企業年金や国の社会保障制度もアテにならないこの時代。60歳で退職して第2の人生を楽しむことが難しくなっています。私たちは企業や国に頼るのではなく、自分の力で一生稼いでいく手段を考えねばなりません。
本連載は『人生の大問題を図解する!』(光文社)の内容からポイントだけをピックアップしています。読者の皆さんのライフプランを見直し、後悔しない人生を送るための手助けになればと願っています。
人生の重大事の中から、「お金」「語学力」「仕事」「家族」「思考力」という5つのテーマで衝撃的かつ客観的なデータをいくつか紹介します。
第9回は、少子高齢化にも不安な年金制度にもビクともしない「一生現役主義」です。
昔は55歳や60歳でリタイヤし、その後は退職金と年金で第2の人生を楽しむ、というのが典型的なセカンドライフのプランだったかと思います。しかし、企業年金や国の社会保障制度もアテにならない時代にあっては、「一生現役主義」を基本とすべきだと思います。企業や国に頼るのではなく、自分の力で一生稼いでいくのです。
「一生懸命働いて、老後はゆっくりしよう」という考えは、いったん捨て去るべきでしょう。その方がスッキリします。
実際、熟年世代において自分ならではのビジネスを立ち上げるシニア起業が増加しています。中小企業白書によると、創業者の年齢は、50歳以上が最も多く、全体の約4割を占めています。
こう言うと「一生、働きバチで終わるのは嫌だ」と考える人もいるでしょう。しかし、仕事は単に収入源であるだけでなく、生きがいそのものです。頭を一生懸命に働かせ、情報を整理し、的確な判断を行うことは脳の老化を防ぎ、認知症の予防にもなります。
また、自分よりも若い世代とコミュニケーションを取ることで自分までもが若々しくいることができます。仕事もしないで同じ世代の高齢者と遊んでばかりでは、体も頭もなまってしまいます。若い世代と一緒に仕事する、死ぬまで自分の仕事を続けるというのは、私は究極のアンチエイジングだと考えます。実際に若い仲間と一緒に過ごすことは生物学的にも長生きになるという実験結果が存在します。
一生現役主義を貫くためにも、今の会社での仕事だけでなく、企業の退職制度に関係なくやっていけるマイビジネスをなるべく早く立ち上げましょう。これは何もサイドビジネスを推奨しているわけではありません。お金のためだけにやるのではなく、自分のライフワークとしてやっていけるような、働きがいのあるビジネスを見つけようということなのです。
もしも自分の人生が社会にとって支えられてきたと考えるのであれば、第二の人生は何か地域や社会に貢献できるビジネスをやる、というのもいいでしょう。長い年月で得た自分の知見を、次の日本を担う若い世代に伝えるというのもよいでしょう。40年間の仕事人生の貴重なノウハウを眠らせて、シルバー人材センターの公園清掃のアルバイトだけではあまりにももったいない。ポイントは、第二の人生はお休み、ではなく、人生最後の仕事を行う期間と考えることです。
前述の通り、一生現役主義を貫くためにはマイビジネスが必要です。現在の仕事をやりながら、準備に取り掛かっておきましょう。マイビジネスの立ち上げに必要なものは、どのようなビジネスであっても、さほど変わりません。会社設立と当座の運転資金、ビジネスを運営するための経験と知識、行き当たりばったりにならないための事業計画、そして人脈です。
ポイントは「身の丈に合ったものを選ぶこと」です。得意なこと、経験や人脈を生かせるもの、資本的にも、身体的にも無理のない範囲でできそうなことを見つけましょう。現役時代のそうしたものが活かせない、まったくの新しい分野だと成功の確率が極端に低くなります。特にセカンドライフにおけるマイビジネスはギャンブル的な要素を排除し、生涯において自分なりにやりがいがあり、過大なリスクを負わずにやれるものを選ぶことが重要です。以下に、私の身の回りで多く見受けられる、いくつかの立ち上げパターンを紹介しておきましょう。
働くことは、脳にも身体にも継続的に刺激を与え、老化を防ぐ究極のアンチエイジングなのです。いつまでも若々しく過ごしたければ、現役で活躍することです。その規模や分野などは関係ありません。自分が毎日、新しい情報に出くわして判断し、より良くしていこうとする試行錯誤そのものが、年金制度の問題や少子高齢化への不安を拭い去る。積極的に人生を楽しむためのプラットフォームになるのだと思います。
本連載の内容は、2011年12月に発売された『人生の大問題を図解する!』をもとに作成しています。
「図解思考」シリーズでおなじみの著者・永田豊志が、これから始まる“とんでもない未来”に、私たち日本人が生き残るための「5つの戦略」を、豊富な図解で解説します!!
本書は、これから生き延びていくために重要な5つのテーマ、すなわち「お金」「英語(語学力)」「仕事」「家族」「思考力」のそれぞれについて、ショートストーリー、関連データ、アクションプランの3部立てで図解し、一緒に考えてもらう構成になっています。
「何となく危ないのは分かるけど、本当のところはよく分からない」という問題も、できるだけ分かりやすく描いてみました。 (冒頭の挨拶文より)
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
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