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» 2011年02月23日 14時00分 UPDATE

イチから分かる確定申告:子ども手当は増税だった――源泉徴収票の見方、教えます (1/3)

一家の大黒柱の通信簿――。それが「源泉徴収票」である。1年間にどれくらい稼いだか、いくら納税したかを記している。この源泉徴収票を細かく見ると、分かることがあるのである。ぜひ手元の源泉徴収票をご覧いただきたい。

[奥川浩彦,Business Media 誠]

 サラリーマン諸兄は1月の給与明細の封筒に「平成22年分 給与所得の源泉徴収票」と書かれたA6サイズの小さな紙が入っていたと思う。これまで説明したとおり、年収から給与所得控除が引かれ、さらに奥さんの収入や子供の年齢によって決まった控除額が引かれ、所得税を計算するための課税所得が決定する。それに税率を掛けると税額が決まる。その結果が書かれているのが源泉徴収票だ。これを見れば昨年1年間にどれだけ稼いだか、いくら納税したかを知ることができる。一家の大黒柱の通信簿のようなものだ。

世界でも珍しい制度、だからこそ源泉徴収票を確認しよう

 では年収500万円、奥さんと子供1人、生命保険を10万円以上掛けているモデルケースで源泉徴収票を見てみよう。

st_tax01.jpg 源泉徴収票

 支払金額(年収)500万円だと給与所得控除は154万円となり、給与所得控除後の金額(給与所得)は346万円となる。

  • 給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得(例)500万円−154万円=346万円

 各種控除は、基礎控除38万円、奥さん(配偶者控除)38万円、子供(扶養控除)38万円、生命保険10万円以上で5万円、保険、年金等の社会保険が47万で、合計166万円の場合、給与所得の346万円から166万円を引いた180万円が課税所得となる。

  • 給与所得−各種控除=課税所得(例)346万円−166万円=180万円

 源泉徴収票を見ると支払金額に500万円、給与所得控除後の金額に346万円、所得控除の額の合計額に166万円と記載されてる。下段には配偶者(有)に*印、扶養親族(その他)に1人、社会保険料等の金額に47万円、生命保険料の控除額に5万円と書かれている。基礎控除は一律ということで記載はない。

 これで所得税額を計算する要素は全てそろった。はたして東国原慎太郎さんの所得税はいったいいくらになるのか。所得税は課税所得によって税率が異なってくる。課税所得と税率は以下の通りだ。

課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円〜330万円 10% 9万7500円
330万円〜695万円 20% 42万7500円
695万円〜900万円 23% 63万6000円
900万円〜1800万円 33% 153万6000円
1800万円〜 40% 279万6000円

 表を見ると勘違いしやすいが、195万円の人は5%で200万円の人は10%になるわけではない。200万円の人は195万円の5%=9万7500円と、超えた5万円の10%=5000円を足した10万2500円が所得税となる。簡単に計算するために控除額が記載されている。計算の方法を式にすると

  • 課税所得×税率−控除額

となり、課税所得が200万円の場合、

  • 200万円×0.1−9万7500円=10万2500円

 東国原慎太郎さんの場合は課税所得が180万円なので、

  • 180万円×0.5=9万円

 となる。源泉徴収票の源泉徴収税額にはこの金額が記入されている。サラリーマンの場合は毎月の給料から所得税が引かれ(源泉徴収され)、年末の給料で最終確定した税額が年末調整されているので、すでに税金は納付済みとなる。源泉徴収票には給与所得控除の154万円と課税所得の180万円は記載されていないため、計算のロジックを知らないと分かりにくい。

 サラリーマンの年末調整は世界的には珍しい制度と言われている。サラリーマン自身は楽になる半面、国民に納税意識が育たないといった弊害も指摘されている。せめて用紙サイズを大きくしてもいいので、源泉徴収票を分かりやすくA-B、B-C、D×○%と計算ロジックが分かるようにすると税金への意識、政策への関心が高まるような気がする。

子ども手当は増税か

 さて、子ども手当の導入で15歳以下の扶養控除がなくなる平成23年の所得税がどうなるか計算してみよう。仮に昇給もなく他の条件が全く同じだった場合、控除額が38万円減って166万円から128万円になり、課税所得はその分38万円増え180万円が218万円となる。

  • 給与所得−各種控除=課税所得(例)346万円−128万円=218万円

 218万円に対する所得税は、

  • 課税所得×税率−控除額(例)218万円×0.1−9万7500円=12万500円

 となり、3万500円の増税となる。

st_tax02.jpg サラリーマンも増税

 個人事業主の場合は、確定申告後に決まった所得税を納付する。原稿料のように振り込まれる段階ですでに10%の源泉徴収されている場合は、その分を差し引いた額を納税する。納め過ぎている場合は1カ月ほどで還付される。完全後払い制なので、稼いだ金を使い果たしてしまうと翌年の春に大変なことになる。

 所得税額を最初の例で計算すると、

  • 売上(収入)−経費=所得(例)800万円−270万円=530万円
  • 所得−各種控除=課税所得(例)530万円−180万円=350万円

の場合は、

  • 350万円×0.2−42万7500円=27万2500円

となる。

 こちらも同じく扶養控除がなくなると、控除額が38万円減って180万円から142万円になり、課税所得はその分38万円増え350万円が388万円となる。

  • 所得−各種控除=課税所得(例)530万円−142万円=388万円

 388万円に対する所得税は、

  • 課税所得×税率−控除額(例)388万円×0.2−42万7500円=35万1000円

 となり、7万8500円の増税となる。

st_tax03.jpg 個人事業主とっても増税

 どちらのケースも子ども手当が満額支給されれば年間31万2000円なので、増税によりマイナスになることはない。ただし毎月2万6000円がまるまる増えたとは思わない方がいいだろう。

インフレ時代の確定申告
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