プレゼンに入れ込むアイデアをどのように考えるか? すでに聴衆が答えを持っていて、それを具現化すればいい場合。問題解決型の時は、わりとこのパターンが多いです。もう1つは、独創的なアイデアが欲しい場合。今回は、そんな場合にマトリクスの組み合わせを使って、アイデアを生み出す方法を紹介したいと思います。
問題点の改善に集中するのか、まったく新しい価値を提供するのかの違いはあれど、アイデアを効率的に作るためのツールは変わりません。
私の場合、発想の道具として重宝しているものとしてマトリクス、マインドマップ、ブレストがあります。アイデア発想法は世の中に400種類以上あるといいますが、根本的な部分はさほど変わりません。アイデアはいきなり生まれてくるものではなく、何かに触発されて連想したり、何かの組み合わせによって新しいイメージができたりするものです。
ですから、連想や組み合わせによる新しいイメージを促進させるための発想ツールを持っておくとなにかと便利です。私の場合は、それが先ほどのマトリクス、マインドマップ、ブレストなのです。
縦軸と横軸に異なる要素を配置するマトリクスでは、その交点のセルに組み合わせから発想するアイデアを描き込んでいきます。要素がはっきりしている場合に向いているかもしれません。
逆にマインドマップは、1つのアイデアやテーマから、連想するものをどんどんツリー状に描き加えて、放射状に展開するものです。中央から外に広がるため、連想の自由度も高い気がします。
ブレストは、少人数によるアイデアミーティング。他人のアイデアをさらに発展させたり、他人のアイデアに触発されて自分のアイデアを磨き上げる点が、1人で考えるよりも新しい可能性を秘めています。
マトリクスは、縦軸と横軸の要素の組み合わせから発想するため、自由な発想を限定する反面、アイデアを思いつきやすいというメリットがあります。マインドマップが自由な連想による発想ツールだとすると、マトリクスは強制発想的なツールです。
また、組み合わせる要素に意外性があればあるほど、従来にはない発想も可能となり、面白いアイデアが出てきます。「異種混合」によるアイデアアプローチには特にマトリクスが適しています。
主演がキムタクと柴崎コウだと決まっているドラマがあるとします。このとき、各々の役柄が「刑事とその同僚」「若手実業家と恋人」などではありきたりで面白くありません。そこで、脚本家のあなたはマトリクスを使います。縦軸に俳優名、横軸に意外性のあるテーマを置き、そこから浮かんだ役柄を交差するセル上に描き込んでいくのです。
テーマも適当に新聞のニュースや雑誌記事から抜いてくればよいのです。「つぶれかかった老舗のラーメン屋」「ロケットを飛ばそうとする町工場」「大病院が医療ミスで謝罪」「証券会社が誤発注」など、なんでもありです。
例えばこんな筋書きはどうでしょうか?
証券会社の元エリートサラリーマンで過去の忌まわしい出来事によってパニックに陥って誤発注し、会社を追われた男に木村拓哉さん、その事件の背後にある会社ぐるみの問題を取材する記者に柴崎コウさん――。
結構面白いと思うんですが、いかがでしょう。
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.