客が得る価値は、顧客が得られる価値からその商品、サービスを選択するまでのプロセス、購入後のプロセス、廃棄時のプロセスまでを顧客に掛かる負担=コストととらえ、価値がそれを上回る場合に、本当の意味での顧客にとっての価値が発生するという考え方です。

 さて、このような考え方はこうして提示されると「なるほど!」と思えるのですが、それを具体的に自分事に置き換えて考えると、意外と難しいものです。

 そこで私は、顧客価値の4段階と総顧客価値を表にしました。そして、自分が洋服を買う時の2店舗を比較したのが下の表です。すると、面白いことに気が付いたのです(ちなみに両ブランドとも、同じデパートの中にある、似たような価格帯のお店です。両店は隣り合っているので、立地条件もほぼ一緒です)。

価値の段階 顧客価値 Aブランド Bブランド
予想外価値 省略 特になし 特になし
願望価値 製品価値
サービス価値
従業員価値
イメージ価値
→「こういうのが欲しかった」という商品が見つかる確率高い
→必要なサイズを、他の店舗からも取り寄せてくれる
 
期待価値 製品価値
サービス価値
従業員価値
イメージ価値
→品質がよく、サイズもある
→買いやすい価格帯
→提案力がある
→人気ブランド
→デザインが良い
→少し値段が高い(と感じる)
→人気ブランド
基本価値 製品価値
サービス価値
従業員価値
イメージ価値
→長く着られる
→会員サービスがある
→バーゲン案内をしてくれる
→安心感
→長く着られる
 
→試着がしやすい
→安心感

 整理してみると、行くとついつい買ってしまうA店と、時折買うB店では、自分が異なったことに価値を感じていることが見えてきました。無意識に買い物をしているようで、価値のとら方はずいぶん違っていることが分かります。

 このように自分が使えそうだと思った理論は、一度「表」にして、考えやすいことに置き換えて整理してみると、使えることが多いのです。言葉を変えると、最初は自分の仕事は脇に置いておく方が、近道とも言えます。

「顧客価値」について考えてみたい人のために

 それではここで、上の表を活用して仕事に生かしたい人のために、取り組み方を紹介します。

 まずは表を作り、最初は遊び感覚でよく利用するお店や、二度と行かないお店、満足度が高かった商品やサービス(あるいは低かった)を記入し、楽しんでみてください。ただし、簡単に見えるこのシートに記入するだけでも、最初は時間がかかることもあるでしょう。それは日ごろ、意識して着眼点を見る訓練をしていないからです。

写真はイメージです

 しかし定期的に遊び感覚で整理していると、着眼点が養われます。すると、感性も磨かれます。そうなると、自分の仕事を見る目も変わってくるので、自ずと仕事の質を高めるポイントをつかむことにつながっていくのです。

 この取り組みが面白いところは、自分が選んでいる商品やサービスについて、客観的にとらえる訓練をするうちに、自然と仕事力が向上する効果があることです。

 ということで、つかみどころがなく感じてしまう理論やケースも、表にしてみると使えることが多々あります。よかったら、試してみてくださいね。

※この記事は、誠ブログ「ひといくNow! 〜人材育成の今とこれから〜:仕事の質がぐっと高まる、理論やケースの活用法」より転載、編集しています。

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