失敗しない永田式プレゼンの「ラフ」ギャラリー(前編)プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術

スライドのラフを描かずに、パワポやWordでいきなり提案書を作っていませんか? 今回はそんなあなたのために、ラフのテンプレートを用意しました。何事も、アウトラインを固めてから作業に移ったほうが効率がよくなるものです。お試しあれ!

» 2011年02月23日 10時30分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 スライドのラフを描かずに、PowerPointやWordでいきなり提案書を作っていませんか? 何事も、アウトラインを固めてから作業に移ったほうが効率がよくなるものです。

 ラフスケッチ(下描き)は、ハイクオリティな提案資料づくりに欠かせないスライドの設計図。ラフ描きの重要性は、バックナンバー「スライドは『いきなりPC』で作らない――ラフの手書きから」を読んでいただくとして、今回は、私がよく使っているラフから厳選して、いくつか紹介したいと思います。


テキスト中心のスライド

 テキストベースのスライドでは文字量が多すぎると、理解しづらいだけでなく、行間が十分でないため、可読性さえあやうくなります。個条書きだから、何行書いてもよいということではありません。テキストは可能な限り短く、シンプルに。多すぎる情報は「ノイズ」ということをお忘れなく。


行数絞り込み個条書き

 私たちが一度に認識できるのは大体5つほどの情報ユニット。そのため、個条書きする場合は、3〜5つにまとめるのがオススメです。行数は奇数のほうが印象に残りやすいと言われています。


グループ化(横ライン)

 どうしても文字数が減らせない場合は、どうにかグループ化を行ない、小見出しと、詳細に分けましょう。グルーピングしたブロックは、なるべく3つ以内におさまるようにします。


グループ化(縦ライン)

 横ラインよりも縦ラインにしたほうが洗練された印象になりますね。横ライン同様に小見出しと、詳細情報に分けて、グループ分けが分かるように罫線で囲むか、背景に色を敷くなどの工夫を。


ワンポイントキャッチ

 印象的なキャッチコピーを入れる場合は、ほかの要素をあえて入れずに、シンプルに読ませます。コピーの中でも特に重要なキーワードはそこだけ大きくして印象づけるのもよいでしょう。余白をもったいないと思わず、余白が「キーワードを引き立てる」と考えましょう。


グラフィック配置スライド

 無造作にグラフィックを配置してはいけません。また、どのテキスト情報とグラフィックがセットになっているか、一目で分かるようにしなければダメです。なるべくテキスト情報と関連するグラフィックは近くに置き、グルーピングが分かりやすいように囲んだり、色をつけたりするのがよいでしょう。


角版

 角版とは写真などを四角い枠の中に入れて配置する方法です。円形の中に入れる場合は円版と言われます。角版はもっとも一般的なグラフィックの扱い方です。写真の説明文(キャプション)は写真の近くに小さく配置しましょう。


切り抜き

 対象物の背景があらかじめ切り抜かれているか、スライドの背景色と同じであれば、切り抜きという手法が使えます。断ち切りや全面に比べ、テキスト部分との統一感があるのが特徴です。


断ち切り

 角版のグラフィックをスライドの上下左右のいずれかに余白をとらずに寄せるのを断ち切りと言います。グラフィックがダイナミックで洗練された印象になります。


全面

 その名の通り、スライド全面にグラフィックを配置。余白を残す場合と断ち切り状態にする場合の2通りがありますが、いずれも迫力満点です。ただし、より広告的でキャッチコピーの入れ方などデザインが難しくなります。



 今回は、シンプルなテキストベースのスライド、写真を配置するタイプのスライドのラフ描きを紹介しました。後編では、スケジュールや体制、グラフなどのラフを紹介します。ぜひお楽しみに。


集中連載『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』について

『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』 『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』(永田豊志・著、中経出版・刊、A5判/208頁、本体1500円)

 パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。

 「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。


目次

  • 第1章:残念なプレゼンは、なぜ眠たくなるのか?…面白いプレゼンの秘密とは?
  • 第2章:考えがスッキリまとまる図解プロットの技術…自分の考えを整理する方法
  • 第3章:「合体ロボ作戦」でシナリオに磨きをかける…プレゼンの流れを作り出す
  • 第4章:魅力的なスライドラフを描いてみる…ハイクオリティなラフ描きの技術を公開
  • 第5章:図解プロットに挑戦!…実際に、考えをまとめ、シナリオを作り、ラフを描く
  • 第6章:魅力的なアイデアを作り出す10のテクニック…使えるアイデア発想法

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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