パワポに書いたことだけを読んじゃダメ!? 「読み上げプレゼン」していませんか中小企業診断士の思考術

PowerPointを使った“パワポプレゼン”で、評価が高い人とそうでない人がいます。この原因はパワポに書いたことだけを読んでいるかどうか――なのです。

» 2011年02月09日 11時45分 公開
[井上龍司Business Media 誠]
誠ブログ

 PowerPointを使ったプレゼンテーションにおいて、評価が高い人とそうでない人とを明確に分ける特徴が1つあるな、と最近気づきました。それは「パワポに書いてあることだけを話している」か「書いていないことも話している」かという点です。

 プレゼンにおける話の内容を「パワポに書いてあること」「書いてないこと」で分けるとすれば、上手なプレゼンをする方はその比率が7:3(あるいは6:4)ぐらいで話していると思います(ガー・レイノルズの『プレゼンテーションzen』スタイルでやれれば1:9くらいの割合になるかも?)。そして、そうでない方は9:1(あるいは10:0)といったところです。

 プレゼンに慣れていない方の多くは、パワポに書いてきた内容を読み上げることにほぼ終始します。確かに、そのような方法をとれば「話す内容をど忘れしてしまう」という事態を避けられるはず。パワポがカンニングペーパー代わりになっているわけですね。

 しかし、この「読み上げプレゼン」で話すとスクリーンを見ている時間が長くなるためにアイコンタクトが大幅に少なくなります。結果として聴衆との間に溝を作ってしまいがちになるのです(これは“パワポプレゼン”の大きな弊害だと思っています)。

 何より「読み上げプレゼン」は、話し手が次に何を話すのか予測できてしまうのが欠点。全体的に退屈になりがちです。これを防ぐには「パワポに書いていない話」をある程度盛り込む必要があるわけですが、それでは、どのような話をすればよいのでしょうか。

 最近見た、プレゼンが上手い人の事例から2点、挙げてみます。

1:トピック間の「つなぎ」を話す。

 Aさんは、トピックの終りごとに「ここまでは○○の話をしてきました。□□は△△である、という内容でした」という風にまとめたり、「では、次に▲▲についてご説明します」というように、これから話すことを「予告」をしてから内容に入っていきます。

 そうすることで、聴き手が一呼吸ついて話の内容を振り返り、次のトピックへの心の準備ができるのです。逆に「読み上げプレゼン」では、書いてあることを延々と話していくので、前のトピックを頭の中で消化する前に唐突に次のトピックに入っていくような印象を与えます。消化不良を起こさないために、聴衆が「息継ぎ」できないプレゼンは極力避けたいところです。

 以前別のブログで作った図を下記に再掲してみます。各ページの内容にこだわるのはどなたでもやっていることですが、それらの「つなぎ」をどうするかを考えている話し手は少ないように思われます。聴衆がストーリーを自然に飲み込んでいけるように「つなぎ」もしっかりと考えておきたいものです。

2:聞き手の不安を解消しておく

 Bさんは基本的には「読み上げプレゼン」をしない人なのですが、やむを得ず文章量の多いページを読み上げる必要のある場面がありました。そこで、Bさんは「ちょっとここだけ読み上げさせてください」と聴衆に断りを入れていました。

 この「事前の断り」があるかないかで、聴衆の受ける印象は大きく変わってきます。これがないと、聴衆は「この後にも文章量が多いページが続くのか」「この後も読み上げプレゼンが続くのか」と不安感を抱いてしまうのです。

 「自分に理解できるかな」「いつ終わるんだろう」――。プレゼンの最中、聴衆の心の中には、さまざまな不安が浮かんできます。そういった聴衆が抱くであろう不安を前もって解消しておく。そんな手順を含めておくことで、プレゼンの満足度を高めることができます。


 ひとまずこちらの2点ご紹介しましたが、こんな風に「プレゼン上手」な人ほど、聞き手の立場に立ってうまく言葉を挟んでいるのではないでしょうか。皆さんなりにどんなことが盛り込めるか、周囲のプレゼンが上手い人を観察しつつ考えてみてください。

 また、前述の『プレゼンテーションzen』のスタイルに思い切ってチャレンジしてみる(つまりパワポにない内容の割合を極端に増やしてみる)のもよいと思います。パワポの文字数が極端に少なくなりますので「読み上げプレゼン」をいやが上にも回避できるでしょう(やや荒療治かもしれませんが)。

※この記事は、誠ブログ「Think! Think! Think! 〜中小企業診断士イノウエの思考術〜:「読み上げプレゼン」、していませんか?」より転載しています。

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