愛用のスマートフォンを「なくした!」「盗られた!」となったときに半泣きにならずに済む、今すぐできる対策をiPhone紛失経験者が語ります。
こんにちは、防災・防犯ラボの主任研究員・ナカヤマです。私は個人でiPhoneとケータイの2台を持っていまして、iPhoneをメインに使用しています。財布を持たずに出掛けることはあっても、iPhoneを持たずに外出することはないくらい肌身離さず大切にしています。そんなiPhoneを先日、なんと駅に置き忘れてしまいました(涙)。
正確には「東京メトロ銀座線、青山一丁目駅改札の手前にiPhoneを置き忘れ、3駅進んだ渋谷駅でそのことに気が付き、真っ青になって取りに戻ったら幸運にもそのまま残っていた」のです。無事だったからよかったものの、iPhoneが無いと気付いたときの焦りといったら生きた心地がしませんでした。
「やばいっ! 仕事用も含むあらゆるメールとSMSの履歴、スケジュール、Dropboxのデータ、住所録、画像、人に見られるのはちょっと恥ずかしいRSSリーダーのフィード、さまざまな情報が漏れてしまう。特に会社のデータは外部に漏れたら致命的だ。ソフトバンクに電話をして本体をロックすべきか? フリーダイヤルの番号は何だったっけ? いや待て、パスコードロックが掛かっているから慌てなくていいのか? まずは何から対処すればいいんだ、落ち着いて考えろ……!」
あらゆる心配事が一気に頭の中を駆け巡りました。あの日のことを思い出すと、今でも心臓がバクバクします。たっぷり1年分の冷や汗をかいたこの体験をキッカケに、私は真剣にiPhoneの紛失・盗難対策をしようと誓いました。
そう考えると、モノの紛失・盗難も一種の災害には違いありません。ということで今回の防災・防犯ラボでは、今すぐできるiPhoneの紛失・盗難対策を取り上げてみようと思います。iPhoneユーザー限定の話で恐縮ですが、お役に立てればと思います。
iPhoneを紛失した理由は、はっきりと分かります。8月26日に東京を襲ったあのゲリラ豪雨のせいです。「紛失と豪雨に何の関係が?」と思うでしょうが、関係あるんです。その時の様子を、再現してみます。
ズボンがずぶぬれだったせいですごく気持ち悪く、さらに汗だく。「さっさと冷房の効いた列車に入りたい」という焦りの気持ちもありました。常軌を逸した豪雨、いつもより多い手荷物。不快な気持ち、早く移動したいという焦りが重なり、うっかりミスが起きてしまったのです。
この経験を基に、どのような紛失・盗難対策ができるかを考えてみました。具体的には、以下の4つに大別できるでしょう。
1. (最悪の場合を考えて)悪人が拾っても本体ロックなどでデータを守る仕組みを設けておく
2. (善人が拾った場合)どうコンタクトし、返却してもらうかを考えておく
3. (最低限できる対策として)パスコードを破られない工夫をする
4. そもそも、置き忘れない工夫をする
不幸にも悪意ある人が拾ってしまった場合に備えて「1. 悪人が拾っても本体ロックなどでデータを守る仕組みを設けておく」必要があります。
ソフトバンクは、端末の紛失・故障対応を24時間無休で受け付けています。同社の携帯電話からだと「113」発信で無料ですが、iPhoneが手元になければ意味を成しません。ソフトバンク以外の携帯電話からは、0088−240-113(無料)でかけられます。一般電話が使えるのなら、0800−919-0113(無料)で同様につながります。念のため、ソフトバンクお客様センターに「紛失・盗難時の取るべき対応」を伺ってみました。
ソフトバンクの回答を3行でまとめると、こうです。
以上です。サッパリしていますね。端末ロック以上のヘルプはないので、肝に銘じておきましょう。
なお、ロックしたiPhoneは通話やパケット通信ができなくなるだけで、住所録や過去のメールなどはふつうに閲覧可能です。よって、パスコードを掛けていないと(もしくは解除されると)中身は見放題。やはり、パスコードは絶対に掛けておくべきです。
ちなみに、ロックしてしまうと自分から電話してもかかりません。この辺はもろ刃の剣なので、慎重に判断してください。(※注)GPSや基地局から端末のおおよその現在地を割り出す「紛失ケータイ捜索サービス」というサービスは存在しますが、iPhoneユーザーは利用できません。
iPhoneを紛失したあの日、青山一丁目駅に駆け戻るまでにざっと30分弱経過していました。
昼間の都心の駅は人通りも多いです。「あれ? こんなところにiPhoneが」と思って通り過ぎた人はたくさんいたはず。にもかかわらず、誰も私の置き忘れたiPhoneを盗りませんでした。これって、もはや奇跡と呼べるんじゃないでしょうか? 海外ならばまずありえないと思います。世の中捨てたものじゃないと心底思いました(まあ、無関心の表れでもあるのでしょうけど)。
