急な災害や事故に巻き込まれた時、どうしても気が動転します。人間だから仕方ありません。ですが、事前に準備をしておけば、そんな時でも指先ひとつで何とかなるかもしれませんよ。
防災・防犯ラボの主任研究員・ナカヤマです、こんにちは。ところで、災害、犯罪、事故に巻き込まれたときって、気が動転しますよね。例えば、
冷静な状況ならともかく、パニック状態だと理路整然と行動できないのではないでしょうか。財布を盗まれた、携帯を紛失した、自動車事故に遭った、ゲリラ豪雨に見舞われた、地震や火事に遭遇した――。そんなとき、パニックに陥って慌てふためくのではなく、可及的速やかに事後対処を行えるよう、日ごろから備えておきたいものです。
というわけで今回は「指先ひとつでカンタンにできる対策」と題しまして、パニックを防げるカンタンにできる対策を考えてみましょう。
一刻を争う時に「連絡先が分からない!」って慌てること、ありますよね。この対策は「各種トラブルが起きたとき用の連絡先を、携帯にあらかじめ登録しておく」。これだけです。
……「当たり前だろ」という声が聞こえます。
ですが、自分自身の携帯電話を確認してみてください。クレジットカード会社、銀行や郵便局、自動車故障時の緊急サービス、PCサポートセンター、保険会社などのフリーダイヤルは携帯に登録していますか? 結婚していれば配偶者の勤務先など、子供がいれば学校(保育園、託児所など)も登録していますよね?
普段は滅多に電話する機会はないけれど、ハプニングの際に「連絡先が分からない!」はまずいですからね。
ここまではふつうです。
この延長線として災害や犯罪まで想定して、必要となる連絡先を登録しておきます。具体的に携帯に入れておくべき連絡先とは何なのだという話ですが、ざっと挙げてみますね。
連絡先 | ポイント |
---|---|
市町村の役所 | 居住地に加え、勤務中に災害に遭った場合に備えて職場の管轄も。広範囲な情報源として、都道府県の連絡先の追加もあり。 |
保険会社 | 加入している保険会社の連絡先すべて。生命保険、損害保険、地震保険など |
金融機関 | 銀行や郵便局。24時間対応のフリーダイヤルがベスト。 |
交通機関 | 普段利用している電車&バス会社、最寄りの駅。 |
医療機関 | かかりつけの病院、管轄内の保険所。 |
警察 | 110番ではなく、居住地を管轄とする警察署の連絡先。 |
消防署 | 119番ではなく、居住地を管轄とする消防署。 |
ライフライン | 電気、ガス、水道など。 |
災害用伝言ダイヤル | 171など。 |
トラブル相談 | 県の交通事故相談所、消費者センター。 |
指定避難先 | 市民体育館、市民公園、文化施設。 |
それぞれの電話番号、住所、あればWebサイトのURLを携帯に登録しておきましょう。
今回、色々調べるにあたって、私が住む川口市のWebサイトを確認しました。ぶっちゃけ「市役所の情報発信なんて、どうせたいしたことないだろう」と決めつけていたフシがありまして、まったく期待していなかったのです。
……ところが、情報量がスゴくてびっくり。まあ、見た目に華やかさはないし、テキストメインで堅苦しい印象は受けるものの、細かいところまで網羅していて更新頻度も高いようす。さらには、防災放送の内容はほぼリアルタイムで更新していました。
役所は担当の課が細かく分かれているので、関係ありそうな課の電話番号を入力しておきます。「災害対策室」「防犯対策室」「交通安全対策課」「生活福祉課」「保健衛生課」「国民健康保険課」「子育て支援課」「市民相談室」「消防本部指令センター」あたりは押さえておくといいかもしれません。
とくに感心したのは「防災・防犯メール配信」で、携帯やPCでいろんなメール配信を受けられるサービスまでありました。例えば、こんな情報が送られてくるそうです。
子育てやゴミ収集日は災害・犯罪とは無関係ですが、いいなと思ったのでついでに登録(笑)。わざわざ自分で調べに行くほどでもないけど、あると便利な生活情報をメールでプッシュしてくれるのはとても助かります。
これまで役所というと、用事がある時だけ行き、終わればさっさと帰る場所という認識でした。行けばたいてい長時間待たされたり、たらい回しにされたりもするし、仏頂面で対応する人もいるし、と正直いい印象がありません。でもWebサイトを見る限りは、かなりユーザーフレンドリーになってきているという印象です。いいことですよね。
ということで自分が住んでいる市町村のWebサイトは、必ずチェックしておくべき。予想外の発見もあるかもしれませんよ。
ただ携帯への入力ってけっこう面倒ですよね……。電話番号だけならまだしも、住所やURLまで一つ一つ打ち込んでいくのは、イライラします。でも、1回やれば終わりなので、そこはガマン、ガマン。
私はiPhoneの住所録に入れるだけでなく、Excelファイルにまとめて共有が便利な「Dropbox」にも保管しておきました。Excelなので一覧性が高く、DropboxであればPCなどからも更新しやすいし、印刷もできますからね。念のため1部印刷し、防災袋にも入れておくことにします。
こういった連絡先は、まず実際にお世話になる機会はほぼありません。でも、もしものときにあったら助かる情報ばかりです。そんな重要な連絡先が、手元の携帯に入っていると考えるだけで、安心感が違いますよ。
指先だけでできる災害・犯罪・トラブル対策、いかがでしたか? 平常時に、ぜひ済ませておくことをオススメします。ただ、肝心の携帯を紛失してしまったらパーなので、そこは十分にご注意を!
10月1日(土)と2日(日)に、ららぽーと豊洲で親子で学べる防災スクールの無料イベントが行われます。
豊洲地区一体で開催する防災をテーマにしたユニークなイベント「BO-SAI 2011 in 豊洲 〜EXPO version〜」は今年で4年目。今回は3月11日の東日本大震災を受けて、より詳しく実用的な防災に触れてもらえる展示や体験プログラムを用意しました。非常食の試食ができるカフェスタイルの防災情報提供コーナー「地震ITSUMOカフェ」も楽しめますよ。
無料イベントですので、お気軽にお越しください。ナカヤマもサポートスタッフとして、イベント運営のお手伝いをしてきます!
シックス・アパート株式会社 / スキナヒト製作所 所長。1971年生まれ。Covenant College(米国)卒業後、携帯電話キャリアでマーケティングと営業に携わり、2000年にネット業界に転身。旅行予約サイト(現楽天トラベル)で観光旅行コンテンツビジネスを立ち上げ、その後始めた個人ブログがキッカケで、ブログソフトウェアベンダーのシックス・アパートに(現職)。
2010年12月、フツーの男女のフツーの出会いをプロデュースすることに特化した、世界一マジメな恋愛インキュベーション・プロジェクト「スキナヒト製作所(β)」を設立。
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