災害、犯罪、事故を伝えるニュースは、すでに世の中に溢れています。基本的にニュースは、起きた事実や最新の情報を伝達してくれるものでしかありません。
「災害から身を守るには、何をすればいいの?」「犯罪被害に遭わないためには、どう注意すればいいの?」「事故のリスクを抑えるには、何を心がければいいの?」といったニーズに具体的に応えてくれる情報源は、意外に少ないものです。
そんな状況を解消するためにオープンしたのが「防災・防犯LABO」。私、主任研究員のナカヤマです。まだまだ研究途上ではありますが、防災・防犯に特化したお役立ち情報や、誰でも実践できるノウハウを皆さんと一緒に研究していきたいと思います。
防災だ、防犯だと書くと、なんとなく「堅苦しい」「めんどうくさい」「難しそう」なイメージがありますけれど、そんなイメージを払拭するようにがんばりますので、お付き合いください! というわけで、初回となる記事は、公衆電話について書いてみようと思います。
公衆電話――。
みなさんが公衆電話を最後に使ったのは、いつだったか思い出せますか? ちょっと思い出せないのではないでしょうか。ちなみに、私もまったく思い出せません。もしかしたら、最後にかけたのは2000年以前だったかも。
携帯電話が広く普及した今では、お世話になる機会がめっきり減った公衆電話ですが、災害時には比較的つながりやすい連絡手段として知られています。
携帯電話や固定電話では、皆が一斉にかけると、輻輳(ふくそう:一斉にある地域に電話が集中し、交換機の処理能力を超え、つながらなくなること)を起こしたり、交換機のシステムダウンを警戒して通話が制限されたりしますが、公衆電話は優先的に接続できるようになっているため、つながりやすいというワケです。
そう言えば、東日本大震災の直後の都内では、携帯電話や固定電話がほぼつながらない状況の中、公衆電話に長蛇の列ができました。
利用頻度の低下に伴い、設置数も年々減っています。NTT東西によると、2000年時点で70万7233台だったのが、2010年には25万2775台にまで減少しました。この10年ちょっとの間で、ざっと3分の1になってしまっています。25万台という数字だけだと、多いのか少ないのかイメージしにくいですね。郵便ポストの設置数ですが、約19万本強なので、郵便ポストよりやや多いくらいでしょうか。
公衆電話の施設数の推移を見ると、年間で2〜3万台がなくなっているようで、1997年ごろから徐々に減り始め、2000年以降にその勢いが増しています。災害用・緊急用として、ある程度の台数は確保されるでしょうが、減少傾向に歯止めはかからないかもしれません。
次に気になったのが「どこに設置しているか」という場所。自宅や職場周辺の設置状況を、把握している人は少ないかと思うので、さらにくわしく調べてみました。
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