非モテ男、相模原のキャバクラで散る【挑戦編】面白ビジネスグッズでモテる?

編集部の“非モテ男”ことホリウチくんをビジネスグッズを使ってキャバクラデビューさせる連載の第2回。紹介された相模原のキャバクラで、ホリウチくんは何をしたのか――。

» 2011年11月04日 16時25分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]

前回までのあらすじ

 誠編集部で働く記者のホリウチくん。面白い記事を思い出したように出してくるデキるヤツなのだが、残念なことにファッションセンスに難がある。

 白いワイシャツと黒いスラックスを365日着まわしていて、冬でも腕まくり。たまの出張で着慣れないジャケットを羽織ってきたかと思えば、脱いだ新幹線の車中に忘れてくるという始末だ。趣味はゲーム。特に数々のオンラインゲームで「リーダー的な役割を果たしている」(自称)とのことだが、その実態は謎である。

 フレンドリーな性格とかなりの高学歴(京大卒!)をもってしてもこれではモテない。そこでBiz.IDらしくビジネスグッズを使ってホリウチくんがモテたら面白いよね、というのが今回のテーマ。彼に新しい刺激を与えてみようとまずはキャバクラにでも連れて行ってきれいな女性を引き合わせてみるか――ということになったのだ。

 初回は元キャバ嬢の斉田直世さんにキャバ嬢にモテるコツやら、ビジネスグッズをきっかけにした話の盛り上げ方を教わり、さっそく“実践”してみようとキャバクラに向かうのだった。



相模原駅のほど近いビルの5階にあるフェニックス

 というわけでやってきた、相模原。

 え、話が見えないって? そうそう説明をし忘れていたところである。今回、ホリウチくんが向かうのは、神奈川県のJR横浜線・相模原駅から徒歩1分の淑女・熟女系(原文ママ)パブクラブ「フェニックス」。ここに前回いろいろ教えてくれた斉田さんの先輩である、現役キャバ嬢あかねさんがいらっしゃる。

 実はこのあかねさん、10代からキャバクラに勤めて、20代前半で東京・新宿の有名店でNo.1になったという売れっ子。しかも『No.1キャバ嬢の誰とでも楽しく話せる技術』などの著書もある作家さんでもあるのだ。キャバクラ初心者であるホリウチくんを「きっと優しく迎えてくれるはず」(斉田さん)ということで、われわれも早速お伺いすることにしたのであった。

 恥ずかしながら、筆者自身も相模原駅で下車するのは初めて(周辺の道路を車で走ったことはあるが)。ホリウチくんが“常駐”する秋葉原とはまったく雰囲気を異にするが、果たしてホリウチくんはキャバ嬢以前の問題として、この街になじむことができるのか――と危惧していたところ、時間になっても本人が現れない……。彼も取材があるとかで、別々に出発したのだが定刻になっても一向に現れず、ヤキモキするわれわれ取材班である(といっても筆者と付き添いの社員の合計2人だが)。

 かの剣豪・宮本武蔵も佐々木小次郎との巌流島の決戦で遅刻し、小次郎の動揺を誘ったというが、ホリウチめ、いつのまにか高等戦術を身につけたか。しかしわれわれも、いつまでも来ないホリウチくんをここで待っていても仕方がない。先にあかねさんに会うとしよう。われわれは駅から歩いてわずかのところにある、雑居ビルの5階にある「フェニックス」に入っていったのであった。

こいつは本気だぜ

 フェニックスは、50〜60人は入りそうなホールを持つパブクラブ(いわゆるキャバクラ)である。きらびやかな店内はもちろん、ホールの奥にあるグランドピアノ(しかも中が透けて見える!)が目を引く。話を聞くと、このピアノは日本に数台しかなく、X JAPANのYOSHIKIが弾いたピアノと同タイプのものだという。


ホール内。奥にはYOSHIKIが弾いたピアノと同じタイプの貴重なピアノが鎮座。生演奏が聴けることもあるという

あかねさん。和服姿が似合う姐さんだ

 店に入るなり圧倒されたところに登場したのが、和服姿のあかねさん。キャバ嬢は胸元の開いたドレスだとばっかり勝手に思い込んでいたところの和装での登場に、取材班(というか主に筆者)も少々戸惑ってしまった。

 とはいえ、これはこれでOK。きれいな落ち着いたお姐さんという雰囲気である。ただ一抹の懸念も感じた。「派手派手な女の子じゃないあかねさん、意外とホリウチくんとうまく行ってしまうんじゃないかな……」

 企画の最終的な狙いとしては大変結構な落ち着きどころだが、連載第2回で目的を達成してしまうと連載そのものの存続が問われる。企画立案者としては少々複雑な気持ちだ。来ないホリウチくんを心配しながら、ますますヤキモキして待つ取材班であった。


縦縞のシャツなんて初めて。しかも新品のおろしたてとは。ちなみに編集部の先輩記者から「襟元のボタンはちゃんと付けておけ」と注意されたとか

 「す、すいませんー」。来た、ヤツが来た。ドタドタと走りながらホリウチくんがやって来たのだ。実に10分オーバー。しかし、あかねさんは優しくお迎え。「こんにちは、急がなくてもいいですよ」と、もういきなり営業モードである。「え、そうですか。デヘ、デヘ」とホリウチくんも走りすぎたせいだろうか、鼻息が荒い。

