NASAご用達のサバイバルフーズってどんな味?防災・防犯ラボ(1/3 ページ)

震災後はおにぎりやパンなどの炭水化物に食事が偏りがち。そんな時にバランスよくビタミンやミネラルを摂取できるサバイバルフーズを紹介します。25年の長期保存もできるという非常食の味はいかに!?

» 2011年11月01日 11時00分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

 こんにちは、防災・防犯ラボの主任研究員・ナカヤマです。皆さんは「非常食」と聞いて何をイメージしますか? クラッカー、缶詰のパン、懐かしいところでは乾パンあたりが一般的でしょうか。最近はレトルト食品も登場していますが、まだ「乾燥した炭水化物系」がメインのような気がします。

 ただ短期の飢えを凌ぐにはよいけれど、炭水化物ばかり食べていると栄養が偏ってしまいます。特に避難所生活では新鮮な野菜や果物が入手しにくく、ビタミンやミネラルが不足しやすいでしょう。

 「栄養的に優れていて、長期保存も可能な都合のいい非常食ってあるのかな?」と思い調べたところ、賞味期限25年の非常食(サバイバルフーズ)を発見。25年はいくらなんでも長すぎるだろう? という疑問をぬぐえず、取材を申し込みました。

本当に25年も保存できるの?

 今回話を聞いたのは、サバイバルフーズの輸入販売元セイエンタプライズの藤枝務さん。

 サバイバルフーズは、25年間の超長期保存が可能なフリーズドライ加工食品とクラッカーの備蓄食。カンパンなどの一般的な保存食が約5年間なので、その5倍もの長期保存が可能です。作っているのは、世界最大規模の凍結乾燥食品メーカーである米オレゴンフリーズドライ。NASAや米軍のミリタリーレーションとして採用されています。

 なお、サバイバルフーズのラインアップは、シチュー(鶏肉、野菜)、雑炊(海老、鳥肉)、そしてクラッカー。食べる時にお湯で戻すだけなので、調理は基本不要です。

ナカヤマ サバイバルフーズはフリーズドライ製法で作っているとのことですが、フリーズドライという技術はインスタント食品でも耳にするワードですし、目新しさを感じません。何か特別な技法でもあるのですか?

藤枝さん サバイバルフーズはフリーズドライ技術で劣化の原因となる水と酸素を極限まで除去します。それにより長期保存が可能となっています。詳細は企業秘密ですが、供給元のオレゴンフリーズドライではこのフリーズドライを温度や湿度管理など大変丁寧に行います。

 フリーズドライさえすれば、何でも長期保存が可能になるわけではないですよね?


藤枝さん ええ、経験に基づく微妙なコントロールが必要です。またインスタント食品に使用する一般的なフリーズドライ食品は、食材をバラバラのパーツで乾かしているんですね。で、それを混ぜ合わせています。これでは美味しくありません。サバイバルフーズは、いったん(シチューや雑炊として)作った料理を丸ごとフリーズドライしています。これが長期においしさを保存できる秘密です。

ナカヤマ 水分を極限まで取り除くとのことですが、どれくらい除去できるのでしょう?

藤枝さん 98%以上です。さらに缶には脱酸素剤を入れ、酸素をほぼゼロに近い状態にしてあります。

ナカヤマ それが25年の長期保存を可能にするんですね。

藤枝さん 実は余裕で25年以上もちます。米国で過去販売していた製品には賞味期限の記載はなく、「indefinite=半永久的に保存可」とうたっていたほどなんです。30年経過したサバイバルフーズを検証したこともありますが、問題なく食用できました。供給元では、データ上40年は食べられると言っています。25年という期間は賞味期限なんです。

ナカヤマ 40年! まるでワインですね。せいぜい3年か最長でも5年が技術の限界だと思っていました。失礼ですが、まだちょっと信じられない気分です。

藤枝さん そうおっしゃる方は多いです。購買担当者の方の中にも、25年前のモノを試食したがる方がいますよ。まあ、NASAと米国陸軍が採用しているので、品質には安心していただいて大丈夫です。

ナカヤマ もしかして、缶(パッケージング)に工夫があるとか?

藤枝さん 缶自体は頑丈ですが、特別なものではありません。ただ、こだわりが2つあって、缶の内側外側をエナメルコーティングしています。そしてもう1つはプルトップを採用していないこと、です。プルトップは缶切りナシで開けられて便利ですが、積み上げると重みでフタが壊れるなど耐久性に乏しい弱点があります。保存性が命なので、1缶ごとに缶切りを付けて販売しています。

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