KDDI、中小企業のIT導入支援事業を本格化――新会社「KDDI まとめてオフィス」設立

KDDIが、中小企業のIT化サポート事業を手がける新会社「KDDI まとめてオフィス」を設立。IT化に必要な機材からインフラ、人材までをワンストップで提供するとともに、会員企業が相互にビジネスを紹介しあえるプラットフォーム化を目指す。

» 2011年02月15日 19時15分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
Photo 中小企業向けIT化支援サービス「KDDI まとめてオフィス」を専業で扱う新会社を設立する

 今や社員数の多寡にかかわらず、ITの導入は企業にとって重要な課題となっている。しかし、社員数の少ない中小企業では、ITの専門部署を設置する余裕がなかったり、どこからIT化に手を付けるべきか分からなかったりと、さまざまな課題を抱えているのが現状だ。

 「企業は専門性を持った、信頼できる(IT)パートナーを求めている」(KDDI まとめてオフィス 代表取締役の佐藤司氏)――。中小企業のこんなニーズに着目したKDDIが2010年7月にサービスを開始したのが、法人向け会員制サービスの「KDDI まとめてオフィス」。企業のIT化に必要な通信サービスやソリューション、オフィスのネットワーク、OA機器について提案から導入、設定、メンテナンスまでをワンストップで提供するサービスで、導入後の保守や問い合わせについても、KDDIが窓口となって対応するというものだ。

 中小企業がIT関連部門の業務をアウトソースし、本業に専念できる環境作りを目指して立ち上げられたこのサービスは、4万3000会員を擁するサービスに成長。KDDIでは新たなニーズへの対応や、さらなるサービスの向上を目指して、同サービスを専業とする新会社「KDDI まとめてオフィス株式会社」を設立し、4月1日にサービスを開始することを発表した。

Photo KDDI まとめてオフィスのサービス概要。IT化に関するコンサルティングだけでなく、各種請求の一本化や問い合わせ窓口の一元化なども実現している

 新会社では、これまでのIT導入の各種支援サービスに加え、IT化に必要な人材面の支援も行う計画。そのため、新会社には人材派遣会社のインテリジェンスも資本参加し、共同で事業を推進する。

 IT化の支援サービスについても、現在提供している通信やクラウド/ASPサービス、オフィスネットワーク、オフィスサプライに加え、給与計算や経費管理、業務代行/アウトソースなどの追加も検討。クラウドとAndroid端末を結びつけたサービスの提案などにも注力する。サービスの提供エリアも、現在の東京23区から近郊エリアに拡大し、名阪やその他地域での提供を目指す考えだ。

 新会社ではさらに、KDDI まとめてオフィスのビジネスプラットフォーム化を目指す。現在、KDDI まとめてオフィスでは、会員企業に対して提携メーカーの商材やKDDIのサービスを提供しているが、今後は会員企業が自社のサービスを提供できる場にしていきたいと、KDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部長の長島孝志氏は説明。一方的にサービスを提供するのではなく、ビジネスマッチングの場として機能するよう、プラットフォームを進化させる方針だ。

 「広場のような形の紹介ビジネスとして、相互でいろいろなことができるプラットフォームにしたい。支援サービスのメリットを享受できるだけでなく、会員企業のビジネスそのものを拡大するプラットフォームとして便利に使っていただける環境も提供できるのではないか」(長島氏)

Photo 新会社ではサービスの提供エリアを拡大するとともに、人材面のサポートも提供(左)。ゆくゆくは会員企業同士が仕事を紹介しあえるプラットフォーム化を目指す(右)

 新会社で人材面のサポートを担うインテリジェンスの代表取締役 兼 社長執行役員の高橋広敏氏は、中小企業から“ITやモバイルの力を使って何かを変えられそうだが、それを推進してくれる人が社内にいない”という相談を受けてきたといい、「企業が新たに導入を検討するITの仕組みに対応できる、人材の派遣をサポートしたいと考えて出資を決めた」(高橋氏)と説明。同社は正社員から派遣/アウトソーシング、アルバイトまで幅広い人材をそろえられる点を強みとしており、高橋氏は「中小企業のどんな人材のニーズにも対応できる体制で事業を推進する」と意気込んだ。

Photo 新会社のロゴを披露。左からインテリジェンス 代表取締役 兼 社長執行役員の高橋広敏氏、KDDI まとめてオフィス 代表取締役の佐藤司氏、KDDI ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部長の長島孝志氏
Photo KDDI まとめてオフィスの提供の背景(画面=左)と株式会社設立の目的(画面=右)。出資比率はKDDIが85%、インテリジェンスが15%となっている

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