 ……あれ? あれあれ、ホリウチくん、よく見るともしかして新しいワイシャツ? しかも縦縞のシャツだ。

 ホリウチくんとの短い付き合い(3年ほど)の中で、シンプルとはいえ柄物のシャツを着てきたのを筆者は初めて見た。正確に言えば、新品のおろしたてのシャツを仕事に来てきたのも最初の気がする。斉田さんが前回「清潔な格好をしてきなさい」と言っていたのを実践してきたわけだな。……こいつは本気だぜ。


はじめてのキャバクラ体験はいかに

 さて両者の準備が整った所で、さっそく一戦交えてもらおう。特定のキャバ嬢を指名せずに入店した、いわゆる“フリー客”のホリウチくんに対して「この人(ホリウチくん)に指名してもらいたい」とあかねさんが心の底から思ったら、この連載は残念ながら今回で終了だ。

 接客時間は15分。なお、この15分は「1人のキャバ嬢は通常フリー客に15分しか接客しない。それ以上話したりしたいなら、そのキャバ嬢を指名するしかない」(斉田さん)というのが理由だ。キャバ嬢はこの15分の中でいろいろ熱心に客を落とそうとする。すなわち指名を取ろうとするわけだが、話をしてもそっけなかったり、コミュニケーションが取りづらいなど面倒くさそうな人は、どうしても機械的な接客になってしまうという――。前置きはこの程度にして、いよいよホリウチくんに初めてのキャバクラを体験してもらおう。

かくして微妙な空気の中で始まった

ホリウチくん こんにちは。初めまして、ホリウチといいます。

あかねさん こんにちは、あかねです。

ホリウチくん こういう企画って多いんですか?

あかねさん いや、どうですかねえ。取材はありますけど。

 さすが記者である。冒頭からあかねさんにインタビューするような展開。しかしホリウチくん、今回の企画は君がインタビューすることじゃないんだ、君がモテることなんだ! と思って見ているとおもむろに名刺を取り出すホリウチくん。

ホリウチくん じゃあ、名刺交換しましょうか。

あかねさん え、あ、はい(唐突な提案にちょっと戸惑う表情)。

ホリウチくん 実はこんなアイテムがあるんですよ(名刺を画像で管理できる「ピットレック」を取り出す)

あかねさん へー、これなんですか?

ホリウチくん 実はですね……

あかねさん ?

ホリウチくん ……(操作している)。名刺を読み込むんですけど、うまくできない……。

 どうやらホリウチくん、ピットレック本体の名刺を立てるスリット(溝)に名刺を挿し込みたいようだが、うまくできない様子。時間は無情に過ぎていく。

苦戦するホリウチくんだが、今回の15分で一番あかねさんに接近できた時間でもあった

 数分後――。

ホリウチくん ほら、こうやって挿すでしょ。すると、カメラで撮影して一発で名刺の画像を取り込めるんです。

あかねさん すごーい、これ便利ですねえ。時間がかかりましたけど。

 いや、本当は一瞬でできるんだよ、あかねさん……。まあ、でもビジネスグッズへの反応はまずまず。ホリウチくんも、なんだか出来の悪い営業マンみたいな雰囲気ながら、ポメラマメモブギーボードなどを繰り出して、時間が過ぎて行ったのであった。

15分間、ドラえもんのようにビジネスグッズを繰り出し続けたホリウチくん。撮影はキングジムのインターバルレコーダー「レコロ」

ホリウチくん、説明するも……

 はい、15分終了。ビジネスグッズで何とか話はつないだけど、盛り上がったかと言われれば、それほど盛り上がりもなかったような……。あかねさんにホリウチくんの印象を聞いてみると、

あかねさん 面白いグッズを次から次へと出してくれたので、話は楽でしたよ。

筆者 じゃあ、ホリウチくんからの指名を取りたいと思いました?

あかねさん ありと言えばありかもしれませんね(苦笑)。アイティメディアって、ボーナス出てますもんね(ニッコリ)

 うわ、なんて大人の回答! というか、やっぱりお金なんだな(半分本気)。そもそもあかねさんたちキャバ嬢にとって「話をしない客」が一番大変だというので、今回は確かにその心配はなかった。ただ、ホリウチくんも一生懸命グッズの説明をしていたけど、何だかうまく会話を楽しんでいなかったようにも見えた。例えばこんなシーン。

ホリウチくん (ブギーボードを取り出し)これ、○×ゲームもできるんですよ。

あかねさん へー、すごいですね。

ホリウチくん こうやって、こうやって、こうやって、ね、できるでしょ。(1人で○×を付け終える)

 1人で完結している。これじゃあ、完全に説明員である。キャバクラに来てグッズの説明だけじゃダメだろ! なぜそこで一緒に○×ゲームをしない! あかねさんは面倒くさくないかもしれないけど、それじゃあモテないよ……。不完全燃焼のまま、家路を急ぐ我々であった。(続く)

笑って見送ってくれたあかねさんだが……

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