社長の「何のために必要なの?」に的確に説明できますか?説明書を書く悩み解決相談室(1/2 ページ)

説明書を書く場合、どこまで詳しく書くべきか、記述レベルの見極めが難しいことがありますよね? そんなときは、相手の行動を意識することが重要なのです。

» 2012年07月25日 11時00分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]

 アイデアクラフト・開米瑞浩の「説明書を書く悩み解決相談室」第37回です!

 私の本業は、文書化能力。つまり、分かりやすく書く力をテーマとする企業研修ですので、研修途中で書くことに関する悩みを受講者にヒアリングすることがあります。例えばこんな悩みがよく出てきます。

  1. 読み手の立場で分かりやすい文章が書けない
  2. 要点をまとめることが難しい
  3. 相手が求めている解答を答えられているかどうか分からない
  4. テンプレートがないと何もできない
  5. どこまで詳しく書くか、記述レベルの見極めが難しい

 この他にも、中には「上司に見せると昨日と今日で言うことが違う」ような、本人の問題ではなさそうなものもよく出ます。まあそいうものは脇に置いておくにしても、上記の5項目はいずれも「ああ、あるある」と感じる人が多いのではないでしょうか。

 今回はこのうちの5つ目、「どこまで詳しく書くべきか、記述レベルの見極めが難しい」悩みについて、なぜそれが起こるのか、どうすれば解決できるかについて考えることにしましょう。

相手が求めている以上のことを長々と話していませんか?

 まずは1つ、くだらない例を挙げます。

田中さん 明日の天気予報どうなってる?

佐藤さん 東日本の上空を気圧の谷が通過しています。また、低気圧が関東の南海上をゆっくり北上しています。明日も、東日本では午後上空の気圧の谷が通過する見込みです。このため午後は大気の状態が不安定となり……。

田中さん ちょ、ちょっと待った、俺は雨降るかどうかだけ分かればいいんだよ!

佐藤さん あ、降ります。

 田中さんの関心事が「雨が降るかどうか」だけなので、本来は「降ります」の一言で済んだはず。しかし佐藤さん、最初の答はどうでもいいことを長々としゃべりすぎました。

 実は佐藤さんの答は気象庁が発表する天気概況をまねして書いたものです。さすがに日常会話で天気を聞かれてこんな回答をする人はいませんが、ビジネスシーンでは似たような事例はよく見かけます。

 実は、どこまで詳しく書くべきかの見極めが難しい場合、原因はおおまかに3種類あります。

  • 相手の関心事(目指す行動)が分かっていない
  • 相手の知識レベルが分かっていない
  • 自分自身が問題の性質をよく分かっていない

どんな行動を取るかを予測する

 そもそも、人が誰かに何かを説明する場合、例えば佐藤さんが田中さんに天気の説明をするときを例に取りましょう。佐藤さんは気象庁が発表する天気概況を自分の知識で理解して、それを田中さんに説明します。田中さんは同じように自分の知識でその説明を理解して、何らかの行動を取るはずです。

 田中さんは自分が今後取る行動のために必要な情報が欲しいわけで、それに対して適切な説明をするには、田中さんがそもそもどんな行動をしようとしているのかを意識する必要があります。佐藤さんはそれが分からずに長々と天気概況を話してしまいました。もし「田中さんは今日から1泊の出張に行くのに折りたたみ傘を持って行くべきか気にしている」ことを知っていれば、単に「明日は雨です」と答えていたことでしょう。

 ただ、もちろん田中さんも質問時に「こういうレベルの答えがほしい」ことが佐藤さんに伝わるような言い方をするのも大切ですけどね。

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