「すべてを記憶する」の次の100年を作るヒントとは?Evernote Trunk Conference(3/3 ページ)

» 2011年09月02日 12時50分 公開
[松村太郎,Business Media 誠]
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Evernoteの課題を真っ正面から解決するアイデア

 今回のイベントの主目的はEvernoteの開発者との対話であり、面白いアプリケーションを支援することを知ってもらう事だった。イベントに先立ってEvernoteを活用したマッシュアップのアプリやサービスを広く集めていた。大賞とノミネートの作品のサマリーは以下の通りだ。

Japan Prize:EverFinder

Japan Prizeに輝いたEverFinderを開発したSUSIEA 杉上洋平氏

 Mac向けのEvernote高速検索アプリ。フルキーボードコントロールが可能で、インクリメンタルサーチも実装しており、見つけたいノートに素早くアクセスすることができる。SpotlightやEvernoteの検索よりも素早く目的のノートにリーチできるようになる。


Japan Prize:R.O.I

 慶應義塾大学メディアデザイン大学院の学生のアイデアでRegion of Interestの略。大学の授業などでEvernoteで学生がノートを取る情報を収集することで、教員は自分の授業のどの個所で関心が高まったかを知ることができる。セミナーやプレスカンファレンスでの活用の他、言語解析を加えることでキーワードを興味の高い抽出することも可能。

Student Prize:Desk in the Clouds

 PCのデスクトップ上に架空のデスク空間にEvernoteのノートを自由に配置することができるアプリケーション。Evernoteのノートで構成された仮想デスクトップを作れるようなサービス。

Wildcard Winner:bookvids

 絵本の写真をカメラで撮り、そこに音声を録音してEvernoteのノートブックに保存すると、自動的に読み聞かせのビデオを生成してくれるサービス。文字認識と音声認識技術を組み合わせることで、絵本の読み上げとページめくりのタイミングをも自動的に同期してくれる。

ノミネート:Colorstache

 ノートの中のスナップショット(写真)を、色で検索できるようになるアプリケーション。写真で記録することが多いデザイナーやアイデアのクリッピングでEvernoteを使っている人にとって、非常に直感的な検索方法を提供する。

ノミネート:Wikitude My World

 Evernoteに友人が残したの位置情報つきノートを、カメラを通じて実世界に浮かせることができる拡張現実(AR)ビューワーアプリ。セカイカメラのデータソースがEvernoteのノートになっているというサービスと言える。

ノミネート:Notablemeals

 食事記録ツールで、レストランの検索、評価を写真や音声、そしてレートで評価することが出来るようになる。時間の経過で記憶は下がっていくが、印象は上がっていく。数タップでストレスなく記録すれば、テンプレートでデザインされたノートがEvernoteに保存され、より印象的な記録をつけることができる。

ノミネート:Sniptastic!

 コードのスニペットをEvernoteに保存し、ソーシャルに共有することができるサービス。Sniptasticで表示すると、好みの言語で表示してくれ、Evernoteをコード置き場として活用することが出来るようになる。

ノミネート:Zendon

 EvernoteでGTD(Getting Things Done)を実現する仕事効率化アプリ。情報を集め、何をすべきか振り分け、プランを作り、実行する、というプロセスをEvernoteを使って実現する。2分以内ですぐできるモノは実行し、そう出ないモノは計画にする、という振り分けで、仕事を効率的に片付けられるようにする。

最優秀賞:Touchanote

 NFC搭載のAndroidスマートフォンとNFCタグを組み合わせることで、スマートフォンでタグにタッチするだけで紐づけて置いたノートを呼び出せるようにするアプリ。例えばテレビのリモコンに貼っておけば、機械音痴でもDVDで映画が観られる。Wi-Fiルーターに貼っておけば、ネットワーク設定などを簡単に見つけ出すことができ、変更されたら編集することもできる。


左はTwitterを最適な時間にポストしてくれるBufferの開発者が、開場からツイートしていたら声をかけてくれた。右は、Evernoteを活用したコンペティションでJapan Prizeに輝いた慶應義塾大学メディアデザイン大学院のHayoon Na氏

Evernoteで3分間を価値を高める

シリコンバレーで有名になった伊藤園の緑茶、ブームのきっかけはレッドブルの対抗馬として、ITワーカーにすすめたことだった。お弁当は和食のデリカ。シリコンバレーのカンファレンスの食事のまずさに対してのアンチテーゼとして、おいしい食事を選んでいるという

 これらのアプリに大きく共通している点は、ため込んでどんどん自分にとって価値が上がり続けているEvernoteから、どのように情報を見つけ出すかという点。基本はノートの検索、ノートブック、タグでの分類という3つの方法が用意されている。

 しかし今回のコンペティションに登場したアプリと、そこへの聴衆の反応を見ると、開発者、ユーザー共通の問題意識として、これだけでは足りない、もしくは足りなくなってくると考えていることの現れでもある。リービンCEOは自身の基調講演の最後をこう締めくくっていた。

 「カフェで3分の時間が空いたときに、FacebookやZyngaに使う時間は“時間の無駄使い”だけど、Evernoteに関わろうとすると20分くらいかかる。これをどうやって短くしていくのか。3分で何ができるのか」

 Evernoteへの情報入力や、情報の整理、活用への準備など、今使う3分が後に大きな効果を起こす可能性への示唆でもあった。

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