キャンパスは転がせるテーブル――コクヨデザインアワードグランプリ「roll table」コクヨデザインアワード2011

2年振りに実施した「コクヨデザインアワード」。2011年のテーマは『Campus=「学び」のデザイン』。グランプリには周囲をロール紙で包んだ子供用テーブル「roll table」が輝いた。

» 2011年10月14日 19時00分 公開
[Business Media 誠]
グランプリ受賞の「roll table」

 コクヨは10月13日、「コクヨデザインアワード2011」の受賞作品を発表した。9回目を迎えた2011年のテーマは『Campus=「学び」のデザイン』。2011年2月1日〜5月10日の期間に、国内外から1596件(国内:1343件、海外:253件)の応募があり、その中からグランプリ1作品を含む優秀賞5作品、コクヨ賞1作品を選出した。

 同アワードは、2002年から実施しているデザインコンテスト。企業、団体、個人問わず誰でも応募が可能で、年齢、性別、職業、国籍などに縛りもない。過去には受賞作から商品化に至った作品もあり「カドケシ」などが有名だ。

 1年の休止を経て再スタートを図った2011年は、初の試みとして、授賞式当日にプレゼンテーション(優秀賞チームを対象にした第3次審査)の場を設けるなど、作品の完成度だけでなくデザイナーの作品に対する想いを高く評価した。

 グランプリに輝いたのは、グループ名「神戸意匠操練所」の子供用テーブル「roll table」。四角形の芯(紙管:280×300ミリ)に100メートルのロール紙を巻いており、机自体に直接絵を書き込める仕組みだ。コロコロと転がしながら紙のサイズを調整したり、好きなところでカットしたりと自由に使える。

神戸意匠操練所のメンバー。左から山内真一さん、二宮慧さん、天野文彰さん

 審査では、制作の過程で実際に子供に使用したもらいながら検証を重ねていった点に説得力があると高評価を得た。神戸意匠操練所は学生時代の先輩後輩で構成したチームでメンバーのうち2人は大学院生だ。今回はそれぞれの幼少時代の想い出から、紙のサイズを気にせずに自由な絵を描くことが成長をはぐぐむ学びにつながるとしてroll tableのデザインに行きついたという。

 審査員からは「子供の学びに対する自由度を阻害しないように、デザインの細部まで考え抜かれていた。プレゼンテーションを通じて作品の楽しさ、使うワクワク感を生の声で感じた」などのコメントが寄せられた。

 その他、優秀賞には入浴時に絵や文字を書ける鏡「Campus Mist Pad」(AUN2H4)、行間に着目した「読みやすいノート」(西居洋毅さん)、縦と横2通りの使い方ができるノート「2 way note」(Fulldesignstudio)、読書のメモを本の帯として使用できるメモ帳「obilog」(緑の少年団)が入選。コクヨ賞には、自分の好きな長さにカットできるノートパッド「Makino」(佐々木愛さん)が選ばれた。


  左から「Campus Mist Pad」「読みやすいノート」


  左から「2 way note」「obilog」

コクヨ賞「Makino」
賞作品名 種類 受賞者・グループ名(敬称略)
グランプリ/優秀賞 roll table 周囲を紙でロール状に包んだ子供用テーブル。カットした紙では感じることができない無限の長さが、子どもの自由な成長を育む。また、引っ張り転がすことで生まれる新たな世界は、子どもの好奇心をくすぐり、問いかける グループ名:神戸意匠操練所/構成:山内真一、二宮慧、天野文彰
優秀賞 Campus Mist Pad 入浴の時間を豊かに楽しくするノートをモチーフにした鏡。ある時は練習帳、ある時はお絵かき帳といったように鏡がノートになり、指がペンとなり、バスタイムが学びの場になる作品 グループ名:AUN2H4/構成:杉本貴司、稲垣誠、吉田真司
優秀賞 読みやすいノート 文章を読む時に「行間が重要な要素である」ことに着目し、行間に0.7行のスペースを設定し、読みやすさに配慮したノート。行間は単語の意味を書いたり、漢字にふり仮名をうつ時にも活用できる 西居洋毅
優秀賞 2 way note ゴムの掛け方を変えることで縦、横の2通りの使い方ができるノート。背の高い「木」を描きたくなったら縦開きに、横に大きな「ぞうさん」を描きたくなった時は横開きに。描きたいもの、描きたいシーンに合わせて、ノートの開き方を選択できる作品 グループ名:Fulldesignstudio/構成:古庄良匡、近藤 豊、吉田 号
優秀賞 obilog 書いたメモを帯にすることで、読書によって学んだ跡を本に残していくメモ帳。本を読んでメモを取る。そのメモを帯として本と一緒に保存する新しい読書のカタチを提案した作品 グループ名:緑の少年団/構成:森恭平、姉川伊織、竹内満衣子
コクヨ賞 Makino 自分の好きな長さにカットできるノートパッド。定型サイズのノートでは思いきり書くにはもの足りず、少しだけ書き留めるには紙を余らせてしまう。身近にある食品ラップのように、好きな時に好きなだけ使いたくなる、新しい学びを提案した作品 佐々木愛

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