初心者でも使える! 青色申告ソフトのポイントを徹底解説大増税時代(2/8 ページ)

» 2012年03月13日 13時20分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]

 筆者は毎年この時期になると「e-Tax 体験記」といったキーワードで検索をかけ、その様子をほほ笑ましく読んでいる。相変わらず苦労話が多くe-Taxを使えるところまでたどり着くのに数日を費やす人は当たり前で、何度も挫折しそうになる人が多い。

 確定申告はかなりの作業量を伴う個人事業主が越えなければならない山だ。市販ソフトは低い山、フリーソフトはそこそこ高い山、確定申告書作成コーナーはかなり険しい山といった感じだが、e-Taxはその前に立ちはだかる絶壁らしい。筆者は絶壁を避け書面提出という迂回路を通り、市販ソフトという低い山を越えている。恐らく初心者にはこの方法がもっとも確実で楽だと思われる。

 市販の青色申告ソフトは、多くのメーカーが発売している。その中で代表的な5製品を表にしてみた。価格は5000円から1万円弱。簿記を知らない人が青色申告で25万円の節税ができるなら市販ソフトは安い投資だと思われる。

青色申告ソフト比較
メーカー名 製品名 実勢価格 対応OS 無料体験版ダウンロード有無
弥生 やよいの青色申告12 9000円前後 Windows 7/Vista/XP 有り(こちらからダウンロード)
ソリマチ みんなの青色申告13 7000円前後 Windows 7/Vista/XP 有り(こちらからダウンロード)
リオ やるぞ!青色申告2012 5000円前後 Windows 7/Vista/XP、Mac OS X 無し
BSLシステム研究所 青色申告らくだ2012 7000円前後 Windows 7/Vista/XP 無し
ビズソフト ツカエル青色申告2012 7000円前後 Windows 7/Vista/XP 有り(こちらからダウンロード)

 やよいの青色申告12(弥生)、みんなの青色申告13(ソリマチ)、ツカエル青色申告2012(ビズソフト)の3製品は、無料体験版を公開している。印刷ができないなどの機能制限はあるが、難易度の判断は可能だろう。さらにやよいの青色申告12はオンラインデモが用意されている。このオンラインデモはインタラクティブな動画デモとなっていて、音声の指示に従って実際にアイコンをクリックしながら進める形式となっている。チラッと操作感を体験するにはお薦めのコンテンツだ。

 筆者は2008年の記事で「やよいの青色申告08」「みんなの青色申告9」「やるぞ!青色申告2008」を比較。2010年の記事では「やよいの青色申告10」と「みんなの青色申告2010」を比較している。もっとも簡単で簿記、会計の知識がない初心者にお薦めなのは「やよいの青色申告」。そこそこ簡単で価格が少し安いのが「みんなの青色申告」というのが筆者の印象だ。

 これらの会計ソフトは申告が終わると次年度にデータを引き継ぐことになる。なので1度使うと同じメーカーの製品を使い続けることが多い。今回新規に購入する人は無料体験版をダウンロードして、使い勝手を確認した方がいいだろう。また筆者のようにズボラな人は年に1〜2度しか使わないので、慣れを必要とする製品だと毎年苦労することとなる。そんな理由もあり筆者は1番簡単な「やよいの青色申告」を使い続けている。

「やよいの青色申告12」を使ってみる

 実際に最新版の「やよいの青色申告12」を使ってみよう。筆者は2006年に独立したので「やよいの青色申告07」から2012年の「やよいの青色申告12」まで6バージョンを使用してきたが、基本的なインタフェースは変わっていない。日々の入出金の入力などは全く同じと言っていいだろう。ここ最近のバージョンで大きく変わったのは仕訳アドバイザーの充実と確定申告書、決算書の出力部分がより分かりやすくなったことだろう。当たり前だが扶養控除の一部廃止など税制の改正には完璧に対応している。

 2011年の記事「65万円の控除を青色申告で得る“超”具体的な方法(やよいの青色申告編)」では、初期設定から日々の仕訳入力、最後の申告書の出力までを大量の画像で紹介している(3ページ目)。バージョンが変わってもほぼ同じ画面となるので、2012年は少しポイントとなるところを詳しく紹介してみたい。

 というのは、ある1本の電話がきっかけだ。本原稿の執筆中に昨年出版社を辞めてフリーランスになった人から電話で「仕事じゃないんですけど……やよいの青色申告の使い方を教えてほしい」という質問を受けた。誠 Biz.IDで掲載した筆者の過去記事を読み、電話してきたようだ。3月になってから初めての青色申告に向けて入力を始めたそうで、筆者は「チャレンジャーだね」と言いつつ、せっかくの機会なので何処でつまづいたかを逆取材した。

 筆者も過去に住宅ローンの処理や車の購入など、つまずいた経験は多々ある。初挑戦の知人からの質問と筆者自身の過去の経験から、初めての人にとって難しそうなポイントとして以下の3つを選んでみた。

  • 家事案分と補助科目の設定
  • クレジットカードで購入したとき
  • 固定資産の入力と減価償却

 本記事では全体の流れを2011年よりも簡略化し、上記のポイントについて詳しく紹介していく。

インフレ時代の確定申告

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