高畑さん 最近、プチタイムスリップが好きで、昔作られた文具を集めているんです。例えばキングジムの自動日付印「スグオシ」ってありますよね、確かにすごくて、こういう発想って「わあ新しい」となるじゃないですか。それが実は……いやもう100年前からあるんですよ。そういう発見が好きで、探しているんです。
竹村さん これって主に誰が使ってたんですかね?
高畑さん どうですかね、事務用だったと思うんですけど。これ(取り出して)、90年前の文具カタログなんですけど、そこを探すと、当時からタイムスタンプという商品が載っているんです。読むと「極めて完全なる時計の装置により自動的に回転して重要書類に正確に年月日および時間を記録するものなり」と書いてある。値段は9円50銭。当時は大学出のエリートの平均月収が25円くらいだった時代だから、ちょっとした代物ですよね。スグオシだったら10台くらい買えちゃうわけです。
高畑さん 他にも針なしステープラー「ハリナックス」など。今は最大12枚まで閉じられて、これも新商品として出てきた時にはみんな「すごい」と言いましたよね。ただ、これもほぼ同じものが約100年前にあったんですよ。カタログに載っていますがここにある型は全部持っています。
一同 おお〜(笑)
高畑さん 一部動かないものもありますが、閉じる仕組みは今のハリナックスと同じです。100年前なので、特許は切れているんですね。
舘神さん 枯れた技術の水平思考ということですね。
高畑さん そう、枯れた技術なんですが、どうしてずっと忘れ去られていたのかというと、当時はステイプラーよりも前のページに載っていて、つまりメジャーだったはずなんだけど、その時は消耗品の針が高く、しかも閉じられる枚数がどちらも対して変わらなかった。でも今の形のホッチキスが出てから、圧倒的にホッチキスの方が閉じ枚数が多いですよね。それですたれてしまうわけです。ただ、最近になって安全性という意味でハリナックスのような針を使わない良さを認められていますよね。
高畑さん 最後に、今作っている(座談会実施4月下旬)文具王バッグです(現在は販売中)。トートバッグなのですが、中にファイルボックスが入っているのが特徴です。ファイルボックスが構造体なので、倒れず、中身を決まった場所に入れられます。
中身はMac Book 15インチと、書類を入れていてすぐに取り出せます。デスクの横に置いておけばそのまま出掛けられて、ショルダーとしてしょうこともできます。
あとポイントは、カバンの上に乗るガジェットバッグです。文具やiPhoneなどのガジェットを入れて、このガジェットバッグだけを取り出せば、書きものなどはすぐに作業が開始できるといった感じです。僕は細かいものをカバンの中に底に落としていいるのを探すのが嫌なので、こうして見れれるのは非常に便利ですね。
以上、参加者の皆さんが持ち寄ってくれたお勧め文具&グッズを紹介しました。最後は文具王バッグの話から、将来的には文具王ハウスも作りたいといった構想も飛び出て、大変盛り上がりのある座談会となりました。
スマート文具というジャンルの製品が今後どう市場に浸透していくのか、この座談会がスマート文具市場の活性化に少しでも寄与できればうれしいです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.