紙文書は厚さ30センチまで、新オフィスで新しい働き方――内田洋行

内田洋行は、2012年2月に開設した新オフィスを公開した。自席を持たないオフィス空間デザインやICTの活用、環境対応など、新しい働く場と働き方のモデルを自社が率先して示していく。

» 2012年03月02日 18時15分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]
新川第2オフィス(左)と隣接する本社ビル(右)。構造計算書偽装マンションであると判明した「グランドステージ茅場町」と内田洋行が所持していたビルの土地で再開発。マンション住民36戸と内田洋行、隣接事業所ビル所有者が協力して事業を進めた

 オフィス空間の構築などを手掛ける内田洋行は3月1日、2012年2月に開設した「新川第2オフィス」の内覧会を実施した。

 2010年にリノベーションした東京都中央区の本社ビルに隣接する形で建設した今回の新オフィス。ビルの1〜8階が内田洋行のオフィスで、9〜20階は住宅36戸が入居するマンション「Sタワー」(旧「グランドステージ茅場町」)となっている。

 本社ビルと同じく、全フロアにLED照明システム「UbiqLight」を採用。加えて、フロアごとの消費電力量を常に可視化、制御するBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)「EnerSense」や、従業員がフロアの空調や照明をコントロールできるWebアプリ「マイコントロール」を独自開発して導入するなど、環境共生を意識した設計を施している。

 柏原孝社長は「新川第2オフィスの誕生で各拠点の再配置ができ、新しい内田洋行になるための事業基盤を整備する準備が整った。時代の流れとともにオフィスへのニーズも変化する中、内田洋行は自らが働き方、そして働く場所を変える姿勢を示していく。新川第2オフィスと本社が連動して、社員に活気があり、組織が成長していく働き方を全社員で取り組んでいきたい」と新オフィス建設の目的を話した。

内田洋行の柏原孝社長

 新オフィスの責任者を務める岩田正晴取締役は「オフィスが何の為にあるのかを立ち戻って考えたとき、やはり継続的な業績向上なくしてはオフィス空間を構築する意味はないと考えた。そしてオフィス空間の場作りを事業とする内田洋行が、顧客への提案価値を高めるにはどうすればよいか。それは内田洋行の社員個々の成長、および業績向上を果たすこと」とコメント。生産性を高め、顧客に価値を提供できる働き方を実践していく意気込みを示した。

建設コンセプトは「働き方の変化を実践・実証する場」

 新川第2オフィスに勤務するのは、内田洋行のオフィス構築事業、エコ事業、海外事業の3事業部。5階の業務スタッフ以外(主に営業スタッフ)は固定席を設けず、書類は1人当たり幅10センチのボックスファイル3個分まで(計30センチ)と義務付けている。移転を機に紙に縛られない業務を促進すべく、新オフィスに移転してくる際に全体で7割のペーパーレスを実現したという。


  7階フロア。主に2〜3人の打ち合わせなどで使用する。12人ほどが座れる長机やファミリーレストランスタイルの多目的スペースを窓際に設置(画像=左)。自然人が集まれるようなコーヒーブレイクの場も設けている(画像=右)

  各階をつなぐ吹き抜け階段。自然換気の排気をしており、水のせせらぎ風の音などの自然音が流れている

  6階のロッカールーム。各社員はここに自身のPCや荷物を保管している。通路にはちょっとした休憩スペースも

  6階は個人作業に適したフロア設計となっている。大型ディスプレーなども設置し、デュアルモニターでの作業もできる

  窓際はほどよい自然光が差し込んでおり、集中して個人作業を進められるようになっている。フロア中央にはオープン式の作戦会議ルームなどもある

  4階。机といすを自由に移動できる会議スペースや、全国各地の顧客向けにeラーニングなどを配信するスタジオを設置

  4階は大型ディスプレーを設置した席を多めに完備。奥には、「キャプテンデスク」と呼ぶ事業部長のスペースがあり、打ち合わせや情報共有の際に使用している。普段は他スタッフと同様に6階や7階フロアでも作業をしている

  2階。提案したオフィス家具を展示し、商談の際などに顧客に確認をしてもらうスペース

  全フロアを通じて各スタッフが使用できる「マイコントロール」。PCやタブレットのブラウザ経由で空調や照明を変更できる

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