雑誌を買わなくなった理由から、欲しい雑誌を考えてみたアイデア発想実践記(1/3 ページ)

前回、発想メソッド「欠点列挙法」に沿って挙げた雑誌を買わない44の理由から、「こういう雑誌なら欲しい」というもの考えてみました。

» 2012年05月22日 13時15分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

 世の中にあるさまざまな発想メソッドを、実際に試して実験、検証していく本企画。第8回は「欠点列挙法」です。今回も仮想のお題を用意し、メソッドに従って検証。その結果を、監修役であるアイデアプラント代表の石井力重さんに評価してもらいます。

 発想の手順は以下の通りです。

  • ステップ1:現状のあら探しで問題点を上げ、そこからアイデアを展開する
  • ステップ2:テーマの中で欠点や欠陥をたくさん挙げる
  • ステップ3:挙げた欠点や欠陥を改善、克服している状態を考える
  • ステップ4:改善、克服した状態を実現するアイデアを考える

 前回「IT業界人3人が思う、雑誌を買わなくなった44の理由」でステップ1の「現状のあら探しで問題点を上げ、そこからアイデアを展開する」と、ステップ2の「テーマの中で欠点や欠陥をたくさん挙げる」までを終え、「雑誌に対する欠点」を44個挙げました。

 今回は、ステップ3「挙げた欠点や欠陥を改善、克服している状態を考える」とステップ4「改善、克服した状態を実現するアイデアを考える」を行います。

石井力重(いしい・りきえ)さんプロフィール

石井さん近影

 1973年、千葉県生まれ。東北大学大学院理学研究科修士課程卒業。技術系商社から東北大学大学院博士課程(MOT専攻)、独立行政法人のフェローを経て、2009年4月にアイデアプラントを設立。現在は「ブレスター」「智慧カード」などアイデア創出支援ツールの企画開発、企業・団体向けの新事業・新製品開発支援、さまざまな創造技法を紹介するワークショップなど、多彩な活動を展開している。2011年6月には、東北地方のビジネス活性化と震災復興を目指す「Fandroid EAST JAPAN」を設立、同理事長に就任。仙台を拠点に、Androidアプリ開発技術者の育成と能力向上、アプリ関連ビジネスの活性化に尽力している。Webサイトは「石井力重の活動報告」


どんな雑誌なら買いたい?

 雑誌に対する欠点、不満、怒り、批判めいた意見を好き放題に吐き出しましたが、「じゃあ、あなたならどう解決するの?」にまで発展させなければ意味はありません。よく「批判するなら解決案もセットで考えよう」といいますが、まさにそれですね。

 そこで今回は、前回の発想タイム5分の後、さらに5分間を設けて、欠点を具体的解決策に落とし込みました。誰が発案した欠点でも構わないので「何か解決案が思い浮かびそう」と感じたものに対して、出せる限りアイデアを書き込みます。

 まずは前回3人が出した44個の欠点を再度掲載します。

メモの内容 解説
有料 Webならタダですから
Googleで見つかる 同等かそれ以上のコンテンツが一発で見つかる
正しくない→比較コス トが高い 内容が正しいかどうか、雑誌単体では分からないし、比較も難しい
つまらない だってそうなのだから
不要な情報が、混ざる 読みたくないコンテンツまで一括パッケージになっている
場所をとる 保場所の問題
誰が書いたか分からない 記事執筆者が分からず、過去との比較検証もほぼ無理
クリックできない 関連記事、反論記事、比較記事に移動できない
写真とテキストしかない 動きや音声がない
紙である なし
本屋さんでしか売っていない 行っても売り切れの可能性がある
保存に気を遣う 破れる、劣化する
シェアできない 紙なのでそういう仕組みができない
ツイートできない 同上
いいネ!できない 同上
コピペが難しい 同上
一部書店で立ち読みできない ヒモで縛ってある書店だと、中身を確認できない
手を使う ページをめくるのが面倒
目を使う 音声読み上げしてくれたら、歩きながら読書(音書?)できる
耳を使わない 音声がない
迫力がない アクションがない
興味をそそるもの(お金をかけても欲しい物)が減ってしまった 昔は雑誌にしか載っていない情報を集めるのが好きだったが、今はその目的がなくなった
時間をそこにかけられない 他にもやることがあり、学生時代のように雑誌を読むこと(や集めること)に時間を費やせない
節約 お金がもったいない
付録ムダ 付録はいらないからその分安くして
立ち読み後で汚い 不特定多数の人が立ち読みしたのは欲しくない
マンガついていけない 連載の途中から入れないし、続きを待つのもイヤだ
Webでまかなえる 内容によっては検索すれば分かる
買いに行くのが面倒くさい 引っ越しをしてから書店に行く機会が減った
部屋のスペース(捨てないので) 場所の問題
劣化する 紙の宿命
電車の中吊り、新聞広告で大体分かる (とくに下世話な週刊誌は)見出しで中身の想像がつくものがある
長文読むのが面倒くさい(RSSの数行でいい) 見出しやリード文の情報さえコンパクトにまとまっていれば事足りる
服とかはWebの方がすぐ買える 欲しい物があっても、本はクリックできないし、その場で買い物できない
広告ページに金払うのもったいなくね? 3分の1が広告だったりすると、なぜお金払って広告読まされるんだろうと思う
全てタダにしてもいいよ あらゆる雑誌がフリーペーパー化すれば読む
どーせスポンサータイアップのオンパレードでしょ? ちょうちん記事とステマが大半な気がする
バックナンバーなら安くしてほしい(だったら買う) 廃棄するくらいなら安く提供してほしい
部分的に読みたいのに、紙だと丸ごと買う必要があるのがイヤ(コンテンツバラ売りして) iTunesのように単体で買えれば
写真が多すぎて、中身薄くない? 写真でページを稼がれると損した気になる
連載マンガを作者のペースに合わせて読むのツラい 待てないので単行本化を待つ。読みたくない漫画までほしくないし
どんな商品もオススメしてきてウザい(メディアがブームを作ろうとする姿勢に反感) 何でもかんでもバカの1つ覚えのように“マスト・バイ”って……
家にたまってしまって処分困る 場所の問題
エッチいのは見るの困る(電車) 電車の中で急にグラビアのページを開けてしまい、隣の女性に「まあ、お下劣」と思われてしまうのがイヤ(見るのが嫌いなわけではない)
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