イチゴ、リンゴ、ナシ、サクラという4種の植物で構成されるグループに名前を付けてください。あなたなら、どんな名前を付けますか?
アイデアクラフト・開米瑞浩の「説明書を書く悩み解決相談室」第36回です!
突然ですが、「抽象的」という言葉に皆さんはどんな印象を持ちますか? 例えば「Aさんはいつも抽象的な話をする」という一文があったら、Aさんのことを褒めている……とはあまり思えませんよね。逆に「Aさんは分かりにくい話をする人」という、そんな印象を与えるはずです。
日常会話において、抽象的が良い意味で使われることは少ないものです。しかし「抽象化をすること」は「分かりやすい説明をする」ために非常に重要です。それだけでなく、抽象化は「思考力」の極めて大きな要素です。そこで今回はこの「抽象化力」について書くことにします。
まずは例題。イチゴ、リンゴ、ナシ、サクラの4種の植物で構成するグループに名前を付けてください。
なお、サクラは花を観賞するための染井吉野ではなく、サクランボを付けるミザクラのことと思ってください。どちらもサクラの一種には変わりありません。
さて、出題はしてみましたが、この問題で「どんな名前を付けますか?」と聞かれても、正直ポカ〜ンとしてしまうのではないでしょうか。そこで少し質問を変えます。
「イチゴ、リンゴ、ナシ、サクラの4種は、生物分類上、ある共通の科に属しています。何科の植物でしょうか?」
単に「名前を付けてください」だと、雲をつかむようで訳が分からない印象を与えます。しかし、こちらの出題なら生物分類を問う問題だとハッキリします。ちなみに正解は意外なことに、バラ科です。外見からは似ても似つきませんが、イチゴ、リンゴ、ナシ、サクラはいずれもバラ科の植物なんですね。そしてこういう出題をされたときの答え方、というよりは思考スタイルが3種類あります。
念のために書いておくと、オシエテ型とはもちろん「教えてくれるのを待つ」スタイルという意味です。
この3種類のうち、望ましいのは1と2、つまりコジツケ型とリサーチ型の習慣を併せ持つことです。
……と書くと、意外に思うかもしれません。
「リサーチ型はいいとして……コジツケをしてもいいんですか?」
という質問が来そうですが、はい、実はコジツケも大事なんです。
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