ということは、親切な人が拾ってくれた可能性も十分あったわけです。そこで「2. (善人が拾った場合)どうコンタクトし、返却してもらうかを考えておく」です。いくら善人でも、パスコードロックの掛かったiPhoneの持ち主を知る術はありません。交番に届けたとしても、警官もどうしようもない。応答を期待して私から電話をかける手もありますが、私が動かねば何も起きないのは確実です。
パスコードロックを解除せず、拾った人に私のコンタクト先を知らせる方法はないものか? すると「If Found」という無料のiPhoneアプリが見つかりました。
If Foundを使うと、ロック画面上に「氏名」「電話番号」「メールアドレス」「任意のメッセージ」を表示できます。気休めかもしれませんが、善人だったらコンタクトしてくれる可能性は大きいです。私は携帯電話の番号を入力しています(誤ってiPhoneの番号を入れてしまわないように気を付けましょう)。
次に「3. (最低限できる対策として)パスコードを破られない工夫をする」について。iPhone内のデータは、パスワードを解除しない限り基本的に漏えいしません。
ただ以前から感じていたのですが、4桁のパスコードって頼りない気がしませんか? 重要なデータをわずか4つの数字で守っているのは、私は少し不安です。また時々、そもそもパスコードを掛けていない人を電車内で見かけますが、あれは危険過ぎるでしょう。最低限パスコードロックは設定した方がいいと思います。
さて、パスコードの桁数を増やせないものかと調べた結果、次のリンクが見つかりました。
私は、上記EC studio社長のブログで紹介されていた「パスワード強化プロファイル」を利用しています。このプロファイルは、同ブログで公開しているプログラムをダウンロード(インストール)すると、パスワードの桁数を自由に選べるようになるというものです。本人以外にはパスコードが何桁か分からないので、それだけでも安全性がぐっとアップします。設定も簡単ですし、これは強くお薦めします。
パスワードの桁数が増える分、操作の度に打ち込むのが面倒ですが「iPhoneを紛失しかけたあの日の恐怖」を知る私には、まったく苦ではありません。
最後に「4. そもそも、置き忘れない工夫をする」にも触れましょう。置き忘れない習慣を身に付けることが最初の対策なのですから。それに、盗難よりも紛失の方が圧倒的に多い気がします。
超原始的ですが最強だと思う、私の置き忘れ防止法があります。それは「イヤフォンを常に挿しておく」です。
胸ポケットやカバンに入れてあるときも、電車やカフェでいじっているときも、音楽を聴いていなくても、iPhoneには常にイヤフォンを挿しっぱなしにしておきます。イヤフォンコードを、紛失予防のコードとして使うのです。これを習慣化しておくだけで、置き忘れる不注意を激減できます(ただし盗難防止効果は望めません)。
iPhoneユーザーはほぼ100%イヤフォンを持っていると思うので、何かを購入する必要もなし。手間もないし、操作の邪魔にもなりません。私はこれで紛失のニアミスを回避してきました(いつもこれを実践しているのに、ゲリラ豪雨のときだけイヤフォンを挿していなかった……)。
以上、実体験を基にしたiPhoneの紛失・盗難対策でした。急激に普及が進むスマートフォン。今後はスマートフォンの紛失・盗難も増えてくるでしょう。「無くした!」「盗られた!」となったときに半泣きにならずに済むよう、すぐに対策を施しておきましょう!
「iPhone 紛失」で検索すると、役に立つリンクが幾つも見つかります。似た体験をした方も多いんだなあとちょっと共感。以下、参考になるリンクを紹介します。
※経験者のお話。この人の気持ちが痛いほど分かる……。
※警視庁遺失物センターの問い合わせ先。タクシーや電車の落し物の問い合わせ先もあります。
シックス・アパート株式会社 / スキナヒト製作所 所長。1971年生まれ。Covenant College(米国)卒業後、携帯電話キャリアでマーケティングと営業に携わり、2000年にネット業界に転身。旅行予約サイト(現楽天トラベル)で観光旅行コンテンツビジネスを立ち上げ、その後始めた個人ブログがキッカケで、ブログソフトウェアベンダーのシックス・アパートに(現職)。
2010年12月、フツーの男女のフツーの出会いをプロデュースすることに特化した、世界一マジメな恋愛インキュベーション・プロジェクト「スキナヒト製作所(β)」を設立。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.