スライドの構想も、手描きのラフの作成も完了したら、ようやくPCの出番。ただし、これから説明する「10の鉄則」を必ず守ること。この根底にあるのが「KISS」という考え方です。
スライドの構想も、手描きのラフの作成も完了したら、ようやくPCの出番です。ラフの描き方については、バックナンバーの「スライドは『いきなりPC』で作らない――ラフの手書きから」を参照してください。
基本的にスライドはPowerPointやWord、そのほかプレゼンテーションの作成ソフトで資料を作ります。ただし、下記にあるような10個の鉄則を守って作成しましょう。
この10の鉄則の根底にある考え方は「KISS」です。もちろん、キスのことではありません。プレゼンを行うときに、特に気をつけてほしいことをキーワードの頭文字をとったものです。「KISS」とは「Keep It Short and Simple」の略で、「なるべく短く、シンプルに」という意味です。
どんなプレゼンでも資料はシンプルが一番です。過剰な情報は、聞き手にとってはノイズであり、肝心の大事なポイントが頭に入ってきません。詳細データが必要であれば、別紙で添付しましょう。
ノイズを減らすコツは、まず情報量そのものを減らすこと。例えば「利用者がアクセスしたときに、自動的にオススメ情報を配信するシステムを導入する」というような長い文章スタイルのものよりは、「オススメ情報の自動配信」というように、強調したいキーワードだけを残した短いフレーズにすることが肝心なのです。
できあがりのスライドを見て、全体的に20〜30%くらい情報量を減らすとしたら、どれを削るかを目安にすればいいと思います。
文章で解説すると冗長になってしまうものは、積極的に「図解」「アイコン」「写真」などに代替しましょう。複雑なしくみや要素の関係性も、シンプルなアイコンと関係図にすることですうっと頭に入ってきます。主観的な印象を長文を費やして表現するよりも、写真1枚、短いビデオ1本見たほうがより多くの情報を得ることもあります。
数値データも数字の羅列はNG。数値が示す傾向やメッセージに一番ふさわしいグラフを選ぶべきです。数値データの裏づけはメッセージの信頼性や具体性を高めるに不可欠ですが、メッセージが伝わりにくいグラフを選んだり、余計な数値がついていると伝わりにくくなります。
最後にエグゼクティブサマリーですが、1枚スライド+30秒程度の説明でプレゼンのポイントを伝えられるようにしておきましょう。コツは「エレベータピッチ」と同様です。「エレベータピッチ」については、バックナンバーの「30秒、250字で魅力を伝える――エレベーター・ピッチとは」を参照ください。
ITベンチャーがひしめくシリコンバレーでは「起業家はエレベーターの中で投資家に会ったら、自分のビジネスプランを30秒で的確に伝えられなければ未来はない」と言われています。
とにかく、メッセージを引き立たせるために、シンプルで直感的に理解できるスライドづくりを目指しましょう。合言葉は「KISS」――ですよ!
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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