弥生は業務用パッケージソフト「弥生 12シリーズ」を12月2日に発売する。給与ソフトの年末調整機能の刷新や、販売後のサポート体制を強化。岡本社長は説明会で今後の販売方針についても言及した。
弥生は、業務用パッケージソフトの最新版「弥生 12シリーズ」を12月2日に発売する。
スタンドアロン版とネットワーク版(最大20ライセンス、会計と販売のみ)で提供し、ラインアップは会計や給与など。2011年7月に発売を開始した「やよいの見積・納品・請求書 11」については、引き続き現バージョンでの販売を行う。
各パッケージの名称、価格は以下の通り。
分類 | 製品名 | 価格 |
---|---|---|
会計 | やよいの青色申告 12 | 1万500円 |
弥生会計 12 スタンダード | 4万2000円 | |
弥生会計 12 プロフェッショナル | 8万4000円 | |
販売 | やよいの見積・納品・請求書 11 | 1万500円 |
弥生販売 12 スタンダード | 4万2000円 | |
弥生販売 12 プロフェッショナル | 8万4000円 | |
給与 | やよいの給与計算 12 | 1万9950円 |
弥生給与 12 | 8万4000円 | |
顧客 | 弥生顧客 12 | 3万1500円 |
(※)ネットワーク版は弥生会計 12、弥生販売 12ともに3ライセンス25万2000円から。
「弥生会計 12」と「やよいの青色申告 12」は、新たに出力可能な書類・付表として「所得税確定申告書」の第三表、第四表と、「所得の内訳書」「医療費の明細書」をサポート。不動産や株式の譲渡による所得がある人や損失を繰り越す人、多くの支払い先から所得の支払いを受けている人などは必要書類をまとめて作成可能となった。
青色申告については操作画面も改良。青色申告決算書や確定申告書の作成手順、画面の入力・修正個所をナビゲートするライトボックス(入力が必要な部分のみ背景を白表示)などの機能を加えたことで、青色申告の初心者でも容易に確定申告ができるようにした。
「弥生給与 12」と「やよいの給与計算 12」は、給与担当者にとってはうれしい年末調整のサポート機能を強化した。この改善ポイントは、同社の岡本浩一郎社長が「12シリーズは(これまで推していた会計ではなく)あえて給与について深く説明したい」と強調するほど。
具体的には、年末調整業務を行うポータル画面を新たに搭載した。年に一度の年末調整業務に慣れていない担当者や手順を忘れてしまった担当者でも、必要な業務の流れや一連の処理がどこまで進んだのかが一目で分かるデザインにしている。年末調整に必要な申告書を全て同ポータル画面から参照できることに加え、申告書の入力画面も実際の申告書と同様の仕様にした。担当者は各従業員が提出した申告書の内容を、戸惑いなく画面に入力できるという。また個々の申告書には「ふせんメモ」を付ける機能もあり、「証明書未提出」などのメモを残すことで年末調整業務での処理漏れを防止できる。
「弥生販売 12」は、レイアウトの編集機能を強化。提供中の「やよいの見積・納品・請求書 11」で好評だという、帳票のレイアウトを編集画面で変更できる機能を搭載した。背景色や罫線スタイルの設定などがカスタマイズできる。PDF出力にも対応し、作成したデータを電子メールで送信するといった作業が可能になった。
本シリーズのコンセプトは「徹底した業務支援」。法令改正への対応やユーザーインタフェースの改善といった製品自体の質向上に加えて、サポート体制を強化した。製品に関する問い合わせだけでなく、将来的には業務全般に関する問い合わせにも対応できるようなナビゲーションサービスを設ける。
ナビゲーションサービスでは、弥生のカスタマーセンターでは対応できない経理や財務業務に関する問い合わせに対して、官公庁、公的機関などの適切な確認先を紹介する。ユーザー企業から最も要望の多かった電話サポートの時間延長にも対応し、年末調整や確定申告の時期には通常時間より2時間長い、19時半まで電話サポートに応じるという。その他、2012年の取り組みとして業務関連の話題を取り扱うWebセミナーも積極的に実施していく予定だ。
岡本社長は今後の販売体制について、変わらずパッケージ提供を軸とする方針を述べた。以前発表していたSaaS版の提供については、2012年の4月を目途に開発を進めているという。ただしSaaS版は既存弥生シリーズのオンライン版という位置付けではなく、より小規模や個人事業者などをターゲットとした“ライトな弥生”を想定しているという。
2011年度の業績については、2〜3年かけて開発をしてきたやよいの見積・納品・請求書 11の販売開始や、弥生会計とやよい青空申告の新規モジュール投入などが功を奏し、製品出荷本数・金額ともに約5%以上のシェア向上を実現したことを報告した。この成長率は業界全体で見ても大きな価値があるとし、「当社の成長がリーマンショックなどで落ち込んだ市場の回復をけん引している」(岡本社長)と力強く語った。
なお岡本社長は説明会の中で東日本大震災に伴う支援策についても触れ、2011年8月に同社の第二次復興支援策としてこれまで行っていた既存ユーザーへのソフトウェア無償提供に加え、被災地の新規ユーザーに対しても同様の支援を開始していることを報告した(10月31日時点で新規63件)。今後も引き続き支援策を続けていくとしている。
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