図解思考は1人よりもチームで使う方がより生産性が増します。チームで、あるいは顧客との打ち合わせ時にさっと図を書いてお互い理解を確認し合えるスペースを作ってみてはいかがでしょう?
図解思考は、複雑な問題を単純化して本質を短時間で理解、把握するための強力なツールです。本連載でも紹介しているように、筆者は事あるごとに、図解でコミュニケーションを取っています。
例えば次のような場面です。
しかし本来、図解思考というのは1人よりもチームで使う方がより生産性が増すのです。チームで共同作業を行う場合に問題となるのは、「勘違い」「間違った理解」「レベルの違い」など。これらは全て、言葉の食い違いによるものです。
言葉を使う場合、その「定義」は人によって微妙に異なります。例えば、次のような言葉をあなたはどのように理解するでしょうか?
「本件のスケジュール表を今週いっぱいにお願いします」
スケジュールとはどのレベルだろうか? マイルストーンくらいが入ったざっくりしたものか? それとも担当割もしてあるガントチャートなのか? 今週いっぱいというのは土日を含むのか? それとも金曜日の退社時間なのか? など、疑問は膨らむばかりです。
しかし、現実にはそれほど細かい部分を突っ込んで質問をしている人はいないようです。結果的に出てきたアウトプットを見て「う〜ん、ちょっとイメージと違うなあ」と指摘を受けて、何度も修正することになるのです。
時には「だったら、自分でやるからいいよ!」と言われ、お互いどよ〜んとなってしまうことも。
事前の確認が必要といえばそれまでですが、一番簡単で間違いがない確認方法が、「こんなものをお願いします」と要望する「形」を見せる習慣を付けることです。会議のときにも、チームで「自分のイメージしているもの」「自分の理解」を図やイメージで伝えるようにすると、前述のような食い違いは生じません。
伝える側が見せる化できない場合は、聞き手が「それって、こんな感じですか?」と「形」を確認するのもいいでしょう。ラフ案にOKが出れば、出来上がりの時に大幅な修正は発生しないはずです。
そんな理由で、とにかく打ち合わせ時に絵や図が大きく描ける必要があるわけです。私の会社では、あらゆる壁をホワイトボード化して、その場で描けるようにしています。
これは2011年6月に行ったオフィスの引越し時にもかなり強く主張した部分です。引っ越しの目的は社員が増えてきたことでスペースを拡張するためだったのですが、その際に、どこでもすぐに打ち合わせができるように、壁という壁をホワイトボードにしたい、とリクエストを出しました。
下の写真は、引越し直後のまだきれいな状態。なるべくどこでも立ったままミニ会議ができるよう、壁面はホワイトボードにしています。
チームで、あるいは外部パートナーやお客さんと図を通して、理解を確認し合うのはとても生産的で、素晴らしい時間です。
皆さんもなるべくコミュニケーションの発生する場所には、自由に描けるキャンバスを設置してはどうでしょうか?
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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