「無料サンプルを差し上げます」で客をつかむ方法売り込まず、お客をファンにする方法(1/3 ページ)

テレビCMなどで「無料のサンプルを差し上げます」といったフレーズを聞いたことがある人も多いのでは。サンプルをプレゼントすることで、会社はどのようなメリットを手にしているのだろうか。営業プロセスを細分化し、分析してみた。

» 2011年02月15日 08時00分 公開
[安東邦彦(ブレインマークス),Business Media 誠]

安東邦彦(あんどう・くにひこ)のプロフィール

1970年、大阪府茨木市生まれ。24歳で通信販売会社を起業し成長させたのち、ITベンチャーの立ち上げに参画。同社では、取締役として営業部門の仕組みづくりを確立。その後、営業コンサルティング会社、株式会社ブレインマークスを設立。

マーケティングに関するノウハウを追及し続け、これまでに行ったセミナーの数は1000回を超える。プロセスマネジメント財団認定コンサルタントであり、企業のブランド化、営業の組織化を提唱している。著書に『営業のミカタ』がある。


 あなたにとって、営業とはどんな仕事ですか? このように聞かれたら、私は「営業は、かっこよく、憧れられる仕事である」と思っています。

 しかし昔の私は、違いました。営業という仕事に誇りをもてない営業マンでした。とにかく目標を達成するために、足しげくクライアントのところに通い、注文をもらうことに必死。そして営業先でも、クライアントに気を配り、緊張の糸は張り詰めたまま。いつも気に入られる営業マンを演じていました。

 無理を聞いて、言いなりにならざるを得ないことも多々ありました。靴底と神経をすり減らし、努力し続けているにも関わらず、思うような営業成果が得られない……。当然、ストレスがたまっていきました。

 私と同じような思いをしている営業マンも多いのではないでしょうか。当時の私は、営業という仕事の本質を見失い、大きな勘違いをしたまま営業をしていました。その勘違いとは「売り込めば、売れる」と思い込んでいたこと。この勘違いが、今でも多くの営業マンを苦しめているのではないでしょうか。

 前回の本コラムでは「押す」「粘る」「説得する」といった営業を続けている営業マンの価値がなくなる時代になっていること、消費者の「購買行動の変化」によって、営業のあり方そのものが変化していること、などに触れました。そして今回は、これからの時代に求められるのは長期的な視点に立った「顧客づくり」が重要であること、を紹介したいと思います。

営業プロセスを細分化する必要性

 「顧客づくり」の具体的な方法は「ニーズが顕在化した顧客」だけをターゲットにするのではなく、「将来的なニーズをもった見込み客」を囲い込み、育てていくということです。

 それを実現するためには「営業プロセス」を細分化する必要があります。下の図をご覧ください。これは営業プロセス細分化の流れと各プロセスの目的を紹介したものです。

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