人間、希望がもてるとやる気が出るものです。「30年間ずっとこうだったんだぜ。本棚不足だけはどうしようもないよ……」と解決を放棄していた3日前の自分のことは棚に上げて、まずは死蔵本を発掘することにしました。要は押し入れや倉庫部屋の奥に埋もれた本を引っ張り出そうとしたわけですが、
という当たり前の真理が私の前に立ちふさがりました。ぶっちゃけていうと「オマエどんだけ倉庫にゴミためてんだよ」という話なんですが、自宅では1部屋(5畳ぐらい)をほぼ倉庫部屋として使っていまして、スーツ、コートのような大物衣類と本、その他雑多な物資を置いてあります。ところがその部屋の中で床が見えているのはせいぜい約1.5畳ほど。本来は3畳ぐらいのスペースは空くはずなのですが、「とりあえずここに置いとくか」と無計画に床に置きっぱなしにしたモノが多すぎて、恥ずかしながら足の踏み場もない状態でした。
以前なら「……後で整理しよ」と先送りにしていたところですが、ScanSnapを手に入れた私はひと味違います。「どりゃあああ!!」と気合いを入れて猛然と倉庫部屋の整理をすること1日半、次から次へと出てくる「廃棄!」対象の雑貨の山を仕分けていった結果、こんな感じになりました。
入り口から一番奥に埋もれていた「本」と「雑貨B」がなくなった上に、床に適当に置きっぱなしにしていた「工具」や「木材」をきちんと整理し箱詰めし立体収納することで集約した結果、まともに床が見えるスペースをかなり確保できました。ちなみに「雑貨B」は廃棄、本はその大半をScanSnapでPDF化しています。
実際のところ、倉庫部屋で「本」が占めていたスペースそのものはそれほど大した割合ではなかったのですが、それをなんとかしよう、なんとかできる! やればできる! あきらめたら試合終了だ! という希望の光に燃えた私は、調子に乗ってその他雑貨や工具等の整理整頓にも手を伸ばし、結果として当初見込んだ「本の収納スペース節約」の何倍もの成果を挙げられました。
これが「ScanSnapが引き起こしたお部屋のリストラ、地殻変動」だったんですね。
ちなみに「工具や木材っていったい何だ」と興味がわいた読者のためにちょっと説明しておきますと、「木材」は文字通りの木材で、ちょっとした小物を作るためにホームセンターで買ったものです。中には古いベッドを解体して出た廃材もあります。
「工具」は電動工具(ドリル、インパクトドライバー、ジグソー、糸ノコなど)、金づちや物差し、かね尺、鉋(かんな)、やすり、木ねじ、ボルト、接着剤に塗料などなど、要はDIYのための資材・工具で、「作業台」というのはその作業をするためのワークベンチです。半田ごてやIC、コンデンサ、LED、マルチメータなどの電子工作系の材料もあります。なぜかここ数年、電子工作や日用大工が趣味になってましてモノ作りにはまっているので、こんな物資があるんですね。
そんな趣味が実益を兼ねることもあるもので、例えば今回はこんなものを作りました。
ちなみに1枚目の白いPCラックは私のデスクと窓の間に置いてあるもの。PCの高さに合わせて、下段にPCとUPS、上段にはその他の物資を載せられるような二段構造、ラジアタパイン材に白塗装をして、キャスターをつけて作ってあります。こんなふうに必要なサイズに合わせて作れるのがDIYの良いところ。ちなみに工具ラック(これもキャスター付き)のほうの天板を支えている4本の白い柱は、使わなくなった物干し台の支柱(スチール性)を切断して使っています。
そんなわけで、ScanSnap S1500 は思いがけずわが家に「お部屋のリストラ」をもたらしました。やろうと思えば今までだってできたはずのこの作業、今までやれなかったのはひとえに「やる気が起きなかった」からにすぎません。
でも「本棚のスペースを空けられるかもしれない」という希望が見えたとたんにやる気100倍増、怒とうの勢いで倉庫の整理・廃棄・再構成を始めてしまったのは我ながら意外でした。結局のところ、人のやる気を刺激するもの、それは「希望」なのではないでしょうか?
ScanSnapは確かに便利ですが所詮はただのスキャナです。今までだって同じことができるスキャナは持っていました。それと比べて何が変わったの? といえば、私にとっての違いは「速くなった」という一点のみ。でもそのたった一点がなぜか「死蔵本発掘作戦」を発動させ、「木工DIY」というスキルまで動員して、倉庫部屋の大改造という成果を引き出したわけです。
たかが速さ、されど速さ。あなたもScanSnapに「希望」を見出してみませんか?
後編では「お部屋のリストラ 情報系」について書きます。乞うご期待!
著者・開米瑞浩氏が講師となって「仕事を教える力」をテーマとするセミナーを開催します。
IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』、
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