しっくりくる見出しを思い付くための習慣とは説明書を書く悩み解決相談室(1/2 ページ)

分かりやすい文章にするには、見出しを付けるといい――でも、肝心の見出しが思い付かなかったら? そんな場合は類語に注目して、言葉の意味を考えてみるといいでしょう。

» 2012年04月11日 11時00分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]

 アイデアクラフト・開米瑞浩の「説明書を書く悩み解決相談室」第23回です!

 私の主業務は文書作成能力向上トレーニングなので、社員の書く力不足に悩む企業に出向いて研修をしています。そこでよく受ける質問の1つに、次にようなものがあります。

 「ピッタリはまる言葉が思い付かなくてうまく書けないことがよくあるんですが、ボキャブラリーを増やすにはどうしたらいいでしょうか?」

 例えば前回の記事「不具合には原因があるから解決しなきゃいけないね」では「不具合→原因→解決の方向性→具体化」というパターンで見出しを付けて文章を整理するといいと述べました。この質問者は、その見出しを思い付くのが難しい、というわけです。

 確かにそうなんですよね。前回記事でも最初は「結果→原因」というパターンを考えて、結果が先に来るのは不自然だということで「不具合→原因」に変えました。もしそこで「不具合」という代替案を思い付けなかったら、

  1. 原因→結果の順に並べ替えて書く
  2. 不自然でも結果→原因の順で書く
  3. 見出しを付けること自体をあきらめる

 のどれかを選択することになりそうです。1でうまくいけば問題ないのですが、2、3のようになってしまうのは悔しいところ。それでも、2を選べば「ああ、これは不自然だなあ……」という意識を持ったまま、自分が書いた文書を世の中に出すことになります。よって、どこかで「あ、不具合と呼べばどうだ?」と、代替案に気が付く可能性があるのです。

 しかし、3の場合は「不自然な部分」が見かけ上隠匿されてしまうため自分でも忘れてしまい、見出しを付ける習慣自体をなくす。結果、成長が止まる、ということになりかねません。

 というわけで、今回はこの問題を何とかする方法を考えましょう。

「そもそも知らない」人は類義語を調べる努力から

 単に「ピッタリはまる言葉が思い付けない」といっても理由は2種類考えられます。(1)そもそも知らないから思い付けない場合と(2)知っているのに記憶から引き出せない場合です。

 私の企業研修での経験上、2:8ぐらいの割合で後者の(2)知っているのに記憶から引き出せない人が多いです。そのため、私が例えば「『不具合』を『原因』とも言い換えられますよね?」と提案すると、「あっそうかそれでいけるんだ!!」のような反応が多く、そもそもその用語を知らなかったという場合は非常に少ないものです。

 もともと知らないときは自分で気が付くことはあり得ないので、本を読んだり人に聞いたりして知るしかありません。

 ただし、知識というのは知っているだけでは使えません。そこで必要となるのが、知っている知識を引き出せるようにするための習慣付けです。ここでは習慣付けに効果的な方法として類義語を見つけて、違いを考える方法を紹介します。

 例えば以下の文を見てみましょう。

私たちは江戸時代のように歩いて東海道を旅することにしました。

日本橋を出発して1日目は神奈川で宿泊する予定です。

 2文目に「予定」という言葉がありますが、ここは「目標」にしても成り立ちそうです。

 では予定と目標は、いついかなる時も交換可能でしょうか? そうではないとしたら、どのような使い分けができるでしょうか?

 と、こんなふうに「類義語が共通に使えるときと使えないとき」をはっきり意識してみると、両方の言葉の理解が深まり、必要な時に引き出してきれいに使い分けられます。「類義語の違いを考える」のはそれほど負担を掛けずに少しずつできる「ボキャブラリー増強法」なので、ちょっとした文書を書いて見出しを付ける際に、1日に数分でいいので気を付けてみてください。

 さて、それでは解答です。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